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2024.12.29
●最前線の子育て論byはやし浩司(20)
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親意識が子育てをゆがめるとき
+++++++++++++++
いまだに、「私は親だ」とがんばって
いる人がいる。
そういうのを親意識という。
しかし親意識ほど、おかしな
意識はない。
+++++++++++++++
●「私は親だ」というのが親意識
「私は親だ」というのが親意識。これが強ければ強いほど、子どもも疲れるが、親も疲れる。
それだけではない。親意識の背景にある上下意識、これが親子関係をゆがめる。
上下意識のある関係、つまり命令と服従、保護と依存のある関係から、良好な人間関係は生
まれない。ある母親は、子ども(小一)に、「バカ!」と言われるたびに、「親に向かって何てこと
を言うの!」と、本気で怒っていた。そこで私に相談があった。「先生は、親子は平等だと言う
が、こういうときはどうしたらいいのか」と。
●互いに高い次元で認めあって平等
平等というのは、相手の人格を認め、それを尊重することをいう。高い次元で認めあうことを
平等という。たとえ相手が幼児でも、そうする。こんなシーンがあった。
あるアメリカ人の女優の家にカメラマンが押し寄せたときのこと。たまたまその女優が、小さな
女の子(五歳ぐらい)を連れて、玄関を出てきた。が、その女の子がフラッシュに驚いて、母親
のうしろに隠れた。そのときのことである。
母親は、女の子に懸命に笑顔で話しかけながら、そのままあとずさりして、家の中へ消えてし
まった。私はそのシーンを見ながら、「こういうとき日本人ならどうするだろうか」と考えた。ある
いはあなたなら、どうするだろうか。
●子どもの気持ちを確かめる
子どもは確かに未熟で未経験だ。しかしそれを除けば、一人の人間である。そういう視点に
立って子どもを見ることを、「平等」という。たとえば子どもに何かのおけいこをさせるときでも、
「してみたい?」とか、「あなたはどう思う?」とか聞いてからにする。やめるときもそうだ。ある
いは子どもが学校で悪い成績をとってきて、落ち込んでいたとする。そういうときでも、子どもの
気持ちになって、子どもと同じ立場でそれを悩んであげる。それを平等という。
それがわからなければ夫と妻の立場で考えてみればよい。もしあなたという妻が、夫から、「お
前の料理はまずい。明日から料理教室へ行け」と言われたら、あなたはそれに従うだろうか。
そのときあなたが、夫に何かを反論したとする。そのとき夫が、「夫に向かって何だ、その態度
は!」と言ったら、あなたはそれに納得するだろうか。相手の視点に立って見るということは、
そういうことをいう。
●親意識の強い親
冒頭の話だが、子どもに「バカ」と言われて気にする親もいれば、気にしない親もいる。ある
いは子どもにバカと思わせつつ、それを利用して、子どもを伸ばす親もいる。子どもの側から
みてもそうだ。「バカな親」と思いつつ、親を尊敬している子どももいれば、そうでない子どもも
いる。私の近所にも、たいへん金持ちの人がいる。本人は、自分では尊敬に値する人間と思っ
ているらしいが、誰もそんなふうには思っていない。人を尊敬するとかしないとかいうことは、も
っと別のところで決まる。要するに子どもに「バカ」と言われても、気にしないこと。
かく言う私も、よく生徒にバカと言われる。そういうときは、こう言い返すようにしている。「私は
バカではない。大バカだ。まちがえるな」と。先日も私のことを「ジジイ」と言う子どもがいた。そ
こで私はその子どもにこう言ってやった。
「もっと悪い言葉を教えてあげようか」と。するとその子どもは、「教えて、教えて」と。私はおも
むろにその子どもに顔をむけると、こう言った。「いいか、これはとても悪い言葉だ。お父さんや
先生に言ってはダメだよ。わかったね。……では、教えてあげよう。ビ・ダ・ン・シ(美男子)」と。
それからというもの、その子どもは私を見るたびに、私に向かって、「ビダンシ!」「ビダンシ!」
と言うようになった。
●子どもを抑え込んではいけな
子どもの口が悪いのは、当たり前。奨励せよというわけではないが、それが言えないほどま
でに、子どもを押さえつけてはいけない。あるいはユーモアで切り返す。このユーモアが、子ど
もの心を広くする。要するに、相手は子ども。本気で相手にしてはいけない。よく「友だち親子」
の是非が話題になる。「友だち親子はいいのか、悪いのか」と。
しかし子どもが友だちになりえるのは、子どもが中学生や高校生になってからだ。それまでは
