飯塚事件について考えること

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2022.11.29
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今回は被害者(A子ちゃん)の死亡推定時刻について考えてみたいと思います。


実は、再審の弁護団やFBS等のマスコミは、​ 八木山バイパスの目撃証言 ​から 事件当日の11時に被害者は生存していたとの前提 この事件を冤罪ではないかと主張 しています。

​​そこで、本当に11時に被害者は 生存していたのか、
想像は一切排除して​
​​ 「事実と裁判記録のみ」 で検証​​
してみたいと思います。​​


先ずは ​​事実をいくつか確認​​ してみましょう。

①被害者が最後に目撃されたのは事件当日 午前8時30分

②遺体が見つかったのは 翌日の午後0時10分時頃

③上記①②から 死亡推定時刻は事件当日8時30分から翌日午後0時10分の間 となる

④被害者が事件当日 朝食を食べたのは午前7時頃


この①~④は目撃者もいますので ​​ 完全な事実 ​​ ですね。





さて、ここからは死亡推定時刻の絞り込みとなるのですが、ちなみにお亡くなりになられ方のご遺体の検視については主に以下の確認を行うこととなるそうです。

・体温の低下

・死後硬直

・死斑の有無

・胃の内容物の有無  等


判決記録では、この中の胃の内容物が死亡推定時刻を決めるポイントとなっています。

なお、胃の内容物の有無については胃の内容物の消化具合から、食後の経過時間を推測できるそうです。 胃で消化された後は、消化物は小腸の一部である十二指腸へ、さらに小腸、大腸へ移動していきます。 ​​ 胃に内容物が残っているのは食後1時間程度 ​​ 。大腸に届いていれば、食後6時間以上経っていることになるそうです。また、 胃の内容物から何を食べたのかがわかるそうです。



さて、以上のことを確認したうえで、ここからは裁判記録に記載された被害者の検屍の結果に関する記述の内容を見てみます。


永田鑑定書(甲12)には、Aの胃の所見として「 ほとんど 未消化の米飯粒を主とした粥状物が約160グラム残る 。一部に 暗褐色の微細物と少数の白い菜片 が混じっている。」 、腸の所見として「十二指腸部には淡黄色粥状物少量」、 死後経過時間として「検屍開始時(2月21日午後10時)までに死後約1日から1日半を経過しているのではなかろうかと推測される。 胆汁がほぼ充満状態にあり、胃の米飯粒の多くが未消化であること等の所見から、 食後間もない時期の死亡と推定される。 」との記載がある。なお、永田は、右鑑定書作成直前、捜査官の質問に対して、「死後1日と1日半では、1日半がより近いと考えられる。」 「食後1時間ないし2時間くらいの死亡ではなかろうか。」と述べている が、鑑定書には記載しないと述べていた。


つまり、検屍の結果「胃の内容物から、 ​食後1時間ないし2時間くらいの死亡と推測される ​​ と述べています。」 ​​​ ​※ここポイントです!​ ​​​


それでは裁判記録に続きます。

A田の胃内容は2月20日の朝食であると認めるのが相当である。 そして、石山鑑定人は、A田の胃内容からして、A田が食後1、2時間で死亡したものと判断しているところ(職15永田鑑定人の結論も同じである。)、この判断は合理的であって首肯することができる。そうすると、A 田の死亡推定時刻は、同日午前7時に朝食を食べてから1時間ないし2時間後である午前8時から9時ころまでの間ということになるが、A田の生存は午前8時30分の時点で確認されているから、その後午前9時ころまでの間に殺害されたと推定される

はい、朝食を食べた時間は事実であり 午前7時と確認されています のでで、死亡推定時刻は ​​ ​午前8時から午前9時の間の可能性が高い​ ​​ ということですね。


なお検屍には二人の法医学者が関わっており、それぞれの検証結果をまとめると以下の通りとなります。


帝京大学医学部法医学教室の石山昱夫教授

→胃内容からして、被害者が食後1、2時間で死亡したものと判断しているところ(職15永田鑑定人の結論も同じである。)、この判断は合理的であって首肯することができる。 


九州大学医学部法医学教室の永田武明教授

→検屍開始時(2月21日午後10時)までに死後約1日から1日半を経過しているのではなかろうかと推測される。 ※つまり2月20日 午前10時~午後10時



続けて裁判記録に戻ります。。

死後経過時間として検屍開始までに死後約1日から1日半を経過しているとの記載があるが、これは時間単位での推測ではなく、 1日半がより近いとすると、右推定時刻と矛盾するものとはいえない。 また、死亡時刻を平成4年2月20日午後6時から9時ころと記載したA田の死体検案書(甲680)の作成者は永田武明教授であり、同人の死体解剖に基づく死亡推定時刻の判断の方が正確であるのは論を待たない。

ここまで見ると、死亡推定時刻はある程度絞れるかと思いますが、当然異なる意見もあります。


被告側の弁護士は、 被害者の胃の中にキャベツ片が確認された ことから、朝食後に何らかの食事を取ったのではと主張しています。なぜならば
胃に内容物が残っているのは食後1時間程度 ​被害者は朝食にキャベツは食べていない​​ のですから、つまり朝食後に食事をとったのではとの主張になるわけです。

もし朝食後に何らかのキャベツが入った食事を食べていれば、死亡推定時刻は当日の午前8時から9時以降となる可能性があるわけですね。


このキャベツ片の検証については後編にて解説します。





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Last updated  2022.12.02 09:45:34
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