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行ってきました。横須賀軍港巡りツアーとかいうやつで。いやぁよかった。横須賀湾の中ぐるっと遊覧船で回って米海軍・海自基地を覗き回る感じ。警備上の問題もあってそこまで近くにいけるわけじゃないけどそれでも近い。特にジョージ・ワシントンなんて陸からはほとんど死角で見えないから見えただけでも儲けもんである。ツアーの前半、ふと対岸の米軍基地に目をやったらこれですよ。ブラックホークじゃねえか!やばいマジで。感激。だって基地の反対側と思わしきとこから映画みたいにぐるっと二機で旋回して、ランディングアプローチですよ。しかもダウンウォッシュで水しぶき上がってるし。これほど男心をくすぐられるシチュエーションがあるだろうか。その後、本格的に横須賀港の中に入って。二週間前に海自に引き渡されたばっかりのピカピカ新造船ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」高速の景色からふっと見えたとき思わず「ひゅうがだ!」って叫んじゃった。だって初めてだったんだもん。横須賀入ってはじめてみた艦である。ますますこの艦が好きになったぞ。米海軍原子力空母「ジョージ・ワシントン」このツアーの目玉の一つだよね。甲板より低い位置にいるから一見不恰好だけど、最高にかっこいいですよ。よく見たら左舷後部のエレベータ下がってるし!高速からひゅうがと一緒に艦橋付近だけうっすらと見えてたけど、俺が言わなければ誰も気づかなかったであろう。それくらい基地の周辺から秘匿されている。艦橋付近。これ以外にも裏にいっぱい旗がはためいてたんだけど、信号旗だったり? 今でも使うのかな。その他海自潜水艦なんちゃら(名前おぼえてねぇ乗組員の方すいません)。海自護衛艦うんちゃら(マジすいません)米海軍イージス艦うんちゃrメッセージは削除されました。いや、他にもたくさん艦船があって楽しかったですよ。帰り際、駅の近くで3人の海軍の人に出会った。2人が水兵で、1人が上官。前者2人が歩道の清掃活動をしていて、いかめしい顔した上官がそれを見張ってた。すかさず俺がダッシュ。「エクスキューズミー、キャ、キャナイテイクユアピクチュア?」ドキドキ。「アピクチャー? オーケェイ」「イエス、シュア」やった!「サンキュー」日本語分からない外人に話しかけるの初めてだからめっちゃ緊張したわ。それにしてもこの人たち、写真じゃ一応笑ってくれたけど仕事はすげえ不機嫌な顔でやってたな。もしかすると悪事働いてその懲罰として奉仕活動をやらされてるのかも。そうだったら写真撮られちゃ嫌かもね。でもまあいいや今日は一日面白かった。そういやひゅうがは来月11、12日に一般公開だよね。迫撃でも誘って行くかね。
Mar 31, 2009
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慶応の先生によるとそうらしい。自分としては半信半疑なんですが。自覚症状が不安による過剰反応が原因であのるかどうか、それについて判断が付かないからどうともいえないんだけどー。まあどっちにしろ今後ヘッドホンの使用は常識の範囲内でやれ、と言われた。それはごもっともであるから、従うべきだろう。その帰りには秋葉原に寄った。東京に住んでてしかも家から自転車流して行ける距離なのに俺は未だに印象に残るほど秋葉原に行ったことってなかったんだよね。だから結構強烈でしたよ。上京してきた田舎者気分。なんなんだよあれ。通りのビルというビルにかかるアニメの女、女、女。中野ブロードウェーの比ではあるまい。アニメならまあいいがエロゲの広告堂々と店頭に出すのやめろ。どこの風俗街だよ。いろんな意味ですげえ病んでるな・・・と思った。別にいいけどね・・あと外人多すぎ。たけえ一丸レフでソフマップのビルなんか撮って何が楽しいんだよwあと良く見たら最後に小説書いたのがもう既に一週間以上前である件。実はもう公開してないだけで続きあるんですが納得行かないので書き直そうかそれともこのままにしようかと立ち往生してます。自分としてはごく稀なことにちゃんとプロットが最後まで出来上がっててあとは書くだけなんでなんとしても完成させたいところですがどうにも進度が遅いです。まーいーか。
