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TUNE UP/JACKIE McLEAN ジャッキー・マクリーンがなくなった。こんなエネルギッシュな演奏を聴いているともちろん死の影などまったく感じられないのだが、いつかは人は死ぬものだ。そう考えて聞けば、このようなおびただしいエネルギーの放出もある意味、死と重なり合ってくる。SMILEなどスタンダード曲が心地よい。音楽を放出することに意義があるといわんばかりに野太いトーンで吹きまくり。しかしフレーズはつぼを押さえておりしっかりとスイングしている。バップ通過した人はわけの分からない方向に行かないので安心だ。終わったときにもっと聴かせてくれという気にさせられる良盤。
2006年04月05日
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A NIGHT AT THE VILLAGE VANGUARD, Vol. 1, 2/SONNY ROLLINS ロリンズはミディアム・スローがいい。I can't Get Startedや、All the Things You Areが白眉であろう。特に後者はテーマも無くいきなりアドリブから入るという、まことにライブらしい演奏で、よく聴かないと最初は何を演っているのかわからない。しかしこのゆったりしたテンポの中にこそ、ロリンズのアドリブの真髄が現れている。この人はバラードでは時に感動的な演奏をするが、そのバラードでの表現力が生かされているのだ。歌唱力といおう。この人ほどの歌唱力を持つテナー吹きは、今後そうそう現れないだろう。引退して欲しくない人の一人である。
2005年09月02日
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BLUE TRAIN/JHON COLTRANE この盤はコルトレーン名義だが、リー・モーガンのアルバムとして聴いている。57年だからモーガンは19歳かそこらだろう。しかし天才にとって歳は関係ないようで、ラッパの吹き方は既に完成されている。メロディーメーカーとしての才能は確かに天賦のものだろう。ウネウネと力任せに続くコルトレーンの音と比べると、輝度がまるで違う。(3)ロコモーションでのソロは白眉。(2)モーメンツ・ノーティスといった佳曲もさりげなく入っている定評どおりの名盤。
2005年02月17日
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Paris Jam Session/Art Blakey & The Jazz Messengers 1959年パリでのライブ録音。注目すべきはバルネ・ウィランがアルトサックスで参加していることだ。さらに当時パリに滞在していたバド・パウエルのピアノも。1、Dance of the Infidels、2、Bouncing With Budはパウエルの自作曲で、あのブルーノート盤「アメイジング」がライブで再来する。しかしホーンが三本もいるとさすがに各人競争意識むき出しで燃え上がる。相変わらずモーガンのソロは快調にスイングしまくり、ショーターはゴリッゴリッと辛口の攻め。一人さわやかなのがバルネ・ウィランで、西海岸調とも思える軽快な調子だが、意外とパーカー的な正統派のスイングぶりには驚かされる。晩年のスローテンポ演奏からは想像もつかない若き日のウィランがここにいる。観客の反応よすぎ。ジャムセッションの熱気が心地よい。この熱気、夏の暑い日に海水浴場で食べるソース焼きそばの旨みと似ている。
2004年07月11日
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MEMORIES/CHET BAKER またしてもチェットがヒット。久しぶりに聴いたら、⑤MY FUNNY VALENTINEに率直に感動してしまった。途中からペットが入ってきて盛り上がっていくさまは圧巻。情緒的にそそられるというか、しっとりとしていてかつ熱い。エモーショナルなのだ。エンディングの美しさも逸品の好トラック。これを最後にもってくるあたり、編集者のセンスが光っている。単にアンコールトラックだから最後というわけでもなかろう。決まったときはこんなにもカッコイイのか、チェット。
2004年01月07日
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THE SOUND OF SONNY/SONNY ROLLINS ワンホーン万歳。57年にロリンズ(ts)がソニー・クラーク(p)らと吹き込んだもので、リラックスした歌もの満載の傑作。中でも②Just in Time、③Toot, Toot, Tootsie、⑥Ev’ry Time We Say Goodbyeが屈指の名演。ブラウンクインテットでの研鑽を経て、この年にはもうロリンズのアドリブは完成の域に達している。有名な「サキコロ」なんかよりこんな小唄集でこそロリンズの良さが出ると思うのは私だけではないだろう。彼の歌い方はズートなんかよりちょっと濃いめの味付けなのだが、フレーズ自体が旨いので全然気にならない。次々に出続ける音の一品料理を贅沢にもぺろりと飲み込んで楽しみたくなる。音楽における満足とは何かという問いには多種多様な答えが予想されるが、これは小唄という手法で一つの見事な回答を示した名盤である。
2003年11月05日
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MAINSTREAM OF JAZZ(Sextet:1955-1956)/GERRY MULLIGAN SEXTET これはマリガン(bs)が1955年と56年に行ったセッションを記録したもので、ボブ・ブルックマイヤー(v-tb)、ズート・シムズ(ts)、ジョン・アードレイ(tp)とのセッション。シムズとアードレイといえば、あの名盤「デュクレテ・トムソン」の黄金タッグだ。正直に言えば、私はマリガンよりもこの二人につられてしまった。ふたを開けてみるとやはり予想に違わぬスイングの玉手箱。日本盤VOL.2④BROADWAYの、ズートのすばらしい歌いっぷりはもうどうやって表現したらよいのか分からない。アルバム「DOWN HOME」の「I CRIED YOR YOU」以上かも知れない。スイングとはどういうものか、という問いに対する端的な回答がここにある。編曲に凝ったトラックもあるが、それら細巻を差し引いても満足できる上ネタ満載の寿司4人前というところ。いままで様々に編集されており、1枚のものもあり日本盤のように2枚のものや、3枚位に分けて出されている場合もある。内容のチェックが必要だ。演奏自体は最高なので、手に入るならスタンダードが並んだ日本盤中古のVOL.2あたりから手に入れるのがいいだろう。あとは米盤のSextet:1955-1956と称される一枚ものが、おいしい曲が全部はいっていてお薦め。
2003年11月04日
