あの、ゆるやかな日々

あの、ゆるやかな日々

2010年10月09日
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昨日、ジョン・レノン・ミュージアムから、閉館しましたというメールが届いた。そして、今日はジョンの70回目の誕生日。今年はジョンが亡くなって30年という節目でもある。ジョンのアルバムのリマスター版がでるらしいし、11月にはジョンを主人公にした映画も公開されるという。

ジョンは一般的にはビートルズのリーダーだったと思われているようだが、ビートルズにはリーダーはいなかったのではないかと思う。たとえて言えば、明治維新の日本に首相、大統領に当たるリーダーがいなかったように。

それでも日本は明治維新を乗り切った。1868年から岩倉使節団が欧米に出発する1871年までは木戸が、木戸、伊藤、大久保らが外遊している間は西郷が、そして、西郷が下野してからは大久保が事実上のリーダーの役目を果たしていた。

たしかに、クオーリーメンはジョンが作ったバンドだ。しかし、ビートルズはジョンとポールとジョージとリンゴが作ったバンドという表現が一番ぴったりくるような気がする。

ビートルズ以外に、メンバー一人ひとりがあれほど存在感を持っていたグループはあっただろうか。全員がリードボーカルをやれる、量的に偏りがあるとはいえ全員が作詞作曲をする、楽器を引きながら2声、3声のコーラスが歌える…。考えてみるとそんなバンドはほかには見当たらない。

ジョンの力だけではビートルズは成り立たないことがわかる。しかし、このことはジョンの功績をいささかも貶めるものではない。ジョンはやはりビートルズの最大の功労者である。

ビートルズが出した3枚目のオリジナルアルバムはカバー曲が収録されておらず、すべてオリジナル曲で占められている。そして、そのほとんどがジョンの曲だ。このアルバム「A HARD DAY'S NIGHT」はビートルズのアルバム13作中の最高傑作といってもいいと思う。あのアルバムでビートルズは最高のポップバンドになった。ちなみにビートルズは普通、ロック・バンドの範疇に入っているが、私はポップ・バンドだと思っている。純粋なロックバンドだったらあんなに売れたりはしない。

つまり、「A HARD DAY'S NIGHT」を生みだした、ということがジョンの最大の功績だ。極論を言えば、ミュージシャンとしてのジョンはあれで終わったとも思っている。あとはパフォーマー、表現者としてのジョンの活動が続くだけで、もちろん、「ラバー・ソウル」以降も名曲は出しているが、どちらかと言えばミュージシャンとしてはポールの活躍の方が目立っている。

そして、ビートルズの解散。しかし、あれは解散というより、一人ひとり抜けていったという方が正しいような気がする。ジョンはとっくにビートルズに対する興味は失っていたし。もっとも、当時小学3年生だった私はビートルズというグループがいたこと、そして解散しようとしていることなど知る由もなく、だいぶあとになっていろいろな本を読んで得た知識しかないので、これについては大したことは言えない。



私は率直に言ってポール派なので、実はこの時期のジョンの活動はあまり興味なかった。ミュージシャンは音楽だけやっていればいいのであって、どちらかと言えばジョンの政治的な活動は冷ややかに見ていた。

しかし、今思えば、ジョンにとって自分のやりたいことをやるのに音楽を使おうが、絵画を使おうが、どうでもいいことであって、自分が自分らしく生きることのみを考え、行動していた時期だったのだろうと思う。

そして、ショーンの子育てがひと段落したあとにジョンは音楽に帰ろうとした。いや、厳密にいえば、すでにかなりの曲は作っていたらしいし、「Starting Over」のレコーディングは行っていたのだから、すでに帰ってきていた、という方が正しい。

40歳での死はあまりにも早かった。私は当時浪人中で大学受験に向けて勉強していた。朝刊でジョンの死を初めて知った。私にとってジョンとポールは親みたいなもので、まだまだ自分を引っ張って行ってくれる存在だと思っていたので、とても信じられなかった。

しかし、今のジョンを見てみると、生きている時と同じ、いや、それ以上に存在感を持っている。これは一体どうしたことだろう。「死せる孔明生ける仲達を走らせる」という故事成語があるが、まさに、死せるジョン・レノンに我々はいまだに影響されている。

それが人間の本来の姿なのだと思う。人生たかが80年。生きている間にできることには限りがある。問題はそのあとだ。優れた業績を残すとのちのちまで影響を与えることができる。その人間が存在しているかどうかは関係なくなる。

ジョンのように死んでからも評価されるような人間になりたいと思う、今日この頃です。






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最終更新日  2010年10月09日 23時55分47秒
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