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http://www.asahi.com/politics/update/1218/TKY201012180195.html「中国に親しみ感じず」8割 内閣府世論調査、尖閣影響日本人の対中国感情がかつてないほど悪化していることが、内閣府が行った「外交に関する世論調査」で明らかになった。尖閣事件をめぐる日中関係の緊張が影を落としているとみられ、「中国に親しみを感じない」という人は過去最高の8割近くに達した。調査は10月21~31日に面接方式で実施。対象者3千人のうち1953人が回答した(回収率65.1%)。それによると、中国に「親しみを感じない」と答えた人が77.8%で、前年比19.3ポイントの大幅増で、1978年以来の調査で最悪。日中関係を「良好だと思わない」と考える人も88.6%(前年比33.4ポイント増)にのぼった。「親しみを感じる」人は20%(同18.5ポイント減)とほぼ半減し、過去最低だった。対中感情は04年以降、小泉元首相の靖国神社参拝問題などで悪化傾向だったが、対中関係を重視する鳩山政権誕生直後の昨年調査で好転。それが今回急激に冷え込んだ。調査時期の10月は、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐって日中関係が悪化。中国からのレアアース輸出が止まる中、局面打開のための正式な首脳会談が開けない状況だった。政府は、ぎくしゃくした両国関係が調査結果に表れたとみている。一方、日米関係も微妙だ。米国に「親しみを感じる」人の割合は79.9%で、前年の78.9%から微増したのに、両国関係を「良好だと思う」人は前年から8.8ポイント下がって73.0%に。米軍普天間飛行場の移設問題をめぐって関係がぎくしゃくしたことが影響したと見られる。ロシアに親しみを感じる人は14%(前年比1.4ポイント減)、韓国に親しみを感じる人は61.8%(同1.3ポイント減)と、いずれも微減した。------------------私も、「現在の」中国(政府の態度、行動)に親しみを感じるかと言われれば、「はい」とは言いかねるのが正直なところですし、客観的に見て現在の日中関係が良好ではないことも一目瞭然です。その意味では、この調査結果は非常に納得がいくのですが、ただ「それで良いのか」となると話は別です。日本と中国は隣国同士です。そして、過去千数百年、ひょっとすると二千年以上に渡る交流の歴史があります。経済的にも、互いに切っても切れない縁があります。好むと好まざるとに関わらず、関係を断ち切ることなどできないのです。そのような、切っても切れない縁の隣国同士の国民が、互いに角突き合わせたり、憎しみ合ったりするのは、実に非建設的なことであるように、私には思えます。そんなに年中隣国に対して(いや、別に誰に対してでも同じですが)怒りを燃やし続けるのは、疲れませんか?怒りというのはエネルギーを消耗します。もちろん、時と場合によっては怒りは必要なものです。でも、いつもいつも怒ったり憎んだりしてばかりというのは、ちょっとどうかと思うわけです。いや、他人の感じ方は人それぞれでしょうが、私は、いつもいつも人を憎んだり怒ったりし続ける人生は、できれば送りたくない。というわけで、日中関係は改善させて行かなければならないと、私は思っているんですけれどね。もちろん、関係改善というのは双方の努力が必要で、日本側が一方的に妥協すればよい、というものではないけれど、かといって「半歩たりとも退いてはならない」なんてことでは関係改善なんてできません。お互いに半歩たりとも譲らず角突き合わせ続ければ、最後は戦争に至ってしまうでしょう。そんなことは、なんとしても起こって欲しくありません。
2010.12.18
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1週間ほど前の記事ですが・・・・・・・尖閣沖衝突事件 漁船の正体は人民解放軍の作戦行動尖閣諸島の漁船衝突事件は、YouTubeに動画をアップする人物が登場し、その後、第5管区海上保安本部・神戸海上保安部の主任航海士(43)が流出させたことを告白するなど、大きなニュースであり続ける。今回の流出により、事件のあらましが多くの国民に知られるようになったものの疑問が残る。果たしてあの漁船の正体はいったい何だったのか? 中国関連の著書多数の評論家・宮崎正弘氏がその可能性を探る。******************************この事件で目を引くのは、海上保安庁の船に体当たりをした漁船が、「トロール船」であったということだ。近海漁業とは異なり、トロール船は魚群を追いかけて遠洋に出る。当然、魚群探査機を積載する。これは中国の人民解放軍からすれば「レーダー」だ。中国ではいかなるレーダーも、軍の許可無くしては取り付けられない。とすれば、このトロール船は、軍部の許可を得た船、という結論が出る。導き出される可能性は2つ。【1】軍のカモフラージュだった。【2】軍の代理人として出航していた。どちらにせよ、これが人民解放軍の作戦行動だったことは明らかだろう。人民解放軍は、勝手に「第1列島線」を設定し、九州から、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるラインを作戦区域としてきた。このところの軍は、さらに野心を燃やし、伊豆諸島から、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るラインを「第2列島線」とし、そこへの進出を窺っている。実際、第2列島線へ艦や潜水艦を差し向け、しきりに訓練を行なっている。尖閣諸島事件は、おそらくその一環なのだろう。漁船を日本領海内に侵入させた場合、日本はどう動くのか。このシミュレーションを行なったのだ。(引用ここまで)-----------------いやー、かなり笑える記事です。> 魚群探査機を積載する。これは中国の人民解放軍からすれば「レーダー」だ。あの、魚群探知機ってレーダーなんですか?