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BOPSTACLE COURSE/TERRY GIBBS これは傑作盤だ。ギブスのヴァイヴとバリー・ハリスのピアノトリオだが、編成だけ見たらMJQと同じ。だから何となく静かなイメージを連想したのだが、大間違いだった。もろビバップ。ギブスがスイングしまくりで熱い熱い。それも決してただのパワースイングではなく、実に味のあるフレーズを次から次へと紡ぎ出すのだ。テリー・ギブスというヴァイヴ奏者をよく知らなかったのだが、40年代から活躍している古参であると分かった。やっぱりビバップ世代を通過しているジャズメンは違う。軟弱さが無い。芯が通っている。②BODY AND SOULが最高。ゆったりと歌い上げてくれる。そう、演奏にこの「歌」があるかどうかが問題なのだ。そこら中に歌があふれている、これは名盤。
2003年11月03日
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MOANIN’/ART BLAKEY この古典的名盤を、恥ずかしながら全曲通しで聴いたことがなかったのである。あまりにも有名な1MOANIN’や、CMに使われた5BLUES MARCHなど、こういうぶつ切りでジャズのベスト盤にはいっているような曲が並ぶ。この時期のジャズ・メッセンジャーズは、ファンキー色が強いなどといわれている。それはボビー・ティモンズの参加によるところが大きいだろう。しかしバンドのカラーを云々する以前に、私などはどうしてもリー・モーガンのソロに耳がいってしまう。このはっとするような思いきりの良さ。コントラストの強さ。明らかに周りから浮き上がっている。ゴルソンには悪いが、彼のテナーと比べると音楽的にも器楽奏者としても明らかに格が上だ。3ARE YOU REALでのソロには目を見張るものがある。またしても凡人の疑問が頭をもたげてくる。「この驚くべき音楽を、いったいどこから取り出してくるのか・・・?」愚問である。その瞬間生まれているのだ。頭の中に準備したテープがないのがジャズマンというものだろう。肉体はすでに消滅しているが、時空を超越してどこまでも前向きな姿勢を見せ続けるこのアドリブ男にエールを送りたい。
2003年11月01日
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BLUE’S MOODS/BLUE MITCHELL 一言でいって、たくあん。若者にはなかなかそのうまさが理解しがたい。焼き肉とかすしなら、嫌いでなければだいたい誰が食べてもうまいだろう。たくあんはそれ自体突出してうまいというわけではないが、うまい人にはうまいのだ。うまく感じるときがあるのだ。これは薄味でも小気味よい、さわやかなたくあんに似たジャズ?だ。ワンホーンの何の変哲もないハードバップなのだが、曲がどれも良い。のっけからI’LL CLOSE MY EYES、すばらしい!ウイントン・ケリーはサポートの天才。そのあとにはマイナー調の曲やブルースが続き何とも気持ちいい。5 SIR JHONのケリーのソロには脱帽だ。跳ねるスイング力は唯一無二で、マイルスが手放したくなかったのがよく分かる。ピアノをピアノらしく鳴らすセンスを持っている本物のピアニストだ。おとなしい地味な感じのミッチェルにきれいな色を付けて引き立たせている。ケリーは、要するにホーン奏者にカッコを付けさせる一流のスタイリストなのだ。
2003年10月16日
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CHET BAKER/LEE KONITZ IN CONCERT インディア・ナビゲーションという訳の分からないレーベルのライブ盤だが、内容はすごく良い。アルトとトランペット、ベースとドラムスの、何とピアノレスカルテットで、それゆえ得も言われぬ雰囲気が漂っている。いかにもどこぞの人知れぬ地下の暗がりで延々と繰り広げられていそうな感じの音だ。静かでシンプル。旋律を生み出すことに特化された楽器編成。何となくピアノ抜きでやんわりと始まったリハーサルが、いつの間にか熱気を帯びてきて本番になってしまい、気がついたら傑作が誕生していたのではないか?ホーン陣は二人とも肩の力が抜けているのに熱くスイングしているので不思議。①THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOUでは、ペッパーなど西海岸の連中がよくやったヒラヒラと蝶のように舞う掛け合いが美しい。音の紡ぎものができあがる様は圧巻。選曲も全曲スタンダードなのがうれしい。ふと登場するchetのボーカル④JUST FRIENDSが、何ともいえないほっとする感触を与える。彼はやっぱり何人でもへなへなと力を抜けさせる音の按摩師なのである。
2003年10月14日
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AT THE FIVE SPOT, VOL.1/ERIC DOLPHYドルフィーの音楽は定義しがたい。フレーズが特異であることとかマルチリード奏者であることとか、グロテスクな音楽だとかあまり核心的でない批評が多くなされてきた。しかし、この音楽をあれこれ批評しようという試みは無益である。音をそのまま浴びるように聴けばよい。カテゴライズが不可能な独自の音世界がそこにある。楽器を自分の口のように意のままに用いる完璧な操作能力があって、その上でその先にどういう音世界が開けるかを追求している。レベルの高い音楽家である。3The Prophetが白眉。クリフォード・ブラウンと同じく、こんな音楽家は二度と現れないのではないかと思う。ファイブ・スポットのライブ盤には、この盤のみが持ちうる独特の香り、肌ざわり、温度がある。ドルフィーは独自の新しい言葉を作り出していたことがわかる。聴くと外国語や方言を話す人と出会ったときの感覚に近い。言葉自体は聴き慣れなくても、何を言いたいかはわかるのだ。オーバーに言えば、地球外生命体が言葉を使わずに直接我々の意識に語りかけるかのような音楽だ。リトルのトランペットはドルフィーと同じく、表現形式の桎梏を飛び越えて直接聴くもののハートに飛び込んでくる熱を持っている。音には彼らの血液が脈打っているから、我々は目をつぶってその脈動を感じればよいのだ。音がまるで驚くべき新種の生き物のように訴えかけてくる。
2003年10月01日
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EXPOOBIDENT/LEE MORGAN モーガン、やっぱりすごい。②EASY LIVINGは、ブラウンのブルーノート盤と比べても何ら遜色ない見事な演奏。むしろ師匠以上か? ⑤JUST IN TIMEでモーガンはミュートを吹いているが、このいい曲と音色でこられてはたまらない。マイルスのデリケートなミュートとは違い、ひねり効きまくりのダイナミックなフレーズを連発するのを聴くとまた褒めたくなってしまう。⑦LOST AND FOUNDの早吹き。演っている本人が一番気持ちいいに違いない。どの曲もかなりコクがあるように感じられるが、中でも⑥THE HEARINGは逸品で、いいネタ使ってるね、このエンガワ、といった感じ。曲自体で味わうこともできるハードバップ良盤。
2003年06月09日