友だちにすら、なりえない。もちろんそれまででも友だち的なつきあいができれば、それはすば
らしい。友だち親子、おおいに結構。どこが悪い? 親の権威だの威厳だのと言っている間
は、日本人は、封建時代の亡霊と決別することはできない。
そうそうあのアメリカ人の女優のケースだが、日本人なら多分、こう言って子どもを前に押し
出すに違いない。「何をしているの。お母さんが、恥ずかしいでしょう。ちゃんとしなさい!」と。
こうした押しつけが、親子の間にミゾを作る。そしてそのミゾが、やがて親子断絶へとつなが
る。
親意識などなくても、子育てで困ることは何もない。
Hiroshi Hayashi++++++++++Jan. 06+++++++++++はやし浩司
●夫婦論
++++++++++++++++
夫婦って、何だろうと、
このところ、ときどき、考える。
++++++++++++++++
かつては、母のような女性を、理想の女性と考えたこともある。姉のような女性を、理想の女
性と考えたこともある。あるいはそのときどきに、叔母や伯母、さらには、映画やテレビに出てく
る女性を、理想の女性と考えたこともある。
しかし私は、どこまでいっても、私であるように、私のワイフは、どこまでいっても、私のワイ
フ。当初は、恋愛で始まる結婚だが、長くいっしょに生活をしていると、私が私のワイフになり、
私のワイフが私になる。
つまり結婚にまつわる苦労や思い出が、私をつくり、ワイフをつくる。そしてやがて、こう思う。
「これが私だ」「これが私のワイフだ」と。
私のワイフに不満がないと言えば、ウソになる。しかしこのことは、私のワイフについても、同
じで、ワイフが、いつも何かしらの不満を私にいだいていることは、私も知っている。若いころ
は、いつもこう言っていた。「あなたの身長が、あと10センチ高ければよかったのに……」と。
しかしやはり、私は私だった。私は決して理想の「男」ではない。自分でもそれがよくわかって
いる。性格はチャランポランで、情緒はいつも不安定。無責任で、いいかげん。ここに書いたよ
うに背も低いし、容姿は、最悪。そんな「男」が、理想の女性を求めても、しかたがない。
私が今以上に、よい「男」に変われないなら、ワイフに今以上の理想の「女」を求めることも、
おかしい。たがいに、妥協しあいながら、つまり欠点を補いあいながら、生きていくしかない。
が、悪いことばかりではない。ともにしてきた苦労や思い出が、年月を経てくると、ジワジワ
と、いぶし銀のように光り始める。「光る」というほど、おおげさなものではないかもしれないが、
相対的に、若いころ「理想の女性」と思っていた人たちが、順に、記憶の中から消えていく。そ
して気がついてみると、そこに残ったのが、ワイフだけということになる。
今では、よく、「母のような女性と結婚しなくてよかった」とか、「姉のような女性と結婚しなくて
よかった」とか、思うこともある。叔母や伯母にいたっては、なおさらそうで、「どうしてああいう
女性を、一時的ではあるにせよ、理想の女性と思ってしまったのだろう?」と思うこともある。
唯一の例外と言えば、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の中に出てきた、ジュリー・アンドリ
ュースか? ジュリー・アンドリュースが演じた、マリア像は、今でも、心の片隅に、「理想の女
性」として、残っている。
それはともかくも、「男」も一巡すると、「まあ、私もこんなものだ」という、あきらめの境地に達
する。そして同時に、「まあ、私の結婚生活もこんなものだ」という、同じようなあきらめの境地
に達する。
その(思い)は、ワイフにしてみても、同じではないか。もう少し若いころには、私は、よくワイ
フにこう言った。「お前も、ぼくのような男と結婚したために、苦労ばかりしている。もっとほかに
いい男がいただろうに、ごめんね」と。
まあ、この先は、細々と燃える残り火だけを大切に、生きていくだけ。私が私でしかなかった
ように、私たち夫婦も、私たち夫婦でしかなかった。洋服にたとえるなら、どうせ私に合う洋服
は、一着しかない。だったら、それを大切に着るしかない。それが夫婦というものではないか…
…と、このところ、強く、思うようになった。
2007年10月19日(金)
Hiroshi Hayashi++++++++++Jan. 06+++++++++++はやし浩司※
●謎の中国訪問
++++++++++++++++++
K国の金xx(拉致事件に抗議の念をこめて、
あえて金xxとする)が、現在、中国を訪問
しているという(1月14日現在)。
しかしその足どりは、まったく不明。謎。
いったい、金xxは、どこにいるのか?