私は初耳なんですが(笑)電波は水の中を透過できません。だから、水中では音波を使います。というわけで、魚群探知機はレーダーではなくソナーです。旧日本軍の用語で言えば、レーダーは電波探信儀、ソナーは音波探信儀。こう書けば違いは一目瞭然でしょう。レーダーとソナーの区別もできないで、こんな記事を書くとはねえ。宮崎正弘というのは右翼系の評論家ですが、右翼系ならこんなレベルが低くても評論家稼業が出来るのか、というのが私の印象です。そして、更に笑える解釈はこちら。> このトロール船は、軍部の許可を得た船、という結論が出る。導き出される可能性は2つ。>【1】軍のカモフラージュだった。>【2】軍の代理人として出航していた。> どちらにせよ、これが人民解放軍の作戦行動だったことは明らかだろう。これも明らかにウソですね。仮にソナーとレーダーの違いはひとまず目をつむることにしましょう。中国において、レーダー(あるいはソナーも)が群の許可なく取り付けられない、という話が事実かどうかは、私は知りません。ただ、今の時代、いくら中国だって一般商船のほとんどはレーダーを装備しているはずですし、もちろん、民間航空の旅客機(エアバスやボーイング)は全てレーダーを装備しています。あたりまえですよね。それらの商船や旅客機も全て軍の許可を得ているんでしょうか。非常にマユツバくさい話と思うのですが、明確に否定できる根拠を私は持ち合わせていないし、問題はそこではありません。問題なのは、もし軍の許可を得ていたとしたら、それは「軍のカモフラージュだった。」あるいは「軍の代理人として出航していた。」という意味になるんでしょうか、という点です。ただ許可を受けただけで?それが事実なら、日々成田空港や関空に就航している中国国際航空やその他の定期航空便も、軍のカモフラージュか軍の代理人として人民解放軍の作戦行動を日々遂行していることになります。だって、前述のとおりレーダーを装備していない旅客機なんて絶対ありませんからね。成田や関空だけじゃありませんよ、自衛隊との共用空港である那覇空港、小松空港、滑走路は分かれているけれど自衛隊が管理している新千歳空港にも、中国の航空会社が就航しています。(那覇と小松は中国東方航空、新千歳はそれに加えて中国国際航空と中国南方航空)大変ですよ、中国人民解放軍が航空自衛隊の基地に対して日々作戦行動中ってことになります。妄想もここまで来ると立派です。いやー、中国漁船の電波探信儀より、宮崎正弘の電波発信機の方が怖いんじゃないか、と。
2010.11.18
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尖閣諸島の漁船衝突事件について、ネット上の一部でこういう話がまことしやかにささやかれているそうです。---------------海保船舶が横付け。海保職員が乗り込む。その後、中国船舶が突如離船。 取り残された海保職員が中国人船員に飛び蹴りされて中国船舶から海中に突き落とされる。海に落ちた海保職員を潰すように、中国船舶が進路変更。海保職員が必死に泳いで逃げるのを執拗に銛で突き殺そうとする中国人船員。---------------その結果、海上保安官2名が殉職したのだそうです。この「情報」の火元はどうやら2ちゃんねるらしいのですが、この文面で検索をかけると、かなり多くのブログが引っかかってくるのです。しかも、それを単純に信じている人が少なくないようです。いやはや・・・・・・・・人は信じたいものを信じると言いますが、この件もそうなのでしょうか。そもそもソースが2ちゃんねるという時点で充分に怪しい情報ですし、ちょっと論理的に考えれば、こんなことは絶対にあり得ないということは誰にでも分かるはずです。第一に、今の時代にこのような事件で死者・行方不明者が出て、関係機関(この場合は海上保安庁)がそれを発表しない、なんてことはあり得ません。だいたい、遺族が黙っていないでしょう。いやいや、民主党政府は中国にひれ伏しているから発表しないのだ、マスコミも偏向しているからその事実を知っているのに無視しているのだ、と言うかも知れません。でも、今回の一件、最終的には船長は処分保留で釈放されてしまったけれど、少なくとも途中までは検察は立件する気満々でした。まして、海上保安庁は、無罪放免する気なんか全然なかった。今回流出した映像は、海上保安庁が、那覇地検に提出するために編集したものと、まったく同内容だったと報じられています。当然、そこには漁船の悪質な行動の部分が中心に記録されていて、立件にあたって海保や検察の不利になる、あるいはあまり意味のない場面は含まれているはずがありません。銛で突くなんて超凶悪な行動があれば、まして死者が出ていれば、公務執行妨害なんて罪名だけで送検されるはずがありません。殺人か傷害致死の罪名も一緒に付いていたはずですし、その証拠となる動画も、ばっちり検察に提出されたはずです。それがなかったという時点で、そのような事実はなかったということは明らかです。一方、それとは別に、船長が中指を立てるなどして挑発した、という話があります。これについては正直言って分かりません。挑発的な態度や行動は、それ自体は犯罪ではありませんから、犯罪行為の立件そのものには、そんな映像は必要ない。だから、撮影はされていても編集の際に省いた可能性はあります。ただし、挑発行為は、直接的には犯罪の立件と関係なくても、裁判になれば情状酌量の面を左右します。それを考えると、検察に提出した映像にそのような挑発場面がないのは、実際にそんな場面がなかった、という可能性もあります。あるいは、映像でははっきりしない、それを挑発と取るかどうか明確ではない、ということも考えられます。これについては、上記の銛で突いて云々というヨタ話ほどには確実な断言は出来ません。それはともかくとして、私は「中指を立てる」のが挑発的な行動だということを知りませんでした。いや、恥ずかしい話ですが。あわてて検索したら、欧米諸国ではこれは相手を侮辱するジェスチャーなんだそうですね。なるほど。あれっ、でも中国って欧米諸国でしたっけ。違いますよね。日本だって、「中指を立てることは侮辱の意味だ」ということを知らない人間が(私自身も、つい先ほどまでその一人でした)数多くいます。中国は、日本以上にそうでしょう。ということは、船長が中指を立てたのが事実としても、それが侮辱の意味だったかどうかなんて、分からないですよね。