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A TRUMRET FOR THE SKY, Club21, Paris/CHET BAKER TRIO チェットのライブ盤の中でも出色の演奏。リカルド・デル・フラのベースがものすごい音量で、私家録音のせいかバランスを無視しているが、これが幸いしてずしりと重みのある波が迫ってくる。弦に抱かれ揺られている感覚。傑作は①LEAVINGと③MY FUNNY VALENTINEだろう。流麗なミシェル・グレイエのピアノが満開の桜のようにチェットに彩りを添える。チェットは全編イマジネーションあふれるプレイを見せるが、演奏を聴くと本当に才能があったのだと思わせられる。実に自然にものすごい演奏をする人だ。ちょっとその気になれば閃きつづけてしまうのが天才の所以だろう。おいしいフレーズが湧き出てくる。ところでこのイタリアのPhilologyというレーベル、一体どこからこんないい音源を見つけてくるのだろうか。摩訶不思議。
2003年05月10日
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KING NEPTUNE/DEXTER GORDON デクスター・イン・ラジオランドというライブ7枚組の中の一枚。全曲10分以上の長尺な演奏だが、あっという間に過ぎてしまう。どの曲ももっと聴かせてくれという気にさせる。③SATIN DOLLでの、尽きることのないアイデア。④BODY AND SOULでの、どっしりとした歌いっぷり。このあたりがデクスター・ゴードンの真骨頂だと思う。こんな感じで何曲も吹きまくられれば、デンマークの聴衆もさぞ満足できたに違いない。ヨーロッパにわたったジャズマンの演奏は、大体なぜか洗練され、自由で、のびのびとしている。よっぽど心が開放されているんだろう。久しぶりに非常に後味の良い音楽を聴いた。くどくなく、旨い。残っているとしても、くどさでなく旨みが残っているからいい。それが、もっと聴きたいという気にさせる音楽の秘密である。レコード会社が7枚組みにする理由がよくわかる。
2003年04月21日
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MEET YOU AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD 1,2/ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS 圧倒的という言葉がふさわしい。何なんだ、この熱気は。フロント陣が冴えまくり、バンド全体でメラメラと青い炎を出し完全燃焼状態。2の④The Things I Love、⑤The Summitではもうリー・モーガン万歳。特に⑤では、どれだけ撃っても弾倉がカラにならないカービン銃を撃ちまくり、敵陣を掃討するランボーのようなすさまじい演奏。完膚なきまでに聴衆をノックアウトする。こんなソロはほかの人間には吹けないだろう。彼もまたパーカーやブラウン、マイルスらと同じく、人間国宝級のジャズ・ジャイアンツであったことは間違いない。タイプ的には完全に鉄砲玉、特攻隊長として分類される得難いジャズマンだ。1の③What Knowでは青筋ビキビキ立てて大シャウト。堂に入ったもの。もしクリフォード・ブラウンが生きていたら、共演の一つでもしてくれていたかもしれないと思うとまことに残念だが、フレディー・ハバードとのバトルはブルーノートにあるようなので(ナイト・オブ・ザ・クッカーズ)ぜひ聴いてみたいものである。ところで1の最後のThe Breeze And Iは、露天風呂で鼻歌を歌うようなトラックで、全編熱くてのぼせそうになった時にさあっっと吹き抜ける冷風。こういう曲を一つ入れるなど、メッセンジャーズは気が利く。やはりこれはブレイキーのリーダーとしての力量、サービス精神の表れに違いない。
2003年03月11日
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MISTERIOSO/THELONIOUS MONK モンクの音楽は、テキトーにやっているようでいてじつは非常に思慮深い。ある一定の音世界を固持している。簡単に言えば「ワシ的世界」をしっかりと持っているということなのだ。曲想にそれが顕著に表れている。モンクの曲は曲というよりは、あるイメージ世界を喚起するための洒落たお膳立てであり、連想ゲームの取っ掛かりであり、なぞなぞの投げかけなのである。無骨そうでいて実は彼はすごくおとぎ話が好きそうだ、と思うのは私だけであろうか?でもこれは合ってるんじゃないか、と密かに私も「ワシ的世界」を展開してしまっている。ところで、グリフィンはものすごい。これだけ「きちんと吹きまくれる」人はあまりいないだろう。IN WALKED BUDという曲は、気持ちよすぎて何回も聴きたくなる曲の一つだが、このいい曲にいい演奏とくるものだからもうたまらない。ほかの人がこの曲を演奏しているのを探したが、これ以上のは結局見つかっていない。中学生のときに行ったお祭りみたいではないか。その後ほかのどんなすごいお祭りに行っても、あの一回きりの「中学生のときの」お祭り以上のものと出会うことはもう二度とないのである。この曲この時この演奏、しかないのである。
2003年02月12日
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BLUE EYES/BIRELI LAGRENE この人は基本的に器用なのだが、器用貧乏にならないのは、抜群の歌心、メロディーに対するセンスがあるからだ。②WITCHCRAFTを聴けば、曲のコード進行のすべてを支配下において余裕を持って小技を効かせていることがわかる。彼にしてみれば、スタンダードなら「もう何でも、どんなふうにでもできる」境地に達しているのだろう。ボーカルも聴かせるが、ひょっとしたらギター以上にスインギー?実に舌がよく回る。そもそも人間としてスイング魂があふれかえっているのでなければこうはならないのだ。いい音楽、聴かれるべき音楽を天上から人類に送り届けるために存在する少数の特別な人がいるのだが、隠蔽されているものを彼らが暴露しさえすれば世の中はもっといくらでも美しくなれる。天才たちに感謝。
2003年02月10日
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OSCAR PETERSON TRIO+ONE, Clark Terry これ、最高。こいつら、上手すぎ。6 MACK THE KNIFEでのクラーク・テリーのソロは、マイルスやブラウンをも凌駕する暖かさ、コクが感じられる。陽的な人間性のなしえる究極の「はしゃぎ」世界。5 MUMBLESでのスキャットとも歌詞ともつかない唸りにテリーの実力が表れている。このうえなくスインギーな、ジャズにおけるスイングの教科書のような音楽をボーカルで展開しているのだ。テリーはおそらく、マイルスに奏法うんぬんよりもこういった「スイング勘」を教えたんだと思う。この人がそれを教えずして何を教えたというのだろう、また他の何を多く教わる必要があろうか。大事なのはまさにこの「音でいかに見事に、美しくはしゃぎまわるか」ということなのである。演奏によって人生を楽しむこと。ジャズを演奏することは人類のなしうる最高級の遊びである。その命題を体現するテリー、ピーターソンに敬意を表したい。
