今が生死

今が生死

2021.01.03
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テーマ: ~決心~(2)
カテゴリ: 読書


今、宮本輝氏の「灯台からの響き」を読んでいる。2年前に奥さんに死なれてラーメン屋を閉めている康平は灯台巡りの旅をしている。灯台見学中に足を滑らせて右薬指の根元のところにヒビが入ってしまい長距離の運転は出来なくなった。そこに町内の友人カンちゃんこと倉木寛治の息子多岐川新之助が現れ灯台巡りの運転をしてくれることになった。既に結婚していたカンちゃんが福岡に単身で主張中多岐川と言う女性と知り合い妊娠した。しかし多岐川は中絶したと嘘を言って産んだ子供が新之助である。カンちゃんは何も知らずに出張終了後東京に帰り、多岐川とは縁を切ってきた。しかし数日前心臓麻痺でカンちゃんは死んでしまい新之助はそのカンちゃんの家を確かめたくて福岡から出てきて東京板橋のカンちゃんの家の近くで康平に出会ったのである。
新之助は18歳、既に結婚していて子供二人いる。福岡の多岐川は女実業家になり新之助に家庭教師3人付けて大事に育ててきたが出生の秘密を知りぐれてしまった。高校を2年の時中退して悪い仲間と付き合うようになっていた。康平が最初に会った時には髪を赤く染めいかにも不良のあんちゃんみたいだったが康平と康平の友人山下登志夫と話し合う中でカンちゃんを恨んだり憎んだりする理由がないことが分かり、母親(多岐川)をひどい女だと憎んできたが康平や山下の話を聴くうちにその憎しみも薄れてきた。3日後「自分が代わりに運転してやるよ」と康平の前に現れた時は別人と思われるようだった。高校中退者や高校に行かなかった者でも大学入学資格検定試験に合格すれば大学入試が受けられ大学に行ける制度があり、新之助はそれを受けることにしたのである。
作者は「人間は決意によってガラリと変わる」と新之助の変身を説明しているが、その通りだなと思う反面、その決意が途中で消えてしまったり違う方向に曲がってしまったりして、必ずしも一度決意すれば人間立派になるとは限らないと思った。
不良仲間とはきっぱり縁を切り、子供2人を立派に育て、大学にもいく、母親を憎まない、多岐川の事業を引き継いでいくと決意しても様々な誘惑があり、一直線にはいかないと思う。確かに決意は人を決めるがそれを継続しなければ元に戻るか変な方向に行ってしまうので決意だけでなく継続もなければ人は決まらないと思った。





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Last updated  2021.01.03 22:42:18 コメント(6) | コメントを書く


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