THE FABULOUS ’FIFTIES/MILES DAVIS 最近発売された発掘ライブ音源で、56年当時の演奏集。コルトレーンとガーランド入りのクインテットの、ライブ(私家録音?)が聴ける。いわゆるマラソンセッションやCBSの名盤を一通り聴き尽くしてしまい物足りなくなり、56年当時のマイルスをさらにもう少しディープに味わいたい人にはまさに垂涎の録音だ。未発表音源といえども、決して単なるB級ハードバップではない所など、さすがマイルスクインテット。マラソンセッションの方はほとんど全曲ワンテイクということなのでライブといっしょといえばいっしょだが、こちらの演奏は正真正銘のライブ。やはり日常的にマラソンセッションと同じ水準の演奏をしつづけていたようで、当時のクインテットがいかにすごい連中で固められていたかがわかる。56年のマイルスクインテットには、なんと言うか独特のカラーがあったと思う。独特のオーラとでも言おうか。若いコルトレーンのつんのめりながらもヤミクモに突っ走る元気のよさが、マイルスのコントロールされつつきちんと燃えるスイングと対称を成しつつ、全員が創造的熱気を共有する最高のハードバップユニットであった。⑤TUNE UPでのコルトレーンは珍しくスインギーなフレーズを吹いている。⑦FOURは59年録音となっており、何とコルトレーンの代りにロリンズが入っている。コルトレーンとロリンズとを比較するとやはり曲の中でフレーズがきちんと歌いこまれている度合いにおいて雲泥の差がある。ロリンズの場合素材となっている曲の中にもう一つの自分なりの曲をその場で作曲して声として歌いこんでいるのだが、コルトレーンの場合曲のコード進行をたどる器楽的な音の上下動が聴かれる場合が多い。そんなことよりも、コルトレーンの代わりにロリンズがレギュラーで入っていたら、という妄想の一端が実現されている貴重な一曲であることに注目すべきだろう。