2002年12月23日
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TAYLOR’S TENORS/ART TAYLOR チャーリー・ラウズと、フランク・フォスターのテナーバトル盤なのだが、こういう渋いのがあまり話題に上ることもないのは残念なことだ。バトル大好き人間にはたまらない通好みのプレスティッジ盤である。このレーベルは洒落たブルーノートなどと違い、管楽器の数を芸もなくそのままアルバムタイトルにした盤をいくつも出したりしている。これに関しても「テナーズ」ということでそのまんま。しかし内容はといえば演奏者の質が水準以上で楽しませてくれる。ミディアムテンポの③CAPE MILLIE、⑤FIDELが実にいい曲で、両者のアドリブも冴え渡る。気持ちの良いスイング発表会。聴いている我々審査員も甲乙つけがたい。それにしてもチャーリー・ラウズのダーティーな音色とフガフガしたフレージングは、さすがモンクバンドに入るだけのことはあってユニークだ。
2002年12月16日
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THE MUSINGS OF MILES/MILES DAVIS しばらく仕事を頑張って、ひと段落ついたときに「そういえば、ジャズ最近聴いてないな。」達成感に満ちた精神状態にはたとえばこんな趣味のいいジャズがぴったり合う。音楽全体が柔らかく、いわば音のリフレクソロジー。レッド・ガーランドとオスカー・ペティフォード、フィリー・ジョーが醸し出す穏やで暖かな音場に、ひたすらスムーズに流れるマイルスのワンホーン。②I SEE YOUR FACE BEFORE MEの究極のミュートプレイをぜひとも聴くべし。耳のそばで囁いているようなこの音色こそがマイルスの真骨頂である。モード以降疾風怒濤時代に入って失われる以前の、50年代マイルスの良さがここに凝縮されている。③I DIDN’Tでは、オープンホーンでミディアムファスト、あの独特の「間」の効いたフレーズを連発。しかしこの独特のタイミングの取り方だけは失われることがなかった。体に染み付いたスタイルなのだろう。④A GAL IN CALICOに到ってはもう何もいうことなし。わかったわかった、もう五つ星にしたる、と批評家さんも降参。
2002年12月11日
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IN CONCERT/CLIFFORD BROWN ブラウンの驚異的なライブ。なんでこんなことが即興で、しかも一度でできるのか!?全く四次元的摩訶不思議な世界。こんこんと湧き出るフレーズのすばらしさに圧倒され、感動的ですらある。音楽が次から次へと出てくるマジックショウだ。全編ブラウンは天上から舞い降りた音楽の使者と化しているが、④PARISIAN THOROUGHFAREのハロルド・ランドにも注目。ソロがツボにはまり切っている。とにかくこの盤は、クラシックなどとともに人類の歴史的遺産として残されるべき類のものであることに間違いない。
2002年11月29日
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THE CATS/TOMMY FLANAGAN 典型的なジャズ喫茶盤。いかにも、というドマイナーの①MINOR MISHAPが聴こえてくるや否や部屋が完全にジャズ喫茶に変わる。プレスティッジの担当者も完全にジャズ喫茶にターゲットを絞って作らせたんじゃないか?と思う。メンバーもTommy Flamnagan,p; John Coltrane,ts; Idrees Suliman,tp; Kenny Burrell,g; Doug Watkins,b; Louis Hayes,ds; ということでB級ハードバップの黄金ユニット固め打ち。録音もApr.18, 1957ということでまたいい時期、ハードバップのナマミソズイ。管楽器のハモリが妙に心地よい。
2002年11月25日
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COOKIN’ AT THE PLUGGED NICKEL/MILES DAVIS 怒涛の音攻撃。といっても不快になるわけではない。限りなく創造的な音楽が展開される。通常のフォーマットを踏み越えそうなフリーブローイングが延々と続き、実に挑戦的でエネルギッシュなバンド全体の姿勢に心うたれずにはいられない。この音楽は例えば、従来のCD-RWドライブ(ハードバップ)に、別のデータ形式であるDVDを読み取る機能(「プラグドニッケル的」バップ?!)が組み込まれたようなものだ。コンボドライブ付のP4・2Gへと進化したということなのである。マザーボード(リズム)もかなり大幅に強化されている。高速道路バトルのようなトニー・ウィリアムスのシンバルが煽りまくると、マイルスもっとヒートアップしろ、怒れ、切れろ、と変な声援を飛ばしたくなってしまう私がいる、おっと危ない危ない。いやー、すげーやこれ。
2002年11月08日
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CHET BAKER FEATURING VAN MORRISON LIVE AT RONNIE SCOTT’S しっとりとしたライブで、夜中に聴くとちょうど良い雰囲気。小ぢんまりとしているが、チェットがやってきたトランペット・ベース・ピアノのトリオの完成型だろう。ちょうどキース・ジャレットトリオと同じようなもので、三者がお互いにやりたいことが分かり合えていると感じられる。②ARBORWAY、リラクゼーションの極み。このゆるやかな時の流れ。安心と贅沢さを音楽で表現するとこんなふうになろうか。ここにはかれの音空間自体が持つ居心地のよさがある。ペットの音量も「小さい声で喋る」ので聴き手との親密な距離感を要求する音楽なのだが、むしろその距離圏内に周りの人をどんどん吸い込んでしまう不思議な魅力を持っている。こんなのを久しぶりに聴くと、やはりジャズはやめられないなんて思ってしまう。④MY IDEALのチェットには脱帽。やられました。
2002年11月03日
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THE HERBIE MANN-SAM MOST QUINTET 癒しの一枚。中でも究極は④LOVE LETTERS。このアドリブもない演奏が、なぜか心に染み入った。アヤドの歌を既に聴いていたからだろう、彼女の声がフルートの音色とともに頭の中で即座に聴こえてくる。「おなじみ効果」で癒しは倍増。マンとモストを聴いているようでいて、実は頭の中のアヤドチエを聴いていたのだ。まあこの一曲は特別として、ミディアムからミディアムファストで演奏される各曲は申し分ないスイング度で楽しませてくれる。いずれもテーマからアドリブに入る瞬間のピックアップと呼ばれる部分のフレーズがどうしようもなく小気味よく、また同一人物による声とフルートの合奏という、フルートにしかできない芸も見ることができる。フルートって実は簡単な楽器なんじゃないかと素人に錯覚させるほどの見事さ。音色が爽やかだ。ああ、ほんと癒される。
