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hihitos

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2010.07.06
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カテゴリ: 詩的表現

宇宙の顕微鏡


「とても薄く、それでいて、とても強力な生命だ」
 押入れから望遠鏡を取り出し眺めてみたら、縁のはっきりしない浅い世界が散り散りに広がっていて、透明感のある水彩の技法とも思えた。その隙間の先の奥行きを見ようと捜すが、やはり薄く透き通っていて、その向こうは白のような無地だった。
 改めて、肉眼で見直してみると、ユニークなようだが、どこにでもある単調な生命に見え、眼を凝らせば凝らすだけ、ますます周囲に溶けていく。

 見失わないよう特徴的な部位に明かりを当てて、再度、顕微鏡で覗いたら、その質感はプラスチックに見え、「この新しい生命は現代に作られた紛い物なのか?」と、顕微鏡を覗いたときの癖で呟やいてしまい、苦笑してみたが、対象のあやふやさに、素早く明確な特徴を捉えなければ他のものと区別が付かないままで、この発見は、ふいになると焦りを感じる。

微生物の望遠鏡

 望遠鏡で見た散り散りに広がるイメージを思い出し、ふと沸いたアイデアは、モザイク模様の特徴点を結び、形を作り出したのは自分の脳の仕業ではないかということだ。
 その時、対象が私の記憶に無い、腹部を庇うような仕草を見せたので、周りから浮き上がり、はっきり見えた。

 この薄っぺらな生命体に、ふくよかさを見つけ、そのふくよかさこそが命を蓄え、生き延び、今、此処に存在している唯一の証拠のように思え、そうすると、そういった仕草が人間として見え始めた。
 そもそも、ふくよかな腹部に欲情するとは何なのか、と自分の凡人さを悟って、物質として普遍であるレンズを覗くことが躊躇われた。





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最終更新日  2010.07.07 09:59:29
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