『とんとこひ・セクスアリテ』

March 31, 2004
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カテゴリ: 性教育/性球儀


性同一性障害(gender identity disorder)の「同一性」は、「身体的性別と心理的性別が一致して同じであること」との意味に誤解されやすいが 「同一性」とは「identity」の訳語であり、定義からもわかるように、自己の性意識が継続的に同一であることを指し、身体的性別と心理的性別の一致不一致とは関係がない。また、性同一性障害は、精神疾患ではあるが精神病ではない。英語で、精神疾患は「mental disorder」、精神病は「psychosis」であり、精神疾患は、精神に関する疾患の総称(不安障害、摂食障害、睡眠障害などが含まれる)で、精神病は、精神疾患の中でより重症なものを指し、全体的な人格解体がある場合に用いる。ところで、「disorder」は、「gender identity disorder」をはじめとして、すべて「障害」と訳されている。「mental disorder」だけが「精神疾患」と訳されているが「疾患」は、伝統的には「disease」の訳語であり、「mental disorder」の訳語は「精神疾患」でなく、「精神障害」が医学的には正しい。では、「疾患」と「障害」の違いは何か。いまなお「精神障害者」が、重篤な精神疾患を有する者というイメージは強いため、より抵抗の少ない「精神疾患」が、総称として使われてているのかもしれない。「性同一性障害者」概念と医学概念が乖離すると、「gender identity disorder」は「性同一性疾患」と医学界が呼ぶ日も来るのかもしれない。ただその前に、「性同一性障害は、精神疾患ではあるが精神病ではない」ゆえ、疾患リストから消える可能性ももちろんある。



多くの場合、心理的性別は、身体的性別と一致しているが、性同一性障害の場合は一致せず「自分の身体は男だが心は女だ」などのように認知している。彼らがそのように認知しているのは、好きこのんでそう思っていたり、性的快楽を得たいからであったり、なんらかの経済的利得が目的であったり、妄想などの精神病症状によるわけではない。多くの性同一性障害者は物心ついたときには既に自分の心理的性別を身体的性別とは一致しないと感じていて、そのことに多大に苦悩し、様々な努力を試みるのだが、 決してその心理的性別は変化しないものなのである。

性同一性障害に対しても、同性愛に対してと同様にかつてその心理的性別を無理に変更しようとの治療が試みられたことがあった。しかし、ここでも同様にその変更は困難であり、その逆に「身体的性別を心理的性別に合わせる」という指針に基づいた治療が行われるようになり、諸外国で広く行われることとなった。日本では、1969年性転換手術を行った医師に対して有罪判決が下されて以来、その治療はタブー視されてきたが、1998年以来、埼玉医科大学で、手術療法が行われるようになったのは記憶に新しいところである。しかしこれらの外科的療法実施には、当事者自身の強い要望があると同時に、「体と心が一致することで正常になる」という医学的思想もその背景にはあった。この思想に対して、「体と心の性別が一致しなくていいではないか。人の心理的性別や身体的性別はさまざまであっていいではないか」という新たな考えが当事者達を中心に起こってきた。この考えを受け、現在の治療指針は、特に精神療法の段階において、「体と心が一致しないままのさまざまな性別のありようで適応していく」ことも一つの選択肢として、当事者に呈示されるようになってきている。


















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Last updated  June 28, 2005 11:07:44 AM
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