++++++++++++++++++
詳しい行動内容は、報道機関の報道に任せるとして、おおまかに言えば、こういうことだ。
当初、K国から、金xxを乗せたと思われる、特別列車が、K国から中国へ向った。しかしその
列車は、中国へは向わず、途中で、方向をロシアに変えた。
その間に、金xxと思われる人物は、飛行機で北京に。そしてそこで中国の要人と会談したあ
と(?)、広州へ。香港発の共同通信は、つぎのように伝える(13日)。
【香港13日共同】中国南部・広州の最高級ホテルに13日午前、リムジンを含む50台前後の
車列が到着した。国家元首級の代表団とみられ、中国を訪問しているK国の金xxの代表団の
可能性もあるが、金xxの姿は目撃されていない。
周辺は早朝から厳重な警戒態勢が敷かれ、ホテルは入り口に金属探知機を設置、15日ま
で一般客の予約受け付けを中断している。同ホテルの従業員の1人は「金xx一行をお迎えし
ている」と述べた。車列は約1時間半後に再びホテルを出発、視察に向かったとみられる。
外交筋は、金xxが今後の経済改革に中国の経験を反映させるため、中国の改革・開放政策
を象徴する広州や深センなどの経済開発特区を視察することも予想されるとしている。
ここで注目すべき点は、「中国を訪問しているK国の金xx総書記の代表団の可能性もある
が、金総書記の姿は目撃されていない」というところ。
一方、金xxの目撃も、各地で報告されているが、「その可能性がある」(時事通信)という程
度。本当に、金xxは、広州にいるのか。それともいないのか。ふつうの常識からすれば、「視
察」という以上、リムジンから外に出て、直接その場の雰囲気を肌で触れるため、そこに立た
なければならない。当然、現地の人たちや、マスコミの目に触れることになるが、それはしかた
のないこと。
外からは中が見えないようなリムジンに乗って、金xxは、いったい、何を視察しようとしている
のか?
……と考える前に、今回の電撃的な中国訪問には、いくつかの謎がある。それが「電撃的」
であった点もさることながら、どうして今なのか? どうしてこうまで小細工に小細工を重ねてま
で、遠く、広州の経済開発特区を視察しなければならないのか。
隠密行動といいながら、その一方で、わざと目立つように、リムジンほか、大型乗用車を、5
0台もつらねている?
