DIG/MILES DAVIS これはもう暗記するくらい聴いた愛聴盤。1DIG、なんとも異様な熱気。天変地異など何かただならぬ事態が起こったかのよう。要するにこれはスイングの嵐が巻き起こったのであり異常高気圧現象の渦中の記録なのである。2IT’S ONLY A PAPER MOONは嵐が過ぎ去ったあとのウソみたいな晴れ間。カラッとして気持ちが良い。3DENIALでは、また嵐。もうスイングを止めようとしても止まらない。あとからあとからフレーズが湧き出てくる。放っておいたらこいつらはこのままずっと死ぬまでスイングしつづけるのではないかと思えてくる。仕事がない日頃の憂さを晴らすかのようにとにかく吹きまくるマイルスが圧巻。一方若きロリンズの才能も随所に現れている。CDに追加されたバラードMY OLD FLAMEは非常に耽美的で気に入っているが、クールといわれた時代のマイルスサウンドの典型がここにある。マリガンの入った十何奏団ものやつで編曲があったりすると、クールの真の姿はわかりにくい。そういうものではふわふわした感触とあいまいさが残るだけである。この演奏を聴いて以来、私はマイルスのクールの本質は耽美的なものではないかと思い、以来そのように理解している。