Mar 30, 2009
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数年前にヘッドホンで音楽を聴きすぎたせいだろう。今度大きな病院行って検査してきます。あと、小説の執筆ペースが下がってるので最近発表のペースも下がってますがもし楽しみにしてる人がいたら申し訳ないんですが待っててくださいね
Mar 27, 2009
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二泊三日で。二日目の夕食の旨さは異常。疲れた上に宿題が迫っているので今日は小説書かないかも。
Mar 23, 2009
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最初このブログ建てるときほとんど更新していかないかもしれんぞって周囲に言ってたけど、この様ですよ。それはそうと。今日中学の卒業式だった。「卒業生の言葉」の最中にみんなボロボロ泣き出してやんのwでも確かに結構強烈だったなー。いろいろ思い出したし。最後はみんな目を腫れぼったくして体育館を出て行った。その後は在校生に送られて校内から追い出され、校門前でわいわいがやがや。みんなに進路を聞いて回ったが、すごいな。生徒会長の女が日比谷高校に行くというのは納得だったが、ある友達が中大附属に行くと聞いて驚いた。偏差値70だぜあいつそんなに頭よかったのかってwていうか、この学校そんなに頭いい奴多かったんだな。まあ俺も真面目に勉強すりゃそれくらいのところには行けたんだろうと思うけど、いろいろ事情があるから、初めから選択できる学校が限られていたしなぁ。そんな俺の高校は偏差値58で、軽い劣等感を覚えるけど、でも堅実な判断の上で選んだ高校だと思う。人間性と学力は必ずしも比例しない、という負け犬の遠吠えのような文句を添えて。
Mar 19, 2009
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2. レトロトラベラー 東京・新宿駅。何度も拡張工事を施されたたくさんのホームが雑然と並び、人でごった返している。 これだから東京には品がないといわれるのだ。ホームの端からそのさまをぼーっと見ていて、思わずそう感じた。 例の喫茶店での話から一週間。遂に探索に出向く日がやってきた。現在の時刻は午後1時37分。今回の探索は一箇所だけなので、スケジュールは割とゆったりしている。これから電車に乗って信州の山の深くへと入っていき、夕方に駅に到着した後、近くの旅館にチェックイン。真夜中の11時頃から写真の地へと赴き、いろいろと調べたら、旅館に戻って一泊。就寝が遅くなるのが予想されるため、次の日は昼頃まで寝て、旅館を出た後再び電車に乗り、夕方に東京に帰着。こんな感じだった。 段取りを再確認していると、遠くの改札口のほうに蓮子の姿が見えた。やはり俺より遅い。だが、今回は電車の発車時刻までにホームにいればよし、とのことなので、俺よりは遅いが、いつものような遅刻とはいえないだろう。 手を振って自分の場所を示す。蓮子は即座に気づいて、さっさとこちらにやってきた。「おはよう」「言うなら、もうこんにちはよ」「そういうお前のこんにちはの『は』は『わ』じゃないよな?」「当たり前でしょ?」 蓮子は電子切符が差し込まれた携帯で、乗車する車両を確認して、すたすたと歩き出す。その先には、俺たちが乗る、えらく古臭い車両があった。車輪でレールを走る列車を見たのなんて、何年ぶりだろう。俺たちが生まれる前から、日本の各主要都市はハイテクなリニア新幹線で結ばれている。だが、開発から取り残された地方の末路は惨めであった。