私は、今回の中国訪問には、もっと大きな秘密が隠されていると思う。韓国の朝鮮N報です
ら、「非正常な訪問」と位置づけている。その謎を解くヒントとなっているのが、実は、金xxが、
北京到着と同時に、健康診断を受けているということ。韓国の中央N報は、つぎのように伝えて
いる。
「 別の関係者は『金委員長は北京到着直後、彼を担当する医療陣から健康診断を受けたと
いうことだ』とし、『深刻な状況ではないが、健康状態があまりよくないらしい』と述べた。また北
京の宿所は以前、訪中際に宿泊した外国貴賓用釣魚台ではなく、市郊外の別荘であるという
ことだ」(1月12日)と。
こうまで秘密主義にかたまった隠密行動の中で、こうした(事実?)がもれてきたこと自体、不
思議なことである。金xxは、健康診断を受けたというが、これこそ、K国が、もっとも秘密にしな
ければならないことである。
私の推測によれば、(憶測に近いが……)、事実はこうではないか。
金xxは、北京に到着したあと、ずっと、北京に残って、何らかの医療的治療を受けている。中
国南部への視察は、金xxのそっくりさん、つまり替え玉を使った、いわばダミー視察。つまりマ
スコミや世界の目を、北京からそらすための、カモフラージュ。
金xxの健康状態がよくないことは、以前から、話題になっている。持病の糖尿病のほか、い
ろいろあるらしい。ときに浴びるように酒を飲んでいるといううわさもある。こうした健康状態
は、かいま見る写真などによっても、わかる。
ブヨブヨに太った、しまりのない体。化粧をしても、その化粧では、ごまかせないほど、顔色は
よくない。そういう人を、健康な人とは、だれも思わない。
私は、私の推理が正しいとするなら、今回の中国訪問は、それだけ緊急を要したから、と考
える。たとえば心筋梗塞や脳梗塞のような、血栓症による何らかの病変を起こした、とか。だい
たいにおいて、「深刻な状況ではないが、健康状態があまりよくないらしい」というような金xx
が、遠く広州まで、出かけていくだろうか。
「国の将来を考えて、命がけで視察」と言えば、聞こえはよいが、金xxがそんな人物でないこ
とは、客観的なほかの事実でも、わかるはず。
K国では、スーパーマン以上のスーパーマンとして、あがめ奉(たつま)られている金xxだが、
それは映画の世界での話。やがて事実は明らかにされるだろうが、私は、今回の中国訪問の
目的は、十中、八、九、金xxの病気治療のためとみている。
さて、事実は、どこにあるのか? 興味津々(しんしん)。
2007/10/19
Hiroshi Hayashi+++++++++Jan. 06+++++++++++はやし浩司
最前線の子育て論byはやし浩司(032)
●権威主義
+++++++++++++++++
はびこる権威主義。
その権威主義について原稿を書いたら、
先日、BLOGの書きこみに、こんなのがあった。
「日本には、権威主義は、もうないと思いますが。
はやし先生は、日本のどこをどのように見て、
権威主義的だと言うのでしょうか」と。
本当にそうだろうか?
そう考えてよいのだろうか?
++++++++++++++++++
権威主義というものが、どういうものか? それを示す、こんな記事がある。まずその記事を
そのまま、紹介する。あなたはこの記事を読んで、どこにどのように、その権威主義を感ずる
であろうか。
その前に、その予備知識として、隣の韓国でこんな事件があったことを思いだしてほしい。何
でも、ソウル大学に、とんでもない教授がいて、インチキ論文で、世界中をだましたという事件
である。日本にも、藤木S一という、これまたどえらいインチキ考古学者がいたが、その藤木S
一の比ではない。
だました相手は、世界。目標は、ノーベル賞。しかも、国家の英雄として!
