inatoraの投資日記

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2005年01月14日
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再び、ROEの定義を掲載します。

ROE=純利益÷株主資本簿価

この定義から、ROEを維持・向上させる方法は2通りあります。

1.純利益を増やす
2.株主資本を減らす


1.純利益を増やす
まずは、ROEの分子である「純利益」についてです。


(1)増収増益となっている企業の場合
「企業の成長に伴い純利益が増える」というプロセスは、いわば「本業を頑張っている」ということですから、これはROEの維持・向上策の王道です。したがって、「増収増益」に伴いROEが維持・向上している企業を探すことが「超成長株」探しの第一歩です。




(2)増収増益でない場合
本業がジリ貧であってもリストラなどにより純利益を向上させることは出来ます。特に、資本効率の良くない経営を実施してきた企業がこのようなリストラを行うことで純利益を上げるというのが典型的ですが、このようなROE向上策はそう何度も使える手ではありません。結局のところ、長期にわたって純利益を増やすためには本業が順調である必要があります。


2.株主資本を減らす
次に、ROEの分母である「株主資本簿価」についてです。

(1)資本の返還によるROEの向上
株主利益を重視する経営者であれば、利益率が低い資本を必要以上に持たないことが重要な課題となります。利益率が低い資本を返還することによってROEを向上させることができます。典型的には、以下のような政策が考えられます。

*自社株買いを実施する
*配当を支払う

たとえ増収増益基調で純利益が年々増加していても、それに伴い株主資本も増加します。そして、純利益の増加ペースよりも株主資本の増加ペースのほうが速ければROEは低下します。したがって、自社株買いを行ったり、これまで内部留保していた純利益を配当として払い出すことで、ROEを維持・向上させることが出来ます。


(2)資本と負債の交換によるROEの向上
これは、いわゆる「レバレッジを高める」という話になります。レバレッジを高めることの効用は以下を見れば確認できます。(話を簡単にするために、特別項目がないことを仮定します。)


=経常利益÷株主資本
=[事業利益-負債利払い]÷株主資本
=[事業利益÷総資産×(総負債+株主資本)-負債コスト×総負債]÷株主資本
=[総資本事業利益率×株主資本+(総資本事業利益率-負債コスト)×総負債]÷株主資本
=総資本事業利益率+(総資本事業利益率-負債コスト)×[負債÷株主資本]


「レバレッジを高めてROEを向上させる」ためには、総資本事業利益率が負債コストよりも高いことが必要です。この式を額面どおりに受け取ると「負債コストを超える総資本事業利益率を上げている限り、ROE向上のためにはレバレッジを上げるべきである」という話になります。

しかし、現実問題として過大なレバレッジは多くの問題を引き起こすことが知られていますし、企業が倒産するのは負債を返済できないことが原因であることも分かっています。したがって、無尽蔵にレバレッジを賭けることは問題がありますし、基本的には負債が少なくてROEが高い企業を選ぶことをオススメします。

これを踏まえると、ROEが高くても財務が健全でない(特に、株主資本比率が低い)企業は財務レバレッジの影響でそうなっていることに注意しなければなりません。財務が健全でない企業のROEの持続性には懐疑的であるべきです。


(3)会計操作によるROEの向上
会計の世界では、基本的に資産の評価は簿価ベースであり(取得原価主義)、著しい原価が認められたときにはその評価を切り下げるべきであることが定められています(保守主義)。

このことを踏まえると、資産の評価を恣意的に(あるいは、恣意的でなくても実勢に応じた減損処理をして)切り下げを行った場合、株主資本もそれに伴い減少するので、会計操作によってROEが向上します。

最近では、「減損会計の適用」が新会計基準で義務付けられるようになりましたので、こうした会計操作によるROE向上は十分に有り得る話です。

減損会計を適用すると、株主資本が減少してROEは向上しますが、PBR(株式時価÷株主資本簿価)も高くなります。しかし、そうした減損会計が今後の経常的な利益に影響を与えない会計処理の問題に過ぎなければファンダメンタルに与える影響は中立なはずです。

したがって、このような場合、「ROEが高くなったから資本効率のよい経営になった」とか「PBRが高くなったから割高になった」という判断が必ずしも正しいと言えません。

<例>
株式時価総額160億円、株主資本100億円、(特別項目考慮前)純利益10億円の企業が営業用の建物の評価減に伴い、20億円の減損処理をした場合

*適用前:
(特別項目考慮前)ROE=10%(10÷100)
PBR=1.6倍(160÷100)
PER=16倍(160÷10)

*適用後:
(特別項目考慮前)ROE=12.5%(10÷80)
PBR=2.0倍(160÷80)
PER=16倍(160÷10)

減損会計を適用する前も適用した後も、減損会計による特別項目考慮前の純利益は変わらないことに注意が必要です。そのため、PERでみると実態は変わりません。

資本政策によってROEの水準が変わっていくことを考えると、ROEの数字だけを見てよい企業であるかどうかを判断するのは危険であり「どういう資本政策の結果としてROEの数字が出来上がっているのか?」を見る必要があります。

これまでの点を踏まえると、理想的な成長株候補となるのは、「財務が健全で増収増益基調であり、株主重視の資本政策を実施した結果、高いROEを持続している企業」であるといえます。

「そんな企業が存在するのか?」というと非常に少ないと言わざるを得ませんし、さらに「株価が割安である」という条件を加えるとさらに少なくなります。もし、そのような企業を見つけたというのであれば私も「相乗り」しますので、こっそりと教えてください。

お礼は「資産バリューな銘柄」を教える形でいたします。(笑い)

今日の言葉:
「株主利益を無視した形でROEを高める経営者には注意せよ」





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最終更新日  2005年01月14日 09時20分48秒
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