2010.11.08
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今から9年前の9月11日、米国で同時多発テロが起こったとき、私はホームページに「憎悪の拡大再生産は何も産まない」という一文をアップしたことがあります。このときは、米国とイスラエル、パレスチナのことについて書いたのですが、それから9年経って、どうやらまったく同じことを、主語を「日本と中国」変えて、言わなければならないご時世になってしまったようです。尖閣諸島を巡る一連の問題には、基本的には中国側に大きな問題はあります。中国政府の主張には私も腹立たしいと思うし、中国世論のヒートアップにも危惧を覚えます。けれども、日本側もまた、対立の拡大を招くような対応だったことは否定できません。一昨日の海上保安庁の動画流出騒動も、火に油を注ぐ役に立ってしまったように思います。中国の「ネット世論」も酷いですが、日本の「ネット世論」の負けず劣らず滅茶苦茶。もちろん、ネット世論=現実の世論、ではありませんけれど。いずれにしても、憎悪を拡大すれば問題が解決する、というものではありません。日本と中国は隣国同士であり、その位置からお互いに逃げ出すことはできませんし、縁を切って生きていくこともできません。その隣国同士で角突き合わせていることによるメリットなんて、何もない。反中デモだろうがなんだろうが、やるのは言論の自由ではありますけれど、それによって何かが解決することはありません。むしろ、中国側の世論がそれによって更に硬化するだけ、ヒートアップ合戦になるだけです。http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101107k0000m040038000c.html反中デモ:4000人が銀座など行進沖縄・尖閣諸島沖の日本領海内で海上保安庁の巡視船と中国漁船が衝突した事件を巡り、民主党政権や中国政府に抗議する民間団体主催のデモが6日、東京都内であった。主催者によると4000人以上が参加したという。デモに先立つ集会では、インターネット上に流れた衝突事件のビデオ映像について「中国漁船がぶつかってきたのは明らか。こんな事実を隠そうとした民主党政権を許すな」などとシュプレヒコール。参加者は日の丸やのぼりを掲げ、中央区銀座などの繁華街を行進したが、目立った混乱はなかった。------------------------こういう憎悪に拡大の末に待ち受けているのが、戦争なのかも知れないと思うと、ちょっと絶望感を感じます。それにしても、少し前まで、中国世論の「愛国無罪」を批判していた連中が、今や堂々と自ら「愛国無罪」を掲げているんだから、やはり中国の「愛国者」と日本の「愛国者」は相似形としか言いようがありません。追記問題のデモの動画がYouTubeに上がっていました。http://www.youtube.com/watch?v=-Z881etB8Lk有楽町のこの辺りは、私は休みの日などに時々とおりかかるのですが、昨日は通りかからなくて良かったです。(そういえば、以前にもこの系統の人たちの街宣を、この辺りで見かけたことはありますけれど)日の丸振って君が代歌って反中デモとは、ほんと中国の反日デモの裏返しで、何一つ変わりません。
2010.11.06
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今朝、ニュースサイトを見ていて、海上保安庁が撮影した漁船衝突事件の映像がYouTubeにアップされていることを知りました。さっそく見てみたのですが、何しろ出勤時間目前でしたので、巡視艇「みずき」衝突前後の場面しか見る余裕がありませんでした。私が視聴した時間は、朝の7時30分少し前頃。報道によると、7時40分頃に削除されているそうなので、まさにギリギリのタイミングだったようです。もっとも、その時点でもすでにいくつも同じ動画が転載されていましたけれど。転載された動画は、いずれも画質がオリジナルよりちょっと落ちますが、中身を知るには充分なのでhttp://www.youtube.com/watch?v=1Di8406Z474「よなくに」との衝突場面http://www.youtube.com/watch?v=M3H-A7rB3wo「みずき」との衝突場面感じ方は人それぞれでしょう。私は操船のことは分かりませんけれど、どちらの場面も、「間違ってぶつけた」とは見えません。意図的にぶつけていることは明らかです。「みずき」との衝突は、追いかけられて、何とか逃げようとして、という可能性もあるけれど、「よなくに」との衝突は、巡視船側はほとんど停止していて、漁船側がその後方から近付いてきてぶつけているので、逃げまどっているうちにという解釈は、ちょっと成り立ちにくい。ただ、「よなくに」との衝突場面は、ぶつかって初めて騒ぎになっているあたりが、ちょっと不可解ですけれど。漁船がすでに衝突不可避のコースを取っているときには、巡視艇側にあまりそれを予測したような警戒の動きがない。結果を知ってみているからそう見えるだけなのかも知れませんが。さて、この動画を誰が公開したのか、ですけれど、オリジナルの投稿者はSengoku38というユーザー名でした。(朝私が見た動画も、確かにその名前でした)属性は、25才日本人だそうですが、実際にどうだかは分かりません。で、私のまったくの想像で言えば、動画のソース自体は当然海上保安庁か検察(船長を取り調べた)の内部から流出したものでしょうけれど、YouTubeにアップしたのは直接的な海上保安庁職員(あるいは検察の関係者)ではないんじゃないかという気がします。関係者の誰かが外部の誰かにソース(多分DVD-R)を渡し、それを外部の誰かがアップロードしたんじゃないかな。ことによると複数以上の人の手を介したかも知れないし、流出させた本人は、まさかそこまでやるとは思わずに渡していた、なんてこともあり得るかも知れません。