この電車が良い例だろう。郷愁的雰囲気さえ漂っている。 ホームと列車の隙間を跨ぐ。 この車内の相当な古さは、レトロマニアにはたまらないだろう。座席のフレームはみな所々歪んでいて、窓も傷だらけ。今では当たり前の、車内の液晶モニターすらない。俺たちはそれぞれ上の棚にリュックサックを押し込むと、指定された座席に座った。ぎし、とクッションが軋む。「やけに昔風の列車ね」 一通りのことが済んで、背をの重みを席に委ねる。蓮子が窓側、俺が通路側だった。「狙ってるんじゃないかと思うほどにな。だが、いつもお前が使ってる喫茶店も相当だぞ」「あれはそういう雰囲気を楽しむためのお店だもの。でも、これは公共サービスを提供するための設備よ。もう少し近代的なものにしても良いんじゃなくて?」「まあ、今は田舎と都会の格差がでかくなりすぎてるからな。でもこれはこれで、古さを楽しめるんじゃないのか。蓮子的には」 蓮子はそれもありね、という返事に留まった。 外で、発車のベルが鳴り響く。ドアを閉じる油圧の圧縮音の後、静かに景色が動き出した。 何もかもが科学によって擬似的に作り出されてしまう世の中で、オリジナルの価値というものは、徐々に薄れていった。人々が自然を満喫するために田舎に来ることはなくなった。科学技術によって、都会でも経験できるようになったから。 でも、自然と密接に関係する霊能などは、当然、擬似的な自然環境の中では機能しない。だから霊能者は、この時代になってもオリジナルの価値を知る、数少ない者達だった。 それらの中の一人である俺とて、例外ではない。旧都東京と首都京都を結ぶ日本の大動脈、東海道卯酉新幹線は、車内側面の全面に渡って設置された「カレイドスクリーン」によって、コンクリートの要塞と化した野山の代わりに、沿線の日本の原風景を擬似的にだがダイナミックに演出する。その美しさと細密さは本物を凌駕して、多くの人々が夢中になった。でもその美しさが偽物に過ぎないことを、俺は知っていた。 本物と遜色のつかない再現度を誇る発砲スチロール製レプリカの大木に触れても、そこに生き物の気配は宿らないし、霊気、妖気も纏わない。だが、排気ガスで見るも無残な姿と化した街路樹の枝には、さえずる鳥がいる。鳴く蝉がいる。木の体内には、水の鼓動がある。美しさを追求し尽くした人工物より、多少劣る自然の物のほうにこそ間違いのない価値がある。車窓からの本物の風景を見て、俺は改めてそれを実感した。 やがて西日が山の稜線の向こうへと消えるも、まだ茜色が空に残っている頃。旧式の電車は、ようやく目的地に到着した。旅行では時速数百キロで路線を駆け抜けるリニアに慣れた身には、少し退屈すぎるところもあったが、ゆっくりとした旅を満喫できたと、好意的に解釈しても良いだろう。 蓮子と共に改札を出ると、予約していた旅館のバンが待ってくれていた。その旅館は例の写真が撮られた場所の山の中にあるので、麓まで降りてきて客を拾うのだ。「宇佐見蓮子様ですか?」近づいてきた俺たちに、運転手が尋ねた。「ええ。そうです」呼ばれた蓮子が軽く微笑む。「ありがとうございます。こっちは連れです」「どうも」軽く会釈した。その後いくつか定型的なやり取りをして、車に乗せてもらう。車は盆地を抜けると、次第に山奥へと入っていった。
Mar 18, 2009
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今さっき、やけに大きなヘリの音がするので、窓を見上げてみたら、低空を飛んでいく黒いヘリコプターがあった。そのシルエットを見て思わず「ブラックホーク!?」と叫んでしまった。低空で機影が鮮明に見えたのだが、普通、民間のヘリはもっと派手な塗装をしているが、黒一色だった。その上、尾翼の形状などから、やはりブラックホークに見えた。黒一色の塗装のブラックホークは自衛隊にはないはずだから、たぶん米軍のものだと思う。あの低空で、あの方角へと飛んでいくヘリは見たことがない。何か緊急の用事でもあったんだろうか。近くに基地があるわけでもなく、軍用機とはほとほと縁の遠い自分なので、たかが米軍機、されど米軍機である。衝撃的だった。