2002年10月24日
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DELIGHTFULEE MORGAN いかにも60年代ブルーノートな盤。ワルツあり、ロック調あり、ビートルズあり、カリプソ調ありのカラフルな曲構成。ハードバップは66年にはもう爛熟期を終え色々な姿を纏い始めていることがわかる。③NITE FLITEがモード曲でやたらかっこよく、モードはあまり好みではないのだがこれだけすばらしくスイングしてくれたら文句のつけようがない。モーガンが絶好調、ジョーヘンもフリークトーンまで混ぜつつ飛ばす。相変わらずモーガンの綱渡り的ソロは健在で、まあ最後までこの人はこうなのだろうと、根本的な変化のなさに逆に大いに安心してしまう。どの時期を切り取ってみても変わらない面をもっていることがジャズマンの一つの条件だと思うが、創造的・突発的・噴出的な演り方は変わることがなかった。
2002年10月22日
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MILES DAVIS AND MILT JACKSON 一度聴いたら印象に残る作品。まず曲。なんかちょっと変わったトンガッタ曲が多い。のっけからエリック・ドルフィーのようなDR.JACKLEが聴こえてくるが、各人のアドリブは実にスムーズかつメロディアス。③MINOR MARCHもどこかトンガッテいるのだが、アドリブがまたすばらしい。ゴツゴツと始まり滑らかに展開する各曲を聴いていると、バタバタとうるさい昔の車を思い出す。動き出した最初バタバタするところがまた味があるというものだ。ミルト・ジャクソンのヴァイヴは滑らかな潤滑油のようにいついかなるときにもスムーズなバンドの回転を保証する。究極のエンディングは④CHANGES、マイルスのミュートで癒され切って終わる。全四曲と短いが、すぐ終わるのもこの盤の個性。なんとなく前衛がかった絵画みたいなジャズだ。
2002年10月10日
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WAY OUT WEST/SONNY ROLLINS ピアノレス・トリオが渋い。ホーン奏者にとってはよっぽど自信がないとこういう編成はできないだろう。余計な味付けがない分アドリブの質自体がものを言う。しかしロリンズは真っ向勝負で吹ききり、文句無しの演奏を見せる。3COME, GONEでの延々と続く怒涛のスイング。豪快かつ流麗なフレージング。ひたすらアドリブ一本に賭けるミュージシャンとしての意気込みが伝わってくる作品だ。即興で歌うことにかけてはこの人はおそらくワン&オンリーで、同じ路線でこの人がやってのけたレベルを超えることはなかなかできないのではないかと思う。5THERE IS NO GREATER LOVE、口よりうまくサックスを扱う巨匠の至芸といえようか。
2002年10月07日
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DIG/MILES DAVIS これはもう暗記するくらい聴いた愛聴盤。1DIG、なんとも異様な熱気。天変地異など何かただならぬ事態が起こったかのよう。要するにこれはスイングの嵐が巻き起こったのであり異常高気圧現象の渦中の記録なのである。2IT’S ONLY A PAPER MOONは嵐が過ぎ去ったあとのウソみたいな晴れ間。カラッとして気持ちが良い。3DENIALでは、また嵐。もうスイングを止めようとしても止まらない。あとからあとからフレーズが湧き出てくる。放っておいたらこいつらはこのままずっと死ぬまでスイングしつづけるのではないかと思えてくる。仕事がない日頃の憂さを晴らすかのようにとにかく吹きまくるマイルスが圧巻。一方若きロリンズの才能も随所に現れている。CDに追加されたバラードMY OLD FLAMEは非常に耽美的で気に入っているが、クールといわれた時代のマイルスサウンドの典型がここにある。マリガンの入った十何奏団ものやつで編曲があったりすると、クールの真の姿はわかりにくい。そういうものではふわふわした感触とあいまいさが残るだけである。この演奏を聴いて以来、私はマイルスのクールの本質は耽美的なものではないかと思い、以来そのように理解している。
2002年09月24日
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SETTING STANDARDS/WOODY SHAW 元気のいいトランペッターだ。前半①~③ではフレディー・ハバードの影響が強く出ており、速いフレーズをバリバリとコルトレーンのように吹きまくる。ハバードはコルトレーン・ミュージックの影響を強く受けていて、コルトレーンをトランペットに翻訳したということはよく知られている。このウディ・ショウも最後まで速いフレーズをつなぐのに終始するのか…ああ残念と思いきや、一転④THE TOUCH OF YOUR LIPSでブラウニー直系の堂々とした歌いっぷりを見せる。実にメロディアス。よくぞやってくれました、こういうのを待っていたんです。ワンホーンアルバムだけに相当気合が入っている。全編を通してトランペッターとして十分完成されていることがうかがわれ、バラード終わりのカデンツァなどは見事だ。音量十分、音色のふくよかさなどは並居るトランペッターの中でも群を抜いているのではないだろうか。トランペットの旨みを味わえる一枚。
2002年09月20日
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SONNY’S CRIB/SONNY CLARK 冒頭WITH A SONG IN MY HEART、この理屈抜きに迫り来る勢いこそがJAZZの命である。ドナルド・バードのテーマから始まるが、「早くアドリブ吹かせてくれぇー」といったウズウズが感じられる。テーマが終わるや否や猛ダッシュで100メートル全力疾走。息の続く限り吹ききろうとするがむしゃらさに惹かれる。一方コルトレーンはマイルスのマラソンセッション当時とは違って成長しており、つんのめることはもうないが、あいかわらずせわしなく音符が上下動する。もう少し落ち着いて吹く路線を行ってくれていたらそれなりに味のある演奏もするのにと歯がゆく思う。この人が地に足のついた演奏をするにはバラード級のゆっくりペースが必要なのだろうと思う。それ以上速いペースでは蛸足シュルシュル運指で具体性がないフレーズが多くなってしまう。カーティス・フラーのほうは泰然自若、ペースがどうであろうと、ほげっとしたあの感じは変わらない。さてリーダーのソニー・クラークであるが、ホーン陣が3人もいるので隠れがち。仲間に花を持たせている格好だが、彼は地味に縁の下の力持ち役を務めるキャラなのだろうと思う。くすみ色だからこそ、フロント陣が冴えるのである。カラーコーディネートには欠かせない一着、ソニクラブランドのくすみ系といったところか?
