つきあたりの陳列室

つきあたりの陳列室

2005.06.11
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カテゴリ: Book



ふるさとのさびしいひるめしどきだ

田中冬二

*

著者の北村薫は,中学校の実力テストでこの詩と出会い,それ以来,心を捉えて離さないと言います.しかしなぜそれほどまでにこれが彼の心を惹いたのかについては書かれていません(『詩歌の待ち伏せ』上巻,第一章).著者はこれを読んで「その感覚がわかる」と思ったのでしょうか,あるいは「干しがれいと寂しさ」が予想もしない形で結び付けられていたためなのでしょうか.

*

ちなみに田中冬二には,こんなすてきな詩もありました.

ぢぢいとばばあが だまつて湯にはいつている 山の湯のくずの花 山の湯のくずの花

うわあ,これ大好きだ..ファンになりそう.汚い言葉で肉親や故郷のことを述べながら,それでもなお愛情が滲み出てしまう作品が大好きだ.ジョンレノンの”ワーキングクラスヒーロー”とかアラン・シリトーの作品を連想しました.



私は都市郊外の住宅地で育ちましたが,私の父は浜育ちです.父の魚への執着は半端でなく,私が子供の頃から,我が家ではおかずのほとんどは魚でした.サンマ,イワシ,ホッケ,シャケ,ニシンが食材ベストファイブ.カレイもトップテンに入る馴染み深い魚でしたが,私は好きでも嫌いでもありませんでした.

しかし二十代の半ばも過ぎたある日,無性に干物が食べたくなり,はじめて自分で宗八ガレイの干物を買って,数年ぶりに食べたら,その旨さに感激しました.干物の旨さとは,腐敗の数歩手前の,あの「めたっ」とした味であることを実感しました.懐かしさとともに,骨のまでしゃぶって味わい尽くしました.

なんでこんな話になったかというと,今日ひさびさにニシンの生干せを焼いて,大根おろしをどっさりかけて食べて,めちゃくちゃ旨かったからでした.子供の頃,ニシンはもっと安くて簡単に手に入る魚でしたが,いつのまにか珍しい部類の魚になってしまった.ここ数年のイワシの品薄具合はさらに極端で,寂しいかぎりです.カムバックいわし.





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Last updated  2005.06.11 21:15:09 コメントを書く


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フィンち@ Re:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子 「人生のままならなさ」への強烈な疑問と,…
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ハオ@ 4年はあっという間 バーチュー&モイヤー組見ました。 優雅…

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