それについて、T報(韓国の新聞社)は、つぎのように報道する。
「問題のU教授は、大学を罷免されることになるだろう。詐欺罪を適応されるかもしれない。
目下、政府内部でその処分を検討中。将来は、獣医くらいならできるだろうが、研究者としての
地位は、絶望的である」(06年1月)と。
そのU教授は、韓国でも最高の科学者として認定され、毎年、3億円以上もの研究費が国か
ら支給されていたという。
で、この記事のどこがどのように、権威主義的か、みなさんには、それがわかるだろうか。も
う一度、この記事をじっくりと読んでみてほしい。そこには、こう書いてある。
「獣医くらいならできるかもしれないが……」と。
この文章を読んだら、獣医をしている人は、どう感ずるだろうか。獣医といっても、相手が動
物というだけで、その責任の重大さという点では、人間を相手にする医師と、立場は何もちが
わない。
しかしT報は、「獣医くらいなら」と言いきっている。実は、ここに、権威主義が隠されている。
大学の研究者は、トップ。医師は、そのつぎ。その世界で、最下位に位置するのは、獣医、
と。しかも、だ。こういう記事を、そこらの一介の新聞記者程度の人間が書いているところが恐
ろしい。
何というごう慢さ! つまりそのごう慢さの背景にあるのが、私が言う「権威主義」である。つ
まりその記者は、無意識のうちにも、人間の価値を、権威主義によって、格づけしている。そし
てその結果として、「獣医くらいならできるかもしれないが……」と。
そう、この記事を読んだら、獣医をしている人は、怒るだろう。怒って、当然。獣医をしている
人は、そのインチキ学者と同レベル。あるいはそれ以下(?)ということになる。人間に上下は
ない。職業に上下はない。しかし韓国では、いまだにそういった上下意識が、ハバをきかせて
いる。
もう3年ほど前になるだろうか、 私も、ある研究者から、こんなことを言われたことがある。こ
の話は、当時、私のマガジンでも取りあげた。覚えている人も多いと思う。その研究者は、こう
言ってきた。
「田舎のおばちゃん相手に、講演をして、何になるのか。あなたの書いているようなことは、お
ばちゃんたちを感動させることはできても、学問的には、一片の価値もない」と。
ある都市の国立大学で、ある学部の学部長をしている人からの意見だった。何度もメール
で、議論を戦わせたあとでの意見だったので、私は、「世の中、そういうものだろうな」と、その
ときは、そう納得した。
しかしこういう権威主義は、今でも、日本中にはびこっている。
先日もあるオーディションを紹介する番組を見ていたら、こういうシーンが出てきた。何でも俳
優の世界にも、中央(東京や大阪)で活躍する、メジャー俳優と、地方から外に出られないマイ
ナー俳優というのがいるらしい。
で、その俳優志望の若い女性は、俳優になるためのオーディションを受けた。結果は、最終
審査で不合格。1人の審査員(テレビによく顔を出す俳優)が、その若い女性にこう言った。「中
央で、(メジャー俳優として)活躍するのは、無理でしょうね」と。
まるで「中央で活躍できないような俳優は、俳優ではない」というような言い方だった。しかし
それにしても、いやな言い方だった。
総じて言えば、「権威主義」は、「格づけ(=ランク分け)」によって、成りたっている。もっと言
えば、上下意識。そしてその「上下」は、権力や、財力、知名度、家柄、団体での地位などによ
って決まる。大切なのは、「能力」なのだろうが、その能力まで、格づけによって決められてしま
う。
数年前のことだが、ある野球チームの監督の妻と、ある演劇劇団の女座長をしている女性と
が、連日、マスコミの世界で、大激論を繰りかえしたことがある。発端は、監督の妻の、学歴詐
称事件だったように記憶している。
そのときも、その監督の妻は、女座長をしている女性を批判して、こう言っていた。「私はメジ
ャーリーグの人間だが、あの人は、マイナーリーグの人間よ」と。このときも、まるで「マイナーリ
ーグの人間には、価値はない」というような言い方だった。
一般論として、権威主義者というのは、独特の雰囲気をもっている。まず相手を、肩書きや地
位で判断する。そうした判断を、瞬時のうちにやってのける。そして自分より(目上の者?)に
は、必要以上にペコペコし、(目下の者?)には、尊大ぶった言い方や態度をする。