というのは、こんなことをやって、犯人が特定されれば、懲戒免職になる可能性が高いからです。この不況の最中に進んで懲戒免職になりたいと思う公務員はいないでしょう。もちろん、誰もが合理的な計算ができるものなら、不祥事を起こして懲戒免職になる公務員なんていないはずですから、絶対にそうだと断定はできませんけれど。で、漁船の行動が批判されるべきものであることは間違いないけれど、これを流出させた海上保安庁関係者(または検察関係者)の行動はどうか。ネットウヨク系の連中は、その行動を大絶賛しているようですが、これって非常にマズイ行動です。流出元が海保か検察かによっても違いますが、私は多分海保じゃないかという気がします。根拠はあまりありません。海保の方が、この動画に触れる関係者の人数が多そうだということと、何となくこの件で怒っている人が多いんじゃないかという気がするというだけの理由です。海上保安庁は武力を持っています。自衛隊に比べれば遙かに弱武装ですが、国際的には「準軍事組織」として認知されています。その武力組織の一員が、このような形で機密情報を公開するやり方は、ある意味では詳報という武器を使ったクーデターとも言えます。この「勇気ある海上保安官」の行動を絶賛していると、今度は機密情報を中国に譲り渡す海上保安官が出てくるかも知れません。こういう行動に対する歯止めがなかったら、それを止めることなんかできないでしょう。そのときになって「しまった」なんて気がついても遅いんじゃないでしょうか。
2010.11.05
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http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20101013-OYT1T01041.htm尖閣の中国名表示削除を…グーグルに自民要請自民党は13日、検索最大手の「グーグル」に対し、同社の地図サービス「グーグルマップ」で、尖閣諸島の表記に併記されている中国名を削除するよう申し入れた。グーグルマップ上では、尖閣諸島と同諸島の魚釣島について、それぞれ中国名の「釣魚群島」「釣魚島」が併記されている。同社の日本法人を訪れた小野寺五典「影の内閣」外務担当は「中国と領有権問題が存在する領域であるかのごとき表記で誤りだ」として、日本語表記のみにするよう求めた。グーグル日本法人は「米本社に伝える。しかるべき時期に返答したい」と述べた。-----------------http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101015k0000m040054000c.html外務省:グーグル日本法人に中国側呼称の削除要請外務省は14日、米インターネット検索大手グーグルの地図検索サービス「グーグルマップ」で沖縄県・尖閣諸島と魚釣島の中国側呼称が併記されていることについて、グーグル日本法人に中国側呼称を削除するよう申し入れた。外務省によると、同省の担当者が14日午後、グーグル日本法人の担当者に電話し、日本の立場を説明したうえで削除を要請した。日本法人担当者は「承った」と答えたという。同マップでは「尖閣諸島」の横に「釣魚群島」、「魚釣島」の横に「釣魚島」と中国側呼称が記されている。自民党は既に、13日に同社側に訂正を申し入れている。-----------------マルビナス諸島という島をご存じでしょうか。南大西洋のアルゼンチン沖にあるイギリス領の島で、英語名ではフォークランドと言います。アルゼンチンが自国領と主張しており、1982年にはアルゼンチン軍が侵攻してフォークランド戦争(マルビナス戦争)が起こっています。アルゼンチン軍は敗北し、この島は今でもイギリス領ですけれど、日本の地図帳は全てこの島の名前をフォークランド(マルビナス)諸島と表記しています。地図製作会社が、アルゼンチン側の主張が正当であると認めているわけではないでしょうが、地名は両論併記になっています。領有権を巡って対立する二つの国が同じ島に別々の名前付けているんだから、中立的な立場から、その二つの名前を併記する地図が現れるのは当然です。尖閣諸島だって同じことでしょう。政府は、尖閣諸島に領土問題はない、という公式見解を掲げています。現在野党の自民党も同じ主張を掲げています。政府としては、そう言い続けるしかないというのは分かります。私も、尖閣諸島は日本の領土だと思っているし、政府の公式見解を撤回しろと言うつもりはありません。でも、政府の公式見解が日本中の全てを縛ることなどできません。政府の公式見解がどうあろうと、これは領土問題に決まっているのです。誰だって、そう思っているでしょう。何しろ、あの極右機関紙産経新聞でさえ、尖閣諸島を巡る事件の記事は、「領土問題」というカテゴリーに入れているのですから。というわけで、米国の会社であるグーグルが、中立的な立場から二つの名を併記するのは仕方がないことですし、それを非難しても始まらないと私は思います。
2010.10.14
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mixiで、あるマイミクさんが非常に良いことを書いていたので、この問題について考えてみました。私は、尖閣諸島は日本の領土であると思っています。(以前の記事に書いたとおり)その根拠は、1895年に日本が領有して以降90年(沖縄自体が米国の統治下にあった1945-70年を除き)に渡って日本が実効支配し続けていること、1970年までの75年間は中国(清朝→中華民国→中華人民共和国)もそれに対して異を唱えていないことによります。「無主地先占」と言って、誰も住んでいない、どこの国の領土でもなかった地域を先に実効支配することは、国際法上認められた領土獲得の正当な根拠となります。従って、当時どこの国にも属していなかった尖閣諸島を日本が領有し実効支配を行えば、日本の正当な領土となるのです。ちなみに、現在では、「もはや無主地は存在しない」ということになっているので、これから新たに無主地を先占して領有宣言ということはできません。