
70歳の男性が突然、本年9月に歩けないのは勿論、立とうとすれば倒れてしまう状況になってしまい、近医受診しても原因が分からず、大病院に紹介されて入院して精査をうけ、毎日つまみも食べないで酒ばかり飲んでいたことからビタミンB1(チアミン)欠乏によるウェルニッケ脳症疑いということでビタミンB1の点滴投与を受けた後、リハビリ目的で当院に紹介されて10月入院してきた。お酒は焼酎、日本酒、ウイスキーをお湯割りかロック(日本酒はそのまま)で、毎日5~6杯つまみなしで飲んでいて50年間欠かしたことがないとのことだった。野菜は殆どだべなかったとのことでビタミンB1欠乏からくるウェルニッケ脳症は起こるべくして起こったことと思われた。リハビリ担当者は「立って歩けるようになるのは無理です。這って歩くのは可能です」と報告してきた。ビタミンB1欠乏なのでビタミンB1を投与すればすぐ改善するというものではなく、かなり長期間かかる病気と思われ、時間が経てば治るという保証もなく、先行き暗い病態であった。しかし本人は治りたい一心で病院で出される食事は野菜を除けることなく何でも食べるようにして、リハビリにも熱心に取り組んできた。そして最近遂に数秒間なら立てるようになり、支えがあれば数メートルは歩けるようになったのである。その努力は凄いもので、後一週間後には退院できるまでになったのである。
退院後お酒が止められればこのまま改善が続くが、誘惑に負けてお酒を飲むことになると元に戻ってしまうので、そのことを心にしみるように指導していこうと思っている。
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