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2006年07月08日
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カテゴリ: ポンポコ日記


 なっても、外で友達と飲んで酔っぱらい、一緒に連れて帰ってきて、庭の芝生の上で寮歌を
 放歌高吟。
 大きく手で調子を取りながら踊り回る様な人だった。

 50を過ぎた私は、昨晩も日付が変わってから友達と御帰還。
 しかし父と違って踊り回る様な事は無し。

 仕事が遅い時間までかかり、途中から仕事先の事務所で缶ビールを飲みながら打合せ。
 その後、やはり仕事の打合せで友人に会う事になったのだが、それはもうかなり遅い時間。
 一杯だけ注文した生ビール片手に打合せを終わった時には、呑み足りない欲求不満がかなり

 当然の事のように、友人と2人、場所を移して馴染みの店で飲んだのは良いけれど、飲み終え
 た時には既に電車は走っておらず、仕方なく飲み代の3倍かけてタクシーで帰ってきた。

 男2人、直ぐにパンツ一枚になって別々の部屋で高鼾。

 どうも今の都会で飲むのは味気ない。

 先日友人から電話がかかってきた。
 小学校以来の友達である。
 今は、山陰地方のある街に住んでいる。
 と言ってもそこに住み始めてからまだ1年。後1年するとまたどこか別の街に引っ越すはずだ。
 仕事の関係で、大体2年ごとの転勤。20代からずっと単身赴任を続けている。
 土曜か日曜、一人晩酌するのは寂しいとみえて、時々ひょいと電話をかけてくる。
 今は仕事上の地位がかなり上がり、やれどこそこから頼まれて講演をした等と無邪気に自慢


 20を過ぎた頃、夏冬の休暇には故郷の街でよく一緒に飲んだ。
 そいつと飲むと困る事が一つ。
 高校以来水泳で鍛えたそいつは、とにかく体力がある。
 加えて、一度身の内に入れた物は絶対に無駄にしない。つまり吐かないという信念の持ち主。
 散々飲んで、その後に、必ず馴染みのラーメン屋に行きたがる。

 こっちは見ただけで気持ちが悪くなるというのに、そいつは焼酎片手に、必ず全部食べる。

 しかし、その後が大変。
 そいつだってほぼ限界点に達しているのだ。
 ラーメン屋を出て10歩も歩くと立ち止まり、「フーッ… 気持ちが悪い…」と言いながら、
 両手を膝にやって、背中を大きく波打たせている。

 しかし絶対に吐かない。
 信念があるそいつは、死んでも吐かないつもりなのだ。

 かくして、10歩歩いちゃ立ち止まり、また歩いては立ち止まりを繰り返す事になる。
 そいつの家まで送り届けるのに、えらく時間がかかり、こちらは途中から酔いが醒めてくる。

 そのラーメン屋からそいつの家までの間に、彼のマドンナの家があった。
 街灯もあまりなく、しーんと静まりかえった地方都市のお屋敷町。
 彼女の家の前の道路は、江戸時代に掘られたという用水に沿っていた。
 大体そのアタリまで来ると、2人とも水分放出がしたくなる。
 そこで2人仲良く並んで用水に…
 というのがいつものパターン。

 ところがその時だけは違っていた。
 私は用水に向かっているのに、そいつは急に狭い道路の反対側に歩いていって、つまり
 彼女の家の板塀に向かって、音高らかに放水を始めたのだ。

 犬じゃないんだから、マーキングしなくたって…

 その時、彼女の家の2階の窓がガラガラと開いた。
 そして「誰だ!」という野太い声。
 彼女の父親だ。
 ヤバイ!
 2人とも慌てに慌て、仕舞う物も仕舞わず、一目散にすたこらサッサ。下駄を鳴らして逃げ出す
 はめになった。

 いくら酔いが醒めかけていたとはいえ、全速力で走りに走ったのでは堪らない。
 暫く走った後、気持ち悪くなって立ち止まる。
 私は不覚にも戻してしまった。
 しかし、そいつは根性の人。
 絶対に戻さない。
 私の横で、「ウエーッ…気持ち悪い!」と言い、「卵が喉まで上がってきた」と声に出しなが
 ら、絶対に戻さないのである。
 「吐いた方が気持ち良くなるぞ」と言えば、
 「そんなもったいない事出来るかー!」と苦しそうな声で答えるのであった。

 かくして。10歩歩いては立ち止まり、そしてまた10歩歩く時間が再び訪れた。

 そんな根性の持ち主なのに、そいつには、彼女に想いを伝え、愛情を獲得すべく努力する根性
 だけは…
 まるでなかった。

 それから数年して、そいつは見合いで結婚した。

 (そいつと見た朝の太陽の話はまた明日)





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Last updated  2006年07月15日 12時50分13秒
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