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「エエッー!なんで、こんなとこに連れてるのーっ!?
せっかくのクリスマスなのにぃ~。」
「だって、どこの店に行っても順番待ちの行列じゃんか。
席を予約したカップルがレストランの前でたくさん待ってて、
そんなとこで食事したってムードないじゃん!」
「そりゃあ、そーだけど・・・。」
ちょっと、ご機嫌ななめの彼女・・・。
クリスマスにコース料理を予約したと言ったら、彼女は期待に胸膨らませてついてきた。

顔立ちのはっきりした彼女は、中華街の門を見て極度のしかめっ面になってしまった。
・・・でも、本気で怒っていない。 どこか楽しそう。
「いつもいい意味で期待裏切ってくれるよね。
ま、そこがワクワク感あって楽しいんだけど」
ボクと同じ歳の彼女・・・・・正確には、ボクより1ヶ月お姉さん。
「たまにはこんなとこでクリスマスってのもイイじゃない?
これから何年も先に、クリスマスなのに中華街で食事したときがあったな・・・って思い出す日が来るよ」


「なんかイヤな言い方だな~、私たち別れちゃうみたいじゃん。
ねえ、私たち別れちゃったらどーする?それでも友達でいてくれる?」
「・・・オレは嫌だな。別れたら友達に戻れないよ」
「私は、ホンダイスくんと別れるときがきても、ずっと友達でいたいの!
たまに会ったり、相談にのってもらったりしたいの!
ずーっと、友達でいたいな~!」
「中途半端なポジションでオレは嫌だな。
だって、いままで連続ドラマの主役だったヤツが、途中の回から脇役やエキストラにまわされちゃうみたいじゃんか!
キミにとっての主人公がいきなりエキストラにまわされちゃうのって、オレには耐えられないなぁ。」
「・・・じゃあ別れたら、もう会えなくなっちゃうの?」
「そうだな。悲しいけど連絡とらなくなっちゃうと思うよ。
・・・それに次に付き合うキミの彼氏にも失礼だろ。
元彼がキミの周りをウロチョロしてたら・・・」
「友達に戻るのもダメなの・・・・?ヤダなー、そんなのぉ」
彼女は、コース料理の中盤に出てきた海老チリを食べながら、
納得いかないような顔をしてた。
好きな人がまた別の人と付き合っているのを
そばで見ているのなんて耐えられないだろう、きっと・・・。
ボクにそんな場で、堂々としていられるような度胸がないだけかもしれない。
好きな彼女と別れるなんて考えたくなかった。
いままで気心知れて、親類みたいな感じで心許してた人が、明日から他人になるなんて・・・。
もし本当にそんな日がやってくるなら、つらいけど彼女の前から姿を消すのが礼儀だろう。

それから数年後、ボクは 彼女の前から姿を消さなくてはいけない日 がやってきた。
その日は突然やってきた。 彼女から別れを告げられたから・・・・。
今まで、お互い借りてたモノを返すという口実で最後に会うことになった。
でも、ボクはそこには現れなかった。
カッコ悪いくらいに泣き崩れちゃうかも知れないから、行かなかった。
借りてたCDとか本は彼女の家の郵便受けに押し込んで、
電話で「元気でね!ありがとう!」と告げるのが精一杯だった。
これが現実なのか、夢なのか、よく判らない狭間で、
毎日泣いて、ぼんやり考えて、何度、電話しようかと・・・・・。
今はどうしようもないこの気持ち・・・・時間が解決してくれる。
そして、ボクはまた、元のひとりぼっちに戻った・・・・。
・・・あれから何年経っただろうか?
今となっては、遠い昔の話・・・・・・・・。
午後10時のチャイナタウンは、
赤い灯篭がぼんやりともる幻想的な街・・・。
赤い灯篭の下を今日も恋人たちが、寄り添って歩いている。
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