Mar 18, 2009
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「秘封倶楽部」は、世間一般から見れば、常識を逸した活動をする気味の悪いオカルトサークルである。だが、オカルトサークルの中で見る限りでは、よくある集団だった。 それでも、他のサークルからはまともな活動をしない不良サークルと思われているようだ。他では真面目に超常現象を解き明かそうとか陰陽道を研究したりしている一方、秘封倶楽部は蓮子の一存にて方針が右往左往し、面白半分にそういうものに手を出して、結果が出れば大成功、というような活動の仕方がほとんどである。言ってしまえば蓮子の暇つぶし、娯楽の一環にすぎない。 これが不良霊能者サークルだと疎まれるゆえんであることは、言うまでもない。 これの話は、全て蓮子からの受け売りである。実際のところ俺は、霊能があるからといって彼女に振り回されているだけで――蓮子と共に行動することはまんざらでもないが――秘封倶楽部が外からどう思われているのかとか、そういったことにはあまり興味がない。 あっても仕方がないし。 集合の後、蓮子に連れられて、駅前の路地の奥にある小さな喫茶店に入った。蓮子は秘封倶楽部の活動を行う際、事前の予定を立てたり、考察を行うために、この店をよく使う。店全体が古びたアンティークショップのような雰囲気だ。調度品の数々は、そのそれぞれがとても凝ったデザインの代物で、西洋風を感じさせる。それらは店内の雰囲気を出すためだけに作られた模造品ではない。みな、遠い昔に遠い土地で作られ、何人もの所有者の手を渡り、ここに流れ着いてきた品々だ。店のオーナーのこだわりが感じられる。 作られてから長い間経ったものには、相応の年季が入る。俺の能力はそういった「ものが得た経験」に反応することも多いし、店のアンティーク品の中には、あからさまに妖気や怨念が漂ういわくつきの品もある。いかにも蓮子の好みそうな店だし、実際本人も気に入っているようだが、そういう理由があるため、俺はなんとなく落ち着かなくて、居心地が悪かった。 蓮子が近くのブースに入ったので、俺も続く。使い込まれた木のテーブルと2つの椅子があり、俺たちは、それぞれに腰を下ろした。やってきた顔なじみの店員に、俺がアイスティー、蓮子が紅茶と、いつものメニューを頼む。「今日はどんな用なんだ?」 この店に入るということは、霊能関係の話であることは間違いない。俺の言葉に反応して、蓮子はショルダーバッグの中に手を突っ込みながら答える。「知り合いのオカルトサークルからもらったんだけど」 一枚の写真がテーブルの中央に置かれた。夜中の写真だ。月明かりがあるためか、それなりに鮮明に景色が写っている。光源のない状態で綺麗な写真を撮るのは、このご時世でも難しいのだ。「結界の境目を映したものらしいわ。分かる?」「ほう、どれどれ」 俺の能力は、周囲の霊気や妖気を読む能力だが、正確には、対象の物体の周りにあるそういった気から、その対象の性質や歴史を、おぼろげながら感じ取ることも出来るのである。たとえば、対象が今自分のいる土地だった場合。その土地で何か特別なことが起きたか、そこがどういう土地か、何か霊感に触れるものがここしばらくの間に通ったか、または今現在いるか、などということが読み取れる。読めるもの・感じるものの性質や具体性などはさまざまだが、読み取ろうと念じると、漠然と心の中に浮かんでくるのだ。写真の場合、映された景色の土地柄を読むことが出来たりする。 手にとって、まじまじと見つめてみる。奥深い森の中、アングルは少しだけ空に向いていて、星々がたくさん輝いている。普通に見るとそれだけだ。 だが。 心の中で念じてから、軽く目を閉じて、再び見てみる。すると、景色のある一定の奥行き以降が、明らかに「異質」だった。 