(南極については、南極条約によって各国の領有権の主張が凍結されています)もっとも、1895年当時、日本は尖閣諸島の編入を非公式の閣議で決定し、この事実を外国に対しては特に伝えていなかったようです。だから、中国側は、日本が尖閣諸島を領有した(と主張した)事実に、リアルタイムでは気がつかなかったでしょう。しかし、その後日本側は鰹節製造やアホウドリの羽毛採取のため入植を開始しており、最盛期には200人が住んでいましたから、数年以内には日本の「領有」の事実を知ったはずです。1919年に、遭難した中国の漁民が尖閣諸島に漂着し、日本側に救助されるというできごとがありました。翌1920年に、この件について中国(中華民国)の駐長崎領事から、救助関係者への感謝状が出されていますが、そこにははっきりと「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島内和洋島」と書かれています。つまり、1920年の時点では、ここが日本の領土であることを中国側は認識しており、かつそれに異議を唱えていなかったことがわかります。1920年と言えば、その前年に五四運動が起こったばかりですが、日本の侵略に反対するこの運動の中で、「尖閣諸島を返せ」という主張は出てきたことがありません。1930年代、日中戦争当時も、蒋介石や毛沢東らが尖閣諸島について対外的に何か主張したという事実は知られていません。無主地先占の法理には批判もあります。帝国主義の時代に欧米列強がこの法理を振りかざして多くの地域を植民地化した事実があるからです。無主地先占の法理は植民地主義正当化のための理屈に過ぎないではないか、ということです。その批判は、まったく正しいけれども、尖閣諸島問題については的はずれだと言うしかありません。なぜなら、ここは無人島だったからです。1975年、北アフリカの西サハラをモロッコが侵略した事件(西サハラ問題)に関連して、国際司法裁判所より以下のような勧告的意見が出ています。スペインが西サハラを植民地化した時である、スペインが西サハラに保護関係を宣言した1884年の時期の国家慣行では、社会的・政治的組織を持った地域は無主の地とはみなされておらず、それらの地域の取得は「原始的権原による無主地の先占」ではなく、地域の首長との合意によるものである。」(1975・10・16勧告的意見)つまり、「社会的・政治的組織を持った地域」を「無主地」だと称して植民地化を正当化する論理は、1884年の時点ですでに無効だった、ということです。しかし、「原始的権原による無主地の先占」という法理がが当時認められていたことは、この判決でも認められています。つまり、「社会的・政治的組織」のある地域を無主地というのは通らないということであって、それがない地域は無主の地と見なされた、ということになります。無人の地域に社会的・政治的組織などあるわけがありません。ちなみに、1895年以前から、尖閣諸島は中国が実効支配していたというのが中国側の言い分ですが、それは無理というものです。確かに中国(清朝)が尖閣諸島の存在を知っていたことは事実ですが、日本側(最初は琉球王国)も知っていました。単に知っていて地図に載せていたと言うだけでは、領有していたということにはなりません。はっきり言ってしまえば、こんな絶海の孤島の無人島は、当時日本(琉球)にとっても中国(清朝)にとっても、航海の目印という以外はどうでも良い存在に過ぎなかったわけです。----さて、そういうわけで、私は尖閣諸島は当然に日本の領土だと思っているわけですが、ただし、「尖閣諸島は日本固有の領土」と言われてしまうと、ちょっとどうかと思ってしまうのです。領土とか国境線などというものは、時代によっていくらでも動くものです。だから、はっきり言ってしまえば「××国の固有の領土」なんてものはないと、私はそう思っています。歴史的経緯から考えれば、東プロイセンはドイツの「固有の領土」であるはずです。しかし今東プロイセンはドイツ領ではないし、ドイツは返還要求も掲げていません。同じく、テキサスやカリフォルニアも、歴史的経緯を考えればメキシコの「固有の領土」であるはずです。日本の歴史はいったいどのくらいの長さでしょうか。皇紀2670年とかいう政治的おとぎ話はともかく、邪馬台国あたりから数えても、1700年以上の歴史があります。その中で、日本が尖閣諸島を支配したのはたかが最近100年、しかも、その大半の期間は無人島でした。もちろん、たかが100年でも正当な領土であることに疑問の余地はないし、中国が支配したのは0年ですから比較になりません。でも、これで「固有の」なんて言葉を掲げるのは過剰表現に過ぎるように思います。そもそも、日本の「固有の領土」と言えるのは、東北南部以西の本州と四国、九州だけでしょう。東北北部(現在の岩手・秋田・青森)は11世紀頃まで、北海道は17世紀頃まで「蝦夷」であって、日本には服属していませんでした。沖縄はもともと琉球王朝という日本とは別の国であり、実質的には1609年に薩摩に征服されていますが、名目的には半属国状態で幕末まで一応独立国の体裁をとっています。今後だって、領土が動く可能性はゼロではありません。前述の東プロイセンやカリフォルニア・テキサスは戦争によって奪われた土地ですし、琉球や蝦夷だって、軍事的な侵略によって征服された土地です。しかし、かつて戦争で奪った土地であっても、今となっては正当な領土と見なされるのが国際社会の現実です。しかし、現在これから他国の領土を侵略して奪い取る、という行為は国際社会から認められないので、そのようにして奪った土地も領土として公認されません。その意味では、かつてより国境線が動く可能性は減少していますけれど、平和的な合意によって、ある地域をある国が別の国に譲ることはあり得ますし、ある地域が分離独立することもあり得るでしょう。たとえば、沖縄が住民の総意によって日本から独立するということは、(現実の可能性としてはきわめて低いですが、理論的には)あり得ないことではありません。中国側も、尖閣諸島は中国固有の領土だなどと言っているようですが、これも同様です。歴史上ただの一度も実効支配したことのない無人島を「固有の領土」と言ってしまうのは滑稽ですし、だいたい中国4000年の歴史の中で過去に領土だった地域と現在の領土と、全然一致していないのに、「固有の領土」などという用語を振りかざしたって仕方がないでしょう。歴史的に見れば、チベットやウイグルは全然中国固有の領土ではないし、逆に沿海州やモンゴル(外蒙)、ベトナムが中国の領土だった時代もあるわけです。尖閣諸島は100年前から日本が実効支配しているから日本の領土、ごく単純に言ってしまえば、それだけのことであって、それ以上でもそれ以下でもありません。だから、「固有の領土」というのもまた、ナショナリズム的硬直思考の一種ではないかと私は思ってしまうのです。