そして平気で、こう言い切る。「男が上で、女が下」「夫が上で、妻が下」「親が上で、子が下」
と。つまりこうした意識が集合されて、「獣医くらいならできるかもしれないが……」という発想に
つながる。
その象徴的人物が、あの水戸黄門である。それについて書いた記事(中日新聞掲載済み)
を、紹介する。
++++++++++++++++++
●肩書き社会、日本
この日本、地位や肩書きが、モノを言う。いや、こう書くからといって、ひがんでいるのではな
い。それがこの日本では、常識。
メルボルン大学にいたころのこと。日本の総理府から派遣された使節団が、大学へやってき
た。総勢30人ほどの団体だったが、みな、おそろいのスーツを着て、胸にはマッチ箱大の国
旗を縫い込んでいた。が、会うひとごとに、「私たちは内閣総理大臣に派遣された使節団だ」
と、やたらとそればかりを強調していた。つまりそうことを口にすれば、歓迎されると思っていた
らしい。
が、オーストラリアでは、こうした権威主義は通用しない。まったく通用しない。よい例があの
テレビドラマの『水戸黄門』である。今でもあの番組は、平均して20~23%もの視聴率を稼い
でいるという。
が、その視聴率の高さこそが、日本の権威主義のあらわれと考えてよい。つまりその使節団
のしたことは、まさに水戸黄門そのもの。葵の紋章を見せつけながら、「控えおろう」と叫んだ
のと同じ。あるいはどこがどう違うのか。が、オーストラリア人にはそれが理解できない。ある
日、ひとりの友人がこう聞いた。「ヒロシ、もし水戸黄門が悪いことをしたら、どうするのか。それ
でも日本人は頭をさげるのか」と。
この権威主義は、とくにマスコミの世界に強い。相手の地位や肩書きに応じて、まるで別人の
ように電話のかけ方を変える人は多い。
私がある雑誌社で、仕事を手伝っていたときのこと。相手が大学の教授であったりすると、「ハ
イハイ、かしこまりました。おおせのとおりいたします」と言ったあと、私のような地位も肩書きも
ないような人間には、「君イ~ネ~、そうは言ってもネ~」と。しかもそういうことを、若い、それ
こそ地位や肩書きとは無縁の社員が、無意識のうちにそうしているから、おかしい。つまりその
「無意識」なところが、日本人の特性そのものということになる。
こうした権威主義は、恐らく日本だけにしか住んだことがない人にはわからないだろう。説明
しても、理解できないだろう。そして無意識のうちにも、「家庭」という場で、その権威主義を振り
まわす。「親に向かって何だ!」と。
子どももその権威主義に納得すればよし。しかし納得しないとき、それは親子の間に大きなキ
レツを入れることになる。親が権威主義的であればあるほど、子どもは親の前で仮面をかぶ
る。つまりその仮面をかぶった分だけ、子どもの子は親から離れる。ウソだと思うなら、あなた
の周囲を見渡してみてほしい。あなたの叔父や叔母の中には、権威主義の人もいるだろう。そ
うでない人もいるだろう。しかし親が権威主義的であればあるほど、その親子関係はぎくしゃく
しているはずである。
ところで日本からの使節団は、オーストラリアでは嫌われていた。英語で話しかけられても、た
だニヤニヤ笑っているだけ。そのくせ態度だけは大きく、みな、例外なくいばっていた。このこと
は「世にも不思議な留学記」※に書いた。それから35年あまり。日本も変わったが、基本的に
は、今もつづいている。
++++++++++++++++
内容はダブりますが、同じような
内容で書いた原稿をいくつか、
ここに掲載しておきます。
++++++++++++++++
●価値観の衝突を防ぐにはどうするか
価値観の衝突は、えてして宗教戦争のような様相をおびる。互いに「自分が正しい」と信じて
いるから、その返す刀で、「あなたはまちがっている」とぶつける。互いに容赦しない。親子でも
このタイプの衝突は、行きつくところまで行きつく。たとえば「権威主義」を考えてみる。
日本人は本来、権威主義的なものの考え方を好む。よい例が、あの水戸黄門である。三つ
葉葵の紋章を見せ、「控えおろう!」と一喝すれば、まわりの者が皆頭をさげる。今でもあのド
ラマは視聴率を、20%以上も稼いでいるというから驚きである。つまり日本人には、あれほど
痛快な番組はない?