正確に表現すると、撮影したこちら側が普通の土地であるのに対し、その奥行き――境目以降の土地は、こちら側の土地の性質に、何か大きな別の性質が付加されている。 普通、土地には、土地が土地であるための、いわば基幹ともいえる性質というのがある。これはその性質上、どの土地でも元々あるものだから、特におかしなものではない。いわくつきと言われる土地とか墓地というのは、その基幹的性質に、いわくだとか墓という性質が付加されるのである。だが、それはあくまで付加的要素にすぎない。土地の大本は、基幹的性質なのだ。 だが、この境目以降の土地は、付加的要素というにはあまりにも大きな性質が、基幹的性質の上にかぶさっている感じだ。その大きさは、基幹的性質に匹敵する。というか、もはや対等ともいえる。だが、更にその要素がどういった性質のものかまでは、写真ではさすがに分からない。また、純粋な霊気や妖気といったものも感じられた。しかしこれも、普通の土地よりはるかに強い。 今まで秘封倶楽部での活動を長らくやってきたが、こんな場所は見たことがなかった。 その旨を丁寧に解説してやると、蓮子は即答した。「実際にそこに行ってみましょう」 言うと思った。「いいんだが、いつものおちゃらけ結界暴きのノリで行くと、大変なことになるかもしれないぞ。ものがものだから」「なら、慎重に調査すればいいだけのことじゃない? まあ、現実にはそう簡単にいかないけどね。この写真の撮られた場所は、写真の提供者が教えてくれたから、あとは現地で探索するだけよ」「まあ、確かにこれだけ異質だと、興味が湧かないこともないな」「でしょう? この結界、半径十数キロくらいの円を描くように張られているらしいわ。一部では前から何かの霊的要所だって言われてたみたい」「情報網の広い蓮子が、今更そんな重要なことの探索に乗り出すなんて、珍しくないか? いつもサークルの間で新しい霊所の話が出ると、真っ先に飛びつこうとするのに」「褒められてるのかそうでないのかよく分からないけど、今回に限って、貴方の出した統計学的予測に反した、というだけの話ね」「その通りだな。で、本題に戻るが、いつ行くんだ?」「んー」蓮子が唸る。「明日から学校だから、そうね……来週の休日を丸々使うとか」「俺の貴重な睡眠時間が……」「割と遠出になるから、行きの電車で眠れると思うよ。悪くないと思うけど」 確かにそうだが……と反論しようとして、蓮子を見る。嬉々とした表情で、俺を見ている。実に愉快そうだ。この顔を見ると、どんなことを言われても断れなくなる。「まあ、別にいい。特に異論はない」「じゃあ、決定ね。詳しい予定とかは追って報告するわ」 蓮子がすっ立ち上がる。 すっかりアイスティーの氷は溶けてなくなり、紅茶は冷めてしまっていた。
Mar 17, 2009
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登場人物(暫定)白崎 博人 (しらさき ひろと)宇佐見 蓮子 (うさみ れんこ) 1. Ghostly Field Club カラーン、リン、リン ホーシ、ツクツク、ホーク、ツクツク…… 風鈴の涼しげな音と、暑苦しげな蝉の鳴き声で、気分的温度は、現実の温度とプラスマイナスゼロだ。 そんなことを寝起き頭で考えながら迎えた残暑の朝。 気温が上がるまで寝続けていたせいで、背中には汗がびっしょり。 言うまでもなく、気分は最悪である。 手探りで布団のそばに散乱している雑多なものの中から、右手で団扇を探し出して、体に扇ぐ。生ぬるい風が、左手でつまみあげた寝巻きの襟から、胸へと流れていく。気持ち悪いが、しないよりましだった。 そうやってしばらくだらだらとして血圧を上げた後、むっくりと起き上がる。夏休み最後の朝は、いつもと変わらない、ただただ平凡なものにすぎなかった。 東京の夏は、年々暑くなってる気がする。記憶に温感は残らないから、感じるだけかもしれない。天気予報なんてまともに見ないから、裏づけのしようもない。まあ、そもそも興味がない。 台所にて、手馴れた手つきでフライパンの中の卵を熱していく。