今が生死

今が生死

2020.11.27
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カテゴリ: 読書
明治から大正にかけての作家夏目漱石の代表作「こころ」は今なお多くの人に読まれている。東京に下宿している学生の私が海水浴場で知り合ったおじさんと友達になりその人を「先生」と呼んで自宅に遊びにいったりして交流を深めていく。その先生が自ら命を絶ちその遺書が私の所に送られてきたがその遺書が物語の中心になっている。その遺書の中に「先生」の生い立ちや辛い思いなどが書かれていた。先生は地方の由緒あるお金持ちの家に生まれた。しかし20才になる前に両親が腸チフスで相次いで亡くなってしまい一人になってしまった。父親の弟である叔父さんに後見人になってもらい、東京で学生生活を送り、学費などは叔父さんに送ってもらっていた。夏休み冬休みなどに郷里に帰ると叔父からはしきりに結婚を勧められ叔父の娘つまり先生にとっては従妹に当たる人と結婚するように言われた。彼女は嫌いではなかったが親しすぎて結婚相手とは思えなかったので断った。すると叔父やその家族から冷たい目で見られるようになった。叔父は事業しており経営が苦しかった。兄である先生の父親の財産目当ての政略結婚を目論んだがそれがだめになり、兄の財産を自分勝手に次から次に自分のものにしていき「先生」の財産は殆どないような状況で肉親同士での裁判に発展することになった。先生は私に「元々人間は悪い人もいい人もいない。しかしあるきっかけで悪人に変化する」と語っていたが遺書の中にもそのことが書かれており、そのきっかけとは金とのことだった。先生と叔父さんはそれまでわだかまりもなく親切な叔父さんだったが結婚を断ってから叔父さんは兄の財産をどうしたら手に入るか考える悪い人になってしまった。先生が私にいつも「元々の悪人なんていないが金が絡んでくると悪人になるものだから気をつけろ」と言っていたのは実体験から来たものなのだなと思った。
これは漱石の小説に限らず実社会でも同じだと思う。自分の周りの人は皆さん良い人だが「一度利害に関係した話になると突然豹変することがあるので注意しろ」ということだと思うが、注意してもそれが人間の性だとすれば仕方のないことなのだろうなと思った。





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Last updated  2020.11.27 13:43:03
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