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2011.01.12
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カテゴリ: ★★★☆☆な本




光に満ちた景色も、暗くて哀しい風景も、すべてがこの世界だ。
人間を、世界を、渾身の筆で描写した群像劇。



<感想> ★★★☆☆

17日発表の直木賞に 『月と蟹』 がノミネートされている道尾秀介

さんですが、今回が5度目のノミネートになります。 本書は4度

目のノミネート作品です。 直木賞は逃しましたが 山本周五郎賞

(新潮社の主催する直木賞みたいな感じの賞)を受賞しています。


『球体の蛇』 の 感想 で呪縛という言葉を使いましたが、この

作品に関しても本格ミステリーに課せられているレトリックや無理

な整合性などを意識することなく読める作品です。 あらすじには

群像劇と書かれていますが、6本の連作短編とした方がわかりや

すいと思います。 


まずは冒頭の 『隠れ鬼』 ですが、老いた母親を抱える主人公が30

年前に起きた事件を振り返るという筋立てです。 思春期だった主

人公。 美しい年上の女性との出会いと死。 自殺した父親。 知

らなかったはずの母。 それらを30年に一度しか咲かない笹の花



みましたが、これは逸品です。 思わずため息がもれてしまいまし

た。


著者への インタビュー によれば『隠れ鬼』は連作としてではなく単独

の作品として書かれたようです。 つまり二作目以降が連作を意識



いますが、読み口はそれぞれ異なります。 


それに関して、意地悪な言い方をするなら読者サービスが過ぎると

いうことになるのかもしれません。 直木賞を意識するあまりの迷走

などという意見も一概には否定できないような気もしますが、作家や

編集サイドの努力を上から目線で斬ってしまうのも大人げないよう

に感じます。 


タイトルの『光媒の花』ですが、著者の造語のようです、一般的に植

物は虫媒と風媒に分けられるようです。 そのあたりも読み込んで

いくと、この作品をさらに楽しめると思います。





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最終更新日  2011.01.12 21:33:46
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