2002年09月12日
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I REMEMBER YOU/CHET BAKER 全く、ライブは良いものだ。音空間は居心地最高でステージ目の前1.5mくらいのところに座っている感じ。チェットは快調そのもので余裕たっぷりの演奏、明るい面が良い形で出ている。ライブ共演歴のあるギターのダグ・レイニー、おなじみのイェスパー・ルンゴーのベースといっしょだからか、チェット自身が安心し切っているのが感じられる。さらに聴衆のウケのよさは普通じゃない。これだけいい環境に置かれればすばらしい音楽は約束されたようなものだ。チェットは調子に乗ってピアノ演奏まで聴かせている。トランペットをそのままピアノに置き換えたようなもので左手による和音などはないが、いかにも楽しそうにプレイしているのでこちらまで楽しくなる。もちろんペットとボーカルは、いつもながらの冴えを見せている。聴いたあと心が暖かくなる稀有なディスクだ。
2002年09月07日
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ART PEPPER with DUKE JORDAN IN COPENHAGEN 1981 ペッパー晩年のヨーロッパライブ。オリジナル曲は少なく、おなじみのスタンダード曲の数々を気持ちよく吹いている。ペッパーが熱いのはもちろんだが、リズムセクションがまたすごい。ドラムのカール・バーネットがドコドコッとなかなかの力演である。訥々としたジョーダンのピアノはハイテンポ曲では少々歯が抜けたような感じだが、⑥のYOU GO TO MY HEADなどのバラードでその真価を発揮している。つまり彼は枯淡の境地に入っているのだ。その枯れたジョーダンと、メラメラと燃え尽きようとするペッパーの対比がよい方向に出ている。バラードでのペッパーは、すべてを受け入れたかのような懐の深さ、なんともいえない暖かさを醸し出している。最後に残された時間、演奏できる幸福を噛みしめながら歌いつづける。「人生はそんなにやりきれないものではないよ」という心境がなんとなく伝わってくるようだ。とにかく本当に演奏したくてたまらなかったことがわかる。演奏意欲が基本的な「生きたい」という意欲とほぼ同一化するところにまで強まっていた点が、晩年の彼の特長だろう。生への愛が、思想によるゆがみのない形で率直に表出されているのを聴き取ることができる。
2002年09月05日
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LIGHTS OUT!/JACKIE McLEAN 50年代ハードバップのうまみが詰まっている。これはブルーノートの味噌系ではなく、間違いなくプレスティッジの醤油味系ハードバップである。④A FOGGY DAY、ゆったりしたペースに乗って展開されるすばらしいスイングに唸ってしまう。ドナルド・バードの息の長いメロディアスなフレーズがすばらしい。⑤KERPLUNKではマクリーン、バードの天空をひらひらと舞うような美しい掛け合いが見事。じっくりと落ち着いて、丁寧に歌いこまれている。各人、実に自然体のソロなのだが、その自然体のレベルの高さがもろに表れている。56年という年の豊穣、やはり底なし。
2002年09月02日
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EIGHT BY EIGHT/DON FAGERQUIST OCTET 典型的なウエストコーストジャズだが、ファガーキストのアドリブ主体のブローイングセッション風で、アレンジ自体は控え目だ。しかしこの人、こんなにうまいのにあまりにも知名度が低すぎる。この流麗かつ豪快なフレージングはもう間違いなく西海岸のファッツ・ナバロだ。④ALL THE THINGS YOU AREや⑤SONG IS YOU、⑥TIME AFTER TIMEといったスタンダードを気持ちよく吹いているが、スイングの何たるかを心得ているし、タイム感覚がしっかりしていて、輪郭のはっきりした太い音色もまた良し。おなじみのスタンダードでも明るめの色調でこれだけすばらしく塗り替えられればちょっと驚いて身を乗り出してしまう。「ほーう、こんな奴もいるんだ(・o・)」まだまだ知らない名人・名盤が多い。
2002年08月27日
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THE FABULOUS ’FIFTIES/MILES DAVIS 最近発売された発掘ライブ音源で、56年当時の演奏集。コルトレーンとガーランド入りのクインテットの、ライブ(私家録音?)が聴ける。いわゆるマラソンセッションやCBSの名盤を一通り聴き尽くしてしまい物足りなくなり、56年当時のマイルスをさらにもう少しディープに味わいたい人にはまさに垂涎の録音だ。未発表音源といえども、決して単なるB級ハードバップではない所など、さすがマイルスクインテット。マラソンセッションの方はほとんど全曲ワンテイクということなのでライブといっしょといえばいっしょだが、こちらの演奏は正真正銘のライブ。やはり日常的にマラソンセッションと同じ水準の演奏をしつづけていたようで、当時のクインテットがいかにすごい連中で固められていたかがわかる。56年のマイルスクインテットには、なんと言うか独特のカラーがあったと思う。独特のオーラとでも言おうか。若いコルトレーンのつんのめりながらもヤミクモに突っ走る元気のよさが、マイルスのコントロールされつつきちんと燃えるスイングと対称を成しつつ、全員が創造的熱気を共有する最高のハードバップユニットであった。⑤TUNE UPでのコルトレーンは珍しくスインギーなフレーズを吹いている。⑦FOURは59年録音となっており、何とコルトレーンの代りにロリンズが入っている。コルトレーンとロリンズとを比較するとやはり曲の中でフレーズがきちんと歌いこまれている度合いにおいて雲泥の差がある。ロリンズの場合素材となっている曲の中にもう一つの自分なりの曲をその場で作曲して声として歌いこんでいるのだが、コルトレーンの場合曲のコード進行をたどる器楽的な音の上下動が聴かれる場合が多い。そんなことよりも、コルトレーンの代わりにロリンズがレギュラーで入っていたら、という妄想の一端が実現されている貴重な一曲であることに注目すべきだろう。
2002年08月25日
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PECKIN’ TIME/HANK MOBLEY リー・モーガン、ハンク・モブレー、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバースという面子を見ただけで、ある種の音楽が自動的に聴こえて来るではないか。中身はもろバリバリのハードバップ。SPEAK LOWでのリー・モーガンのソロ、かなり神懸かってます。演ってる全瞬間天才的に閃き続けてます。さらにGIT-GO BLUES、完全にツボにハマって吹き切ってます。モブレーもマイペースながらいつもどおり秀逸なプレイを聴かせてくれる、これはもう文句なしの傑作盤と断定させていただきます。ブルーノート万歳、ジャズ万歳。おまえらよくやったと誉めたい。
2002年08月14日