外周の固形化してきたところからかき回して、内側にまんべんなく転がしていく。それを何度か繰り返して出来上がり。月面ツアーが催される時代、こんな時代遅れなキッチンで、こんな時代遅れなことをやっている高校生なんて、俺くらいのものだろうな。 出来た卵焼きを置いた小さな食卓には、既にご飯と味噌汁(インスタントだが)が用意してある。ここ一週間くらい、朝は全く同じ、このメニューである。 団扇をその辺りに放り捨て、食べ始めた。 時計を見る。9時17分。午前中にある友達との待ち合わせをしているが、この時間なら十分ゆっくり出来るだろう。そう思って、朝ごはんはあえてゆっくりと食べた。量が少ない分、よく噛んで満腹中枢を満たさねばなるまい。 15分かけて丁寧に平らげて、食器を流しに放置。服に着替える。あんまり遠出するとは聞いていないので、軽装でいいんだろうか。あいつと共に行動するときは、一泊二泊の旅になるようなことも多い。まあ、明日から二学期が始まるのだし、いくらあいつでも初日から学校を放り出すようなことはしないだろう。……そう思ってから、自分の考えに自信が持てなくなってきたところが怖い。 ともかく、家を出た。家に面する通りの先がゆらゆらと揺れているさまを見て、元々なかったやる気が更に削がれる。家の中に引き返しそうになるが、あいつとの約束でも、一応は約束だ。無理やりボロの日本家屋から足を踏み出して、あいつとの集合場所である最寄の駅へと向かった。 駅を中心として、放射状に広がる小さな繁華街。よくある街の形式といえる。その例に漏れず、集合場所となっている駅の周りも、さまざまな雑居ビルが乱立している。その中を抜けて、駅の改札口の前で立ち止まった。時計の示すところは、10時21分。集合時間は6分前だったはずだが、まあ、いつものことだ。本当に。 それから更に一分経って、人ごみの中から、ようやく見慣れた姿の「あいつ」が姿を現した。「ごきげんよう。博人。調子は?」「良くも悪くもないと思う」 自分より一回り背の小さい少女――宇佐見蓮子が姿を現した。青みがかったYシャツと、目立たない紅色のネクタイに、真っ黒の帽子と真っ黒のプリーツスカート。どれも俺の服装と比べたら格段にお洒落だ。右肩には大きなショルダーバッグ。彼女はこれらのスタイルを気に入っているらしく、いつもこんな感じの服装である。「今日は7分遅刻」「正確には7分18秒ね」「遅れた奴が待ってた奴より遅刻した時間に詳しくてどうすんだよ……」「だって、空を見れば分かるもの」 お決まりのやり取りが続く。傍から見れば、駅でデートの待ち合わせでじゃれあっているカップルにしか見えないだろう。 現実には違うのだが。 俺――白崎博人と、この宇佐見蓮子という女は、実は、ただの人間ではない。まあ、そう言っても、大した人間でもないのだが。 何が常人と違うのか。 簡単に言うと、世間一般で言われる超能力や、霊能力といったものを持っているのだ。……といっても、少年向けアニメのように激しいバトルを繰り広げるわけではないし、することもできない。何か意味があって与えられた力でもなければ、実用的な力とも限らない。本当に、なんで自分がこんなもの、と思えるような超能力だ。 多くはないが、世界にはそういう人間がいくらかいる。蓮子と俺は、幸か不幸か、それらの仲間であった。 蓮子は、星空を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで現在地を把握する能力。 俺は、付近に流れる霊気や妖気といったものを読む能力。 俺と蓮子は、そういう力を持っている。そして、霊能者同士として、オカルトサークル「秘封倶楽部」をしがなく続けているのだった。
Mar 16, 2009
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久しぶりの小説だぜ
Mar 14, 2009
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