しかしこうした権威主義は、欧米では通用しない。あるときオーストラリアの友人が私にこう聞
いた。「ヒロシ、もし水戸黄門が悪いことをしたら、どうするのか。そのときでも頭をさげるのか」
と。同じような例は、ときとして家庭の中でも起きる。
親をだます子どもがいる。しかし世の中には、子どもをだます親もいる。Kさん(70歳)は、息
子が海外へ出張している間に、息子の貯金通帳からお金を引き出し、自分の借金の返済にあ
ててしまった。
息子がKさんを責めると、Kさんはこう居なおった。「親が先祖を守るため息子のお金を使って
何が悪い」と。問題はこのあとだ。周囲の人の意見は、まっ二つに分かれた。「たとえ親でも悪
いことをしたら、あやまるべきだ」という意見。もう一つは、「親はどんなことがあっても、子ども
に頭をさげるべきではない」という意見。
あなたがどちらの意見であるにせよ、こういうケースでは、その中間の考え方というのは、ほ
とんどない。そして親も子も同じように考えるときには、衝突は起きない。しかし互いの価値観
が対立したとき、それはそのまま衝突となる。
もっともこうしたケースは特殊なもので、そう日常的に起こるものではない。しかしこれだけは
言える。親が権威主義的であればあるほど、「上」のものにとっては、居心地のよい世界かもし
れないが、「下」のものにとっては、そうではないということ。
ここにも書いたように、下のものが上のものに同調すれば、それはそれでうまくいくかもしれな
いが、たいていは下のものは、上のものの前で仮面をかぶるようになる。そして仮面をかぶっ
た分だけ、上のものは下のものの心がつかめなくなる。つまりその段階で、互いの間にキレツ
が入る。そしてそのキレツが長い時間をかけて、断絶となる。
結論から言えば、親の権威主義など、百害あって一利なし。少なくともこれからの考え方では
ない。ちなみに、小学生六年生10人に私がこう聞いてみた。「君たちのお父さんやお母さん
が、何かまちがったことをしたとき、お父さんやお母さんは、君たちに謝るべきか。それとも、親
なのだから、謝るべきではないのか」と。すると、全員がすかさず大きな声でこう答えた。「謝る
べきだヨ~」と。これがこの日本の流れであり、もうその流れを変えることはできない。
+++++++++++++++++++
●権威主義は断絶のはじまり
「私は親だ」というのが、親意識。この親意識が強いと、子どもはどうしても親の前でいい子ぶ
るようになる。もう少しわかりやすく言うと、仮面をかぶるようになる。その仮面をかぶった分だ
け、子どもの心は親から離れる。
親子の間に亀裂を入れるものに、三つある。リズムの乱れと相互不信、それに価値観のズ
レ。このうち価値観のズレの一つが、ここでいう親の権威主義である。もともと権威というの
は、問答無用式に相手を従わせるための道具と考えてよい。「男が上で女が下」「夫が上で妻
が下」「親が上で子が下」と。
もっとも子どもも同じように権威主義的なものの考え方をするようになれば、それはそれで親子
関係はうまくいくかもしれない。が、これからは権威がものを言う世界ではない。またそういう時
代であってはならない。
そこであなた(あなたの夫)が権威主義者かどうか見分ける簡単な方法がある。それには電
話のかけ方をみればよい。権威主義的なものの考え方を日常的にしている人は、無意識のう
ちにも人間の上下関係を判断するため、相手によって電話のかけ方がまるで違う。地位や肩
書きのある人には必要以上にペコペコし、自分より「下」と思われる人には、別人のように尊大
ぶったりいばってみせたりする。
このタイプの人は、先輩、後輩意識が強く、またプライドも強い。そのためそれを無視したり、
それに反したことをする人を、無礼だとか、失敬だとか言って非難する。もしあなたがそうなら、
一度あなたの価値観を、それが本当に正しいものかどうかを疑ってみたらよい。それはあなた
のためというより、あなたの子どものためと言ったほうがよいかもしれない。
日本人は権威主義的なものの考え方を好む民族である。その典型的な例が、あの「水戸黄
門」である。側近のものが三つ葉葵の紋章を見せ、「控えおろう!」と一喝すると、周囲のもの
が皆頭をさげる。ああいうシーン見ると、たいていの日本人は「痛快!」と思う。しかしそれが痛
快と思う人ほど、あぶない。このタイプの人は心のどこかでそういう権威にあこがれを抱いてい
る人とみてよい。ご注意!