2010.10.10
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尖閣諸島を巡る騒動について、1週間前に私は「今回の中国側の反応は、少々常軌を逸しているように思えます。」と書きました。今も、中国側の行動は常軌を逸していると思います。ただし、残念ながら日本側の反応も、常軌を逸したものになってきています。たとえばhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100929-00000552-san-pol「中国は変わっていなかった」仙谷氏が甘さを反省仙谷由人官房長官は29日午前の記者会見で、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、中国側が船長の釈放を求めて態度をエスカレートさせてきたことについて、「20年前ならいざ知らず、(中国は)司法権の独立、政治・行政と司法の関係が近代化され、随分変わってきていると認識していたが、あまりお変わりになっていなかった」と述べ、自身の見通しの甘さを反省した。(以下略)--------------見通しが甘かったのはそのとおりです。しかし「中国側が船長の釈放を求めて態度をエスカレートさせ」たことと、「司法権の独立、政治・行政と司法の関係が近代化され」ているか否かは直接の関係がありません。政府はかたくなに認めていませんが、那覇地検が船長を釈放した判断に政府の意向が関係なかったなんて信じている人はいないわけで、こんなエラソーなことが言えるほど、日本の司法権は独立していると言えるのでしょうか。また、先の投稿でも指摘しましたが、軍艦が他国の領海内を航行する場合でさえ、無害航行権というものがあります。まして、領海外(経済水域は領海ではない)で中国の漁業監視船が活動することを禁じる根拠などありません。更に、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100927-00000036-jij-pol中国に原状回復要求=巡視船損傷で、時期明言せず―仙谷官房長官仙谷由人官房長官は27日午前の記者会見で、沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で損傷を受けた海上保安庁の巡視船2隻について「原状回復を(中国側に)請求する。当然政府の課題になり得るし、なるべきだ」と述べた。ただ、具体的時期については「現時点で行うか、(日中関係が)クールダウンしてから行うかは別だ」と明言しなかった。(以下略)--------------巡視船を損傷させたんだから、修理費を請求すること自体は正しいと思いますよ、しかし問題はそれを「誰に」請求するか、です。当然、この船長か船主に対して請求するものでしょう。ところが、どうも記事を読むと、中国政府に対して請求するようなニュアンスに読めます(そう明言されているわけではないけれど)。一民間漁船の衝突事故でその国の政府に対して修理費を請求というのは、請求先を間違えているとしか思えません。政府も政府なら、マスコミもマスコミ。私は、この件についての政府の対応は場当たり的で一貫性がなく、長期的視野に欠けていたと思いますが、しかし少なくとも弱腰な態度ではなかったと思います。ところが、夕刊紙の見出しなどを見ると、「弱腰外交」「土下座外交」という勇ましい(?)言葉が並んでいます。そして案の定、出てきたのがこういう行動。http://www.asahi.com/special/senkaku/SEB201009290013.html中国人観光客のバスを妨害 福岡、街宣車が取り囲む29日午後4時ごろ、福岡市中央区の福岡市役所前の路上で、中国人観光客らを乗せた観光バスの周辺に右翼団体の街宣車十数台が集まり、約20分間にわたりバスが足止めされる騒ぎがあった。街宣車から降りた十数人の男らが、バスをけったり、たたいたりして、「降りてこい」などと叫んだという。警察官が現場にかけつけ、バスは無事出発し、けが人はなかった。市などによると、現場には福岡市中心部で買い物などをした外国人観光客が集合し、バスに分乗してクルーズ船の待つ博多港に帰るところだった。ツアーには約1300人が参加しており、大半が中国人客だったという。街宣車はバスの進行を防ぐ形で次々と停車し、拡声機で「尖閣諸島は日本の領土だ」などと叫んだ。さらに、男たちがバスに近づき、罵声(ばせい)を浴びせるなどしたという。(以下略)--------------http://www.asahi.com/special/senkaku/OSK201009280168.html 「尖閣の件、なめるな」神戸の中華同文学校に脅迫相次ぐ華僑の子どもらが通う神戸市中央区の神戸中華同文学校に27、28日、男の声で「尖閣諸島の件、なめたらあかんぞ。殺すぞ」などという脅迫電話が計3度かかったほか、28日には生徒に危害を加えるという内容の脅迫文が郵送されたことが、兵庫県警への取材でわかった。県警は学校周辺の警備を強める方針だ。生田署によると、脅迫文は同校あてで、封筒の中に「生徒にけがをさせるぞ」などと印字された便箋(びんせん)1枚が入っていた。差出人の名前は書かれていなかったという。