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5 被告人車の座席シートの布地及びそれを構成する繊維の特徴
証拠によると以下の事実が認められる。
(一) 被告人車は、マツダ株式会社(当時は東洋工業株式会社)が製造した「マツダステーションワゴンボンゴ」という車種の普通乗用自動車で、中でも最高グレードのウエストコーストである。被告人車の座席シート(助手席を含む全部の座席)に使用されている織布(S-TYR313X、以下「本件織布」という。)は、 マツダが、ウエストコーストのマイナーチェンジに際して、ウエストコースト専用に開発したものであって、昭和57年3月26日から昭和58年9月28日までに製造されたウエストコーストの座席シートにだけ使用されており、他のマツダ車には一切使用されていない(甲120)。
(二) 本件織布は、 住江織物 株式会社(以下「住江織物」という。)製のモケット(地糸の上に立体的にパイル糸を織り込んだもの)で、住江織物は、パイル糸を 東レ 株式会社(以下「東レ」という。)から購入し、 茶久染色 株式会社(以下「茶久染色」という。)に染色させていた(証人Q田Q男)。


そして、被告人車の助手席シートの黄茶色繊維(セピア)は、素材が東レのナイロン6ステープルで、二酸化チタンの含有量が0.34重量パーセントであること、科警研の光学顕微鏡によると、直径が約15マイクロメートルであることが認められ、これらは⑦の黄茶色繊維の特徴と合致している。さらに、被告人車の助手席シートの黄茶色部分には、染料として、ドイツバイエルン社のイソランイエローK-RLS200が3.99ないし4.2パーミル、スイスサンド社のラナシンブラックBRL200が0.96パーミル使用されているのであり、 証人R田によると、このような染料の組み合わせや配合比がマツダステーションワゴン・ウエストコースト以外の車両のそれと一致することは通常ありえないというのであり 、現実にも、平成2年2月20日以前に製造されたマツダワンボックスカーの座席シートについて、本件織布と同じ色調のもので、かつ、その使用染料がイソランイエローK-RLS200とラナシンブラックBRL200の組み合わせのものは、判明している限りでは存在しない(弁118)のである。
マツダ以外の自動車メーカーが製造した自動車の中に、その座席シートの原糸材質が東レのナイロン6で、イソランイエローK-RLS200とラナシンブラックBRL200(これと同じ構造のイルガランブラックRBL200を含む。)が塗料として、 マツダステーションワゴン・ウエストコーストと同じような配合比で使用されている可能性は、証人R田の供述によって、ほとんどないということはできても、そのような現実的な可能性が全くないとまで認定することのできる証拠は存せず 、これらの点については、弁護人が指摘するとおりである。したがって、右の点からしても、 被害児童の着衣に付着していた繊維片がマツダステーションワゴン・ウエストコーストから脱落した繊維片であるとまで断定することはできないといわざるを得ないのである。
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