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2006年07月08日
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カテゴリ: ポンポコ日記


 先日、駅の構内で転びそうになった。
 階段を登り降りしていたわけではない。
 何かにつまずいたわけでもない。
 点字ブロックの上を歩いていたわけでもない。
 何もない、フラットなタイルの上を歩いていて転びそう
 になったのだ。

 足腰が弱ってきていると言えばそれまでだが、結構
 歩く方だし、イラチだからエレベーターを待つのが

 それなのに、何もないところで転けそうになるとは。
 いや、何もないところだからこそ転びそうになったの
 かもしれない。
 山歩きをする時や、川釣りで流れを遡行する時は
 あまり転ばない。

 岐阜にある 『養老天命反転地』 は、あちこちに身体の
 バランスを崩す仕掛けが施され、身体を安定させる
 場所がない。
 いわゆる『常識』とはかけ離れた空間が作られて
 いる。

 せてその場その場に対応しないと転んだり、壁に
 ぶつかったりしてしまう。

 この『養老天命反転地』を創った 荒川修作さん は、「バランスを失うことを恐れるより、むしろ

 感覚を研ぎ澄ませていれば、不思議と転んだり、ぶつかったりしない。
 荒川さんは別の場所で、「身体は使い方次第で『生命』と呼べる現象を外在化できる」と書いて
 いる。

 障害物のないフラットな平面。
 そこでは研ぎ澄まされるべき感覚は惰眠を貪り、唯、無自覚的に体を動かしているだけだ。
 障害がある時、初めて人は感覚を研ぎ澄ます。
 それは、医学や分子生物学における免疫や生体防御の仕組みに似ている。

 快適性、利便性を追い求めた現在の私達の暮らし。
 その暮らし自体が生きる事の意味を見失わせようとしている。

 「この生活に抵抗を感じている生命があり、その抵抗感があるはずだ。そこから出発しなけれ
 ば、いかなる芸術も本質的には成り立たない」(『私の現代芸術』より)

 と述べたのは岡本太郎。

 その岡本太郎が、私が生まれた年1954年に出したのが『今日の芸術』。
 150万部の大ベストセラーになり、芸術革命、生活革命のバイブルといわれた。
 この本を 遊女asomeさん がブログで紹介している。

 有名な、

 「今日の芸術は、
 うまくあってはいけない。
 きれいであってはならない。
 ここちよくあってはならない」

 という言葉は、同時に芸術を受け取る側の意識の変革をも訴えているのだ。
 遊女asomeさんが述べている様に「見る側も自分の今までの既成概念を取り除き、新しい
 価値、新しい魂の自由を創造して」いかなければならない。

 芸術とは生き方である。

 太郎は言っている。

 「私は確信していた。芸術表現は人間の存在、その運命全体を、無条件に突き出すものであっ
 て、色と形の基準に安定する、いわゆる「美学」であってはならない。
 色を超えた色、形を超えた形、それが生命の実感であり、実在なのだと。」

 私が駄目なのは、フラットなタイルの上で転けそうになった事。転けなかった事である。
 中途半端な感覚、中途半端な意識の覚醒。

 「芸術とは生きること,作品は生命が燃えたその軌跡にすぎない」

 私は生きていない。







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Last updated  2006年07月15日 12時45分19秒
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