

南米ウルガイの元大統領ホセ・ムヒカ氏が5月13日に亡くなった。氏は大統領時代公邸には住まず農園で畑を耕し、友人から貰った古いフォルクスワーゲンに乗り、給料などの収入の殆どは農学校建設や貧者に寄付してしまい、日本円にして月10万円位で生活していて世界一貧乏な大統領と言われていた。
しかしそのような自分を貧乏だとは思わず、「あれも欲しい、これも欲しいと欲望にくれている人が本当の貧乏人なのだ。いくら沢山金をもっていても、もっと多くの金や欲しい物を手に入れようとあくせくして働き、自分の心からの楽しみを知らず、他人と心からの交流もできない不幸な人達の事を貧乏人と言うのである。」と言っていた。
幼い時に父親を失い、花売りの母親に育てられ、自分も花を育てる事が好きだった少年は20歳頃から左翼活動に走り、時の政府に銃撃されて負傷し、何度も逮捕されて、投獄され、2回は脱走したが13年間も収監されていたこともある。時代が変わって軍事政権が崩壊してムヒカ氏も釈放されてからは左派政党に属して反資本主義政策を掲げて政治活動を行い、国会議員になり、最後には決選投票の末大統領になり、貧しい者の味方として資本主義、もうけ主義に対抗する政治を行った。中でも風力発電など自然エネルギーの開発、発展に尽力し、90%以上が自然エネルギーという世界で最も高い自然エネルギー化を達成した。それは自然に優しい政策であると同時に、それらの建設現場などで多くの雇用を生み出し庶民の生活の向上に寄与したと思われる。
激しいゲリラ活動をしていた命知らずで獰猛な青年と大統領時代や野良仕事をしながらのんびり暮らしていた晩年の好好爺が同じ人物とは思えなかったが、その一生をよく読んでみたら、青年時代もそれ以後も貧乏人思いの優しい性格で人類に尽くした一生だったのだなと思った。
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