(以下略)--------------http://www.asahi.com/special/senkaku/SEB201009260061.html中国総領事館近くでぼや騒ぎ バイクの男走り去る 福岡26日午後4時40分ごろ、福岡市中央区地行浜1丁目の中国総領事館東側の歩道で、紙切れが燃えるぼや騒ぎがあった。県警は沖縄県尖閣諸島沖の衝突事件との関連も調べている。中央署によると、領事館の東門近くの歩道に幅約4センチ、長さ約20センチの光沢のあるピンク色の紙片の燃えかすがあった。現場では男が大声で叫びながら何かに火を付け、バイクで走り去る姿が目撃されており、男がバイクで立ち去った後、領事館員が警戒中の警察官に通報したという。--------------こんなバカげた行動がまかり通っているようでは、中国のネット上の「愛国者」憤青の過激な主張や行動のことをまったく笑えません。日本も同じだと言うしかない。私は、尖閣諸島は日本の領土であると思っていますし、その点に関して中国に譲る必要はまったくないと思っています。でも、領有権というのは声高な強硬論だけを叫び続けていれば守れるのか。今の菅政権は中国に対して充分に強硬です(無駄に強硬と言う方が正確かな)。それが「土下座外交」に見えるようでは、じゃあどれだけ強硬な態度を取れば気が済むの?と思います。一切没交渉で反中を叫んでいればいいのか、日中平和友好条約を破棄すればいいのか、国交断絶すればいいのか、戦争でも始めて「尖閣沖海戦」で勝利すれば満足なのか(日中の海軍力の現状から考えれば、日本が勝つのは確実)、その結果中国との経済関係が断絶して、大恐慌となり、強硬論を叫んでいる連中が軒並み失業すれば満足なのか。今の状況は、まるでボール球を1個投げたら「敗北主義」と言われかねないような状況です。バカじゃないの、と思います。最初から150kmの直球をストライクゾーンに投げ続ければ勝てる、というものじゃないでしょうが。
2010.09.30
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この一連の問題について私が思うのは尖閣諸島は日本の領土であるという1点については譲る必要はない(譲るべきではない)でも、それ以外のことについては譲らなくてはいけないこと、譲った方がいいことは、いろいろあるんじゃないかなと思います。国士様系の主張を見ていると、一歩でも妥協することは「売国だ」と言わんばかりです。じゃあ、どうするんですか、1回の表から150kmの剛速球一本槍で全部ストライクを投げ続けろとでも言うのでしょうか。さて、今日はこんな記事がありました。http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100927-OYT1T01088.htm尖閣沖で中国監視船2隻が活動、政府は中止要請仙谷官房長官は27日午後の記者会見で、尖閣諸島沖の日本領海周辺で中国の漁業監視船2隻が24日夕から活動していることを明らかにした。自国漁船の警護などが目的と見られる。同海域での侵犯行為の既成事実化を図り、日本を揺さぶる狙いがあるとみられ、政府は警戒を強めている。長官によると、監視船は2隻で、日本の領海に隣接する「接続水域」で活動している。海上保安庁が巡視船6隻を派遣して警戒に当たっているほか、外務省がこれまでに計4回、外交ルートを通じて中止を求めているが、27日午前6時の時点でも確認されたという。長官は会見で、「首相官邸を中心として、関係省庁の連携、協調の下で厳正に対応していく」と述べた。ただ、中国政府は監視船の常態化を図る方針とみられ、漁船や監視船による侵犯行為を今後も繰り返すとの懸念が強まりそうだ。------------------問題の監視船は、領海に入ったわけではないようです。仮に領海に入ったとしても、船舶には無害航行権というものがあります。軍艦ですら、無害航行権が認められていますから、監視船が日本の領海に入ったとしても、それをもって直ちに「侵犯」とは言えません。もちろん、「活動」の具体的な内容次第ですけれど。漁船が操業することは「無害航行」ではありません。ただし、この海域は日中漁業協定によって、「暫定措置水域」に指定されています。暫定措置水域とは、いずれの国の漁船も相手国の許可を得ることなく操業することができ,各国は自国の漁船についてのみ取締権限を有する。同水域における操業条件は日中共同漁業委員会が決定する。同水域において相手国漁船の違反を発見した場合は,その漁船・漁民の注意を喚起すると共に,相手国に対して通報することができるというものです。(参考)つまり、海上保安庁の巡視船は、中国漁船に警告を行うことは出来るけれど、取り締まりは中国側の官憲が行う、ということです。暫定措置水域は中国側の経済水域にも設定されていますから、そこで日本漁船が操業する場合も取り締まりができるのは日本の巡視船のみ、ということになります。(日韓間にも同様の取り決め水域がある)問題の事件は経済水域ではなく日本の領海内なので、この暫定措置水域には入っていませんし、「あて逃げ」なのでこの協定の存在によって免罪することは出来ません。しかし、漁業監視船が領海外の経済水域で活動することまで禁止する根拠は何もありません。
2010.09.27
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一昨日(日付の上では昨日の午前0時過ぎ)に尖閣諸島での漁船衝突事件について記事を書いたばかりですが、それから1日も経たずに事態は急転直下、まず中国でゼネコン「フジタ」の日本人社員4人が拘束され、それから問題の漁船船長が処分保留で釈放となりました。この記事に接した第一印象は「えっ、もう釈放しちゃうの、何で?」と思いました。略式起訴→罰金刑で釈放、ただちに送還というコースだろうと思っていましたから。いずれにしても、船長の逮捕容疑は公務執行妨害であり、罰則は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金と、それほど重いものではありません。常識的に考えると実刑判決はないと思われます。