++++++++++++++++++++
【権威主義緒は、親子断絶のはじまり】
(「ファミリス」投稿原稿)
●親意識の背景に権威主義
「私は親だ」という意識を「親意識」という。たとえば子どもに対して、「産んでやった」「育てて
やった」と考える人は多い。さらに子どもをモノのように考えている人さえいる。
ある女性(60歳)は私に会うとこう言った。「親なんてさみしいものですね。息子は横浜の嫁に
取られてしまいましたよ」と。息子が結婚して横浜に住んでいることを、その女性は「取られた」
というのだ。
日本人はこの親意識が、欧米の人とくらべても、ダントツに強い。長く続いた封建制度が、こう
した日本人独特の親意識を育てたとも考えられる。
●上下意識と権威主義
その親意識の背景にあるのが、上下意識。「親が上で、子が下」と。そしてその上下意識を支
えるのが権威主義。理由などない。「偉い人は偉い」と言うときの「偉い」が、それ。日本人はい
つしか、身分や肩書きで人の価値を判断するようになった。
ふつう権威主義的なものの考え方をする人は、自分のまわりでいつも、人間の上下関係を意
識する。「男が上、女が下」「夫が上、妻が下」と。たった一年でも先輩は先輩、後輩は後輩と
考える。そして自分より立場が上の人に向かっては、必要以上にペコペコし、そうでない人に
はいばってみせる。私のいとこ(男性)にもそういう人がいる。相手によって接し方が、別人のよ
うに変化するからおもしろい。
●親意識は親子を断絶させる
この親意識が強ければ強いほど、子どもにとっては居心地の悪い世界になる。が、それだけ
ではすまない。子どもは親の前では仮面をかぶるようになり、そのかぶった分だけ、心を隠
す。親は親で子どもの心をつかめなくなる。そしてそれが互いの間に大きなキレツを入れる…
…。
昔は「控えおろう!」と、三つ葉葵の紋章か何かを見せれば、人はひれ伏したが、今はそういう
時代ではない。親が親風を吹かせば吹かすほど、子どもの心は親から離れる。ものの考え方
が県主義的な人は、あなたというより、あなたが育った環境を思い浮かべてみてほしい。あな
た自身もその権威主義的な家庭環境で育ったはずである。
そして今、あなた自身があなたと親の関係がどうなっているか、それを冷静に見つめてみてほ
しい。たいていはぎくしゃくしているはずである。たとえうまくいっている(?)としても、それはあ
なた自身も権威主義的なものの考え方にどっぷりとつかっているか、あるいは親に対して服従
的もしくは親離れできていないかのどちらかである。
●変わりつつある日本人の意識
こうした私のものの考え方に対して、とくに男性の立場から、「父親の権威は必要だ」と反論
する人は多い。「父親は家の中でもデ~ンとした存在感さえあればいい」と。いや、父親どころ
か、「夫の権威」にこだわる人さえいる。
今でも「女房や子ども食わせてやる」と暴言を吐く夫はいくらでもいる。が、こうしたものの考え
方は、これからの日本ではもう通用しない。そのひとつのあらわれというべきか、家事をまった
く手伝わない夫がまだ50%以上もいる一方(国立社会保障人口問題研究所調査・2000
年)、そうした夫に不満をもつ妻がふえている。
厚生省の国立問題研究所が発表した「第2回、全国家庭動向調査」(98年)によると、「家事、
育児で夫に満足している」と答えた妻は、51・7%しかいない。この数値は、前回93年のとき
よりも、10ポイント近くも低くなっている(93年度は、60・6%)。今、日本人は、大きな転換期
にきているとみてよい。
●親は友として、子どもの横を歩く
昔、オーストラリアの友人がこう言った。「親には三つの役目がある。親は、ガイドとして子ど
もの前を歩く。保護者として子どものうしろを歩く。そして友として子どもの横を歩く」と。日本人
は、子どもの前やうしろを歩くのは得意だが、友として横を歩くのがヘタ。ものの考え方が権威
主義的な人は、今日からでも遅くないから、子どもと一緒に横を歩いてみてほしい。今まで聞こ
えなかった子どもの声が聞こえてくるはずである。
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