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DINAH WASHINGTON with CLIFFORD BROWN 先回に引き続きブラウンがらみのジャムセッションを取り上げるが、この盤はブラウン一人ではなくダイナ・ワシントンのボーカル、クラーク・テリーのトランペットなど聴き所満載。クラーク・テリーはマイルスの先生だっただけあって、さすがにうまい。フレーズにウィットが効いている。ブラウン、テリー、メイナード・ファーガソン3人のバトルがハイライト。テリーやファーガソンは勢いでドヘドヘッと吹いてしまうこともあるが、ブラウンは最初から整理され良く構成されているソロを吹く。吹く前にすでに頭の中に音楽がはっきりと描かれているのだろう。構成力のレベルがけた違いである。このセッションはスタジオライヴの形で収録されているので、拍手やどよめきなど観客のリアクションがそのまま伝わってくる。この会場と一体化した雰囲気は最高で、聴く者を明るい気分にさせる不思議な力を持っている。「生もの」にしか含まれないビタミンがあるということか。
2002年08月06日
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BEST COAST JAZZ/CLIFFORD BROWN この盤は2曲しか入っていないが、ジャムセッションなので各人の長いアドリブを堪能できる。YOU GO TO MY HEADというこの曲は、数あるスタンダードの中でも最もコードチェンジが美しい部類の曲だろう。ブラウンは難なく吹きこなしており、目を見張るような創造力と歌心だ。途中胸をえぐるような情念の高まりを見せた後、一転、夕日がちらちらと最後の光を発しながら落ちてゆくごとく、最高に美しい旋律を描いて低音階に滑り込む。全体としてリラックスした雰囲気であるにせよ他の3人のサックスとはあきらかに格が違う。彼はやはり本当に天才だったのだと、納得せざるを得ない。要するに「即興力」の違いなのだけれど、その場その場でこれだけきちんとした音楽を組み立て作り出してしまうのは、やはり尋常ではない。ジャムセッションらしく他のブラウンの作品群よりは荒削りな仕上がりだが、そのぶん気楽に聴ける。
2002年08月02日
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AGAIN/EDDIE HIGGINS TRIO きらめくような音楽。ボサノバリズムを用いた料理法が目立つが、それがあまりにもいい。極めつけは④MY FOOLISH HEART、エバンスのバンガードライブなどを聴きなれている耳には、えらく新鮮に聴こえる。美しいピアノの音色とともに滑らかかつ伸びやかに展開される極上の音楽。一言で言えば、贅沢な音楽である。贅沢といってもお金がかかっているという意味ではない。音楽というすばらしきものと共に生きる幸福感、それが満ち溢れているからすなわち贅沢なのだ。ヒギンズというひとの人生の充足感がそのまま音楽として伝わってくる。
2002年07月29日
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STANDARDS VOL.1/KEITH JARRETT 驚くべき集中力。音楽によって時間の密度が恐ろしく濃くなっている。手あかのついたスタンダードが、この音楽家によって生命と価値と意味を吹き込まれ、全く新しいものへと変身している。極上のワインも、もとは葡萄から始まって熟成され変化を遂げるものだが、ここでは最初から熟成しきった新しい音楽が次から次へと絶えることなく湧き出てくる。「素材」を感じさせないのだ。芳醇な香りとともに紡ぎ出される旋律の数々。我々がこの完全没入的陶酔境を追体験するには、他の一切を遮断して「ながら聴き」となる要素を排除してしまわねばならない。そうしなければ2、ALL THE THINGS YOU AREの圧倒的奔流の中で何が行われているのかを正確につかむのは不可能である。しかししばしの「訓練」を経てその圧倒的密度の世界でも息ができるようになれば、おそらく他の音楽家では到達し得なかったであろうピュアな世界を垣間見ることができる。高地の民、深海の民、極北の民。別の空気を吸う者。彼らにとっては最初に葡萄があるのではなく、最初からもうワインなのであり、ワインがすなわち水なのだ。
2002年07月23日
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BOP’97/FRANK MORGAN バップという音楽をこよなく愛する私にとって、このようなベテランの存在はありがたい。バップが昔の古典芸能に成り下がることのないようにしてくれる貴重な演奏である。バップというものは一つの「運動」、つまり人間の様々な生き方の中でも飛び切り積極的な生き方に分類されるものの「さらけだし」であって、常に現在進行形である。したがってバップが定式化されたクラシックなものになってはいけないのだ。我々はさらけ出された生き方を「鑑賞する」のではなく、同時に生きて体験する作品は、演奏しつづける私の人生そのもの。そのように生きるミュージシャンが、「ジャズの巨人」とよばれるのだ。モーガンは、パーカーのそのようなバップ道を正統的に受け継いでいる数少ないミュージシャンのひとりである。
2002年07月18日
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CANNONBALL TAKES CHARGE/CANNONBALL ADDERLEY 1959年の作品で、彼が例のファンキー・ソウル路線に移行する前のもの。しかしまあアドリブのすばらしいこと!アルト・サックスが完全に肉体の一部となっている。自由自在に歌い倒し、全トラック快調そのもの。この時代にこれだけ見事にアルトを吹ききることができる人物は他にいなかったのではないだろうか。後味最高の爽快痛快ジャズ。いくつかの別テイクも全部秀逸。解説を読むと、彼が教師出身だなんて書いてあるのを見てびっくりした。パワフルな中にもフレージングにどこか賢さが漂っているのはそのためかと納得。頭の回転が速いのだ。9 I REMEMBER YOU、何回も追試を行いキャノンボール先生自身が合格点をつけた演奏だけに、うならせる。
2002年07月05日
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A NIGHT AT BIRDLAND/ART BLAKEY バードランドは、数々の歴史的名セッションを生み出してきた場所である。タイトルに「バードランド」「ライブ」の文字があるだけで無条件に反応してしまう結果、こういった盤を異常にたくさん持っているコレクターも私のみならず大勢いることだろう。これは私にとって高校生以来の愛聴盤。世の中のつまらなさと汚さに絶望しかけていたときに、ふとNHKラジオからVOL.1の2ONCE IN A WHILEが聴こえてきた。「ジャズ、こんなものがあったのか!世の中もまだまだ捨てたもんじゃない!」とすばらしい音楽によって生きる喜びと楽しみを与えられ、それ以来この盤はフレーズを全部覚えるくらい聴きつぶした。めったに見つけられない宝物を見つけたような感覚で、自分ひとり訳のわからない優越感に浸っていたように思う。とにかく比類のないクリフォード・ブラウンのソロ。凡百のプレイヤーとは全くレベルがもう違いすぎ。当時この場に居合わせたバディ・リッチは、ブラウンのソロが始まった瞬間食べていたものを落とし口をあんぐりあけたままになったと言う(ホントかウソか)。これはジャズの古典、人類の宝として末永く後の世まで伝えられるべきである。
