SONNY’S CRIB/SONNY CLARK 冒頭WITH A SONG IN MY HEART、この理屈抜きに迫り来る勢いこそがJAZZの命である。ドナルド・バードのテーマから始まるが、「早くアドリブ吹かせてくれぇー」といったウズウズが感じられる。テーマが終わるや否や猛ダッシュで100メートル全力疾走。息の続く限り吹ききろうとするがむしゃらさに惹かれる。一方コルトレーンはマイルスのマラソンセッション当時とは違って成長しており、つんのめることはもうないが、あいかわらずせわしなく音符が上下動する。もう少し落ち着いて吹く路線を行ってくれていたらそれなりに味のある演奏もするのにと歯がゆく思う。この人が地に足のついた演奏をするにはバラード級のゆっくりペースが必要なのだろうと思う。それ以上速いペースでは蛸足シュルシュル運指で具体性がないフレーズが多くなってしまう。カーティス・フラーのほうは泰然自若、ペースがどうであろうと、ほげっとしたあの感じは変わらない。さてリーダーのソニー・クラークであるが、ホーン陣が3人もいるので隠れがち。仲間に花を持たせている格好だが、彼は地味に縁の下の力持ち役を務めるキャラなのだろうと思う。くすみ色だからこそ、フロント陣が冴えるのである。カラーコーディネートには欠かせない一着、ソニクラブランドのくすみ系といったところか?