2002年06月22日
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BIRDLAND SESSIONS/MILES DAVIS 1951年のマイルスは仕事がなく不調だったと伝えられるが、そんな定説を完全に覆すのがこの演奏だ。⑦HALF NELSONのなんと見事なことか。これは曲がいいのである。ミュージシャンが乗る曲というのは決まっている。波乗りのように「何かのうえに乗っかって」スイスイと音空間を泳ぐ。イルカやシャチが高速でボートに合わせてはね飛びまわりながら泳ぐ様を見ているような、そんな感覚だ。曲はタッド・ダメロンのLADYBIRDのコード進行をそのまま使っているが、しかしダメロンの作曲力には参ってしまう。ミュージシャンが音のサーフィンをするには乗れるくらいの波が必要だが、まったくすばらしい波を作る人物だ。⑨MOVE。完全絶好調。発掘版だが収録時間が長く80分近くあり、50年代初頭の熱気を実感できる。
2002年06月20日
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THE SERMON(THE COMPLETE JIMMY SMITH’S SUPER JAM VOLUME2) ジャズ語、というものが存在する。この世にいくつもの言葉が存在し、その言葉を使うもの同士が独自の文化を形成しているように、ジャズメン独自の共通語が存在する。そして彼らは日夜ジャズ語を駆使し、如何に美しく雄弁に語るか切磋琢磨しているのだ。当然個人個人の口調、口癖なども存在する。リー・モーガンは巻き舌べらんめえ調で、この個性はちょっとなかなか見当たらない。ヤンキイッシュとでも言ったらいいのか!?威勢良くまくし立てるのが得意。すなわち天才的不良、カッコイイ奴。華々しくアクロバティックに吹くことにかけては彼の右に出るものはいない。ソロを聴いていると、直感で次の音を出している。全く手本無しで見事な行書体の文字を書き上げていく書道師範を見ているようだ。ジミー・スミスは、早口で喋りつづけることにかけては一級品だ。①’S WONDERFULでは、「かまぼこぼこ、かまぼこぼこ、か~マぼこぼこ」とオルガンで早口言葉を連発。ジャズメンが集まってにぎやかに会話したときのものすごさは、聴いてみなければわからない。ちなみにタイトルのTHE SERMONとは、説教という意味。誰が一番気合の入った説教をたれるか微笑ましい競争を繰り広げている。
2002年06月07日
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4,5,&6/JACKIE MCLEAN 一心不乱にハードバップ。4CONFIRMATION、アドリブに完全没入。ただひたすらアドリブし続ける。よくもまあこんなに即興で吹きつづけられるものだと感心する。しかしこの時代はこんなのがあたりまえだったのだろう。周りのみんなこんな連中ばっかりだったから、各人もじっくりといい音楽を創りつづけることに没頭できた。今は音楽をやるのにもスタイルに目移りするものがありすぎて、よほど芯が強い人でないと一時の潮流に流されて終わる。売ること受けることを全くねらっていないレコードがジャズ喫茶なんかで愛されるのは、音楽のことしか考えていない一筋なものが演奏を通して聴こえてくるからだろう。ジャズでは、儲からんよ。でも、オレ、ジャズ好きだから。そういったミュージシャンの心意気を理解する者がジャズファンとして残り、ほの暗いスペースにたむろしているのではないかと思う。ジャズはマイナーミュージックの極致であり続けねばならない。ミュージシャン側の演りかた・生き方と、リスナー側の聴き方・愛し方において。
2002年05月28日
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LIVE IN HOLLYWOOD/AL HAIG ①THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU。んーっ!いい曲。チェット・ベイカー、ソニー・クリス、ジャック・モントローズ各人のアドリブも、曲のよさからか、最高によく歌っているように聴こえてしまう。この曲には完全に脱帽。②BARNEY’S TUNEもまたこれがGOODな曲だこと。こいつらはこの盤ではいい曲しか演奏していない。ライブなので各人の演奏したいうち最大公約数的な選曲をするとこうなったのだろうか。とにかく昔の52年のライブなので、例の「時代のオーラ」が感じられる。チェットは若い。若さは宝だ。音の瑞々しさがいとおしい。③MY OLD FLAMEを吹くチェットは、二度と戻らぬ青春時代の切ない感傷を吹く音にこめているようだ。本人はただ吹いているだけかもしれないが、聴く私にはその「はかなさ」が感じられてならない。そしてつくづく青春というやつから完全に足を洗ってしまってはいけない、それが放ちつづける美の永遠なることを忘れてはならないと感じ己に諭し聞かせるのだ。二度と繰り返されることのない「はかなさ」がすなわち青春の定義である。従って、ジャズとはまさに青春そのものの体現化なのである。昔のライブ音源には、一回性の「はかなさ」が満載されている。太平洋戦争当時の特攻隊パイロットの写真を本で見たときに感じるものと似たものがある。二度と戻らないものへの感傷。記録されたジャズメンの人生の僅かな一部としてこれらの録音が奇跡的なものであり無限の価値を持つこと。それと同じく、記録されることのなかった膨大な音楽の存在に思いをはせるとき、同様に、記録されていない我々の人生の大部分、また何も記録すらされることなく散っていく数多くの命の存在にも気づく。ジャズは一期一会。
2002年05月25日
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SONNY STITT BUD POWELL & JJ JOHNSON すごすぎる。前半のスティット×パウエルの戦い。止まる所を知らぬ音楽的昂揚。ここまできたらこやつらは、無意識のうちにとめどなくスイングしてしまうという一種のジャズ病にかかっていると診断せざるを得ない。「回転し切って自分らにも止められませーん、ブレーキとっくに焼ききれてマース」ということなのだろう。とにかく冴え切ったすさまじいテクニックでの吹きまくり、弾きまくり大会。スティットはセッションに入るとき、パウエルに「たぐいまれなる天才のパウエル様」とか何とか言ってノセてしまったらしい。つまり、いわばこれは、教養や趣味のあるおば様方がよくやる(かどうかはわからないが?)弁舌の限りを尽くしてのお褒め合戦のジャズ版なのである。我々にできることは、ただ口をあんぐりとあけてみているだけなのである。あきれるもよし、そのごとくうけとり感心するもよし。(※特記事項/ジャズを初めて聴く方がこれを聴いた場合どうなっても知りません(^_^;)…すごい硬派なリアルジャズですので、ジャズ中毒になりかかった方が聴かれるのが一番良いかと思われます。あるいはこれからぜひジャズ中毒になりたいという方も。私はこれを高校生のときに聴いてノックアウトされてしまい、以来ジャズ中毒患者となっています。)全然話が変わるようですが、後半に入っているアフタヌーン・イン・パリという曲、JJとスティットが演奏していますが、ほんとにいい曲です。
2002年05月20日
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