たとえば、不法入国(罰則は公務執行妨害とほとんど同じで、罰金の上限が少し高い)で逮捕されても、まずほとんどの場合執行猶予付判決で送還されるだけです。だから、厳正に法的手続きを行ったとしても、遅かれ早かれ釈放されて送還されることに違いはありませんでした。ただ、今ここで釈放するなら最初から逮捕しなければよかったと思います。あるいはせめて1回目の勾留期限で勾留期間の延長をしなくてもよかった。逆に勾留期限を延長した以上は、勾留期限まで取り調べを行うべきだったのではないでしょうか。(勾留期限まであと5日あったようです)結局、日中双方が相手の反応を読み違えて強硬策に突っ走り、チキンゲームを繰り広げた挙げ句、日本側が先にハンドルを切ってしまった、ということでしょう。ハンドルを切らなければ大惨事ですから、それ自体は仕方がないことですが、そもそもチキンゲームに陥ったこと自体が間違いですし、ハンドルを切るタイミングも適切ではなかったのではないかと思います。要するに対応が中途半端であった、ということです。私は、自他共に認める日中友好を願う者ですけれど、今回の件に関しては中国側の行動を弁護する気はありません。かつて、1978年日中平和友好条約締結時に、トウ小平は記者会見において「尖閣諸島を中国では釣魚島と呼ぶ。名前からして違う。確かに尖閣諸島の領有問題については中日間双方に食い違いがある。国交正常化の際、両国はこれに触れないと約束した。今回、平和友好条約交渉でも同じように触れないことで一致した。中国人の知恵からしてこういう方法しか考えられない、というのは、この問題に触れるとはっきり言えなくなる。こういう問題は一時棚上げしても構わない、次の世代は我々より、もっと知恵があるだろう。皆が受け入れられるいい解決方法を見出せるだろう」と言っています。要するにこの問題を棚上げすることで国交回復や平和友好条約締結に漕ぎ着けたわけです。現実的でうまい解決策だったと思います。ところが、残念ながら、それから32年後の今、「次の世代」にトウ小平のような知恵があるとは思えません。それは日本側も同様ですけれど。日中双方とも1978年当時より今の方が経済大国となっていますが、双方とも「愛国心」や「国家意識」ばかりが肥大していく一方で、柔軟さを失っていくばかりのように思えます。日中は隣国同士であり、その条件は今後「日本」「中国」という国と国民が存続する限り未来永劫変わりません。その隣国同士が対立と紛争でエネルギーを消耗するより、友好関係を築くことの方がよほど建設的と思うのですが、分かっていてもそれができないのが人間というものの限界なのかもしれません。※トウ小平のトウの字は、漢字で打つと機種依存文字でエラーになって投稿できません。そのくらい投稿できるようにしてくれ・・・・・・
2010.09.25
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尖閣諸島沖合いで中国漁船の衝突事故をめぐる騒動が激化しています。事件の経緯は、マスコミに散々報じられていますから、今更ここでは繰り返しません。私は、自他共に認める日中友好論者ですし、一部の人からは「反日」だとも思われているようですが(ネットウヨクどもにそう思われるのはむしろ光栄なことですが)、その私から見ても、今回の中国側の反応は、少々常軌を逸しているように思えます。尖閣諸島を自国領だと主張したい中国側の動機は理解できますが、そりゃ無理筋というものであろうと思います。なんと言っても、1970年代に至るまで当の中国自身が尖閣諸島を日本の領土と認めていたという歴史的な事実があります。したがって、「尖閣諸島は日本の領土である」という主張について日本側が譲る必要はないし、問題の中国漁船が報道のとおり巡視船に体当たりを食らわせたのだとするなら(ビデオ撮影されているそうですから、まず間違いはないでしょう)、逮捕された船長に対する処罰も、法に基づいて行われるべきでしょう。その点に妥協の余地はないと思いますが、中国側の反応が常軌を逸しているから、売り言葉に買い言葉で日本側もヒートアップすれば事態が解決するのかと言えば、そんなことはありません。それに、人も住めない絶海の孤島の無人島です。人の命がかかっている問題ならばともかく、無人島のために軍事的に争って人の命が失われるようなことにでもなったら、あまりにむなしい。妥協せずにヒートアップせずに人の命も失わないように、となると、時間が解決するしかありません。しばらく冷却期間をおくしかないのだろうと私は思います。どちらにしても、経済的に切っても切れない関係です。それにしても、事態を厄介にするのは、ネット上で過激論をはき続ける日本のネットウヨクと、中国のネットウヨクこと憤青。数日前にどこかのブログ(いま改めて検索したのですが、発見できません)で中国の2ちゃんねる見たいなところでの書き込みを翻訳した記事がありましたが、日本のネットウヨクもろくでもないけれど、中国の憤青も似たようなものです。この記事によると、「ネットで愛国を訴える人は、ネット利用者の3、4%程度であろう」とのことです。でも、日本のネットウヨクがネット利用者に占める割合はそれより少ないのではないかと思いますが、それでも彼らが傍若無人に振舞った場合の悪影響は、決して無視できないものがあります。そこから類推すれば、ネットユーザーの3、4%が「愛国無罪」で傍若無人な行動に出たら、その影響はかなり大きいでしょう。その中には、「政府は何て弱腰なんだ!!」みたいな、中国政府に対する批判も散見される。それが、中国政府としては怖くて、引くに引けなくなっている側面もあるようです。ところで、http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010092100621尖閣事件で訪中を中止=「やくざと同じ」と批判-石原都知事東京都の石原慎太郎知事は21日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖での中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件で、中国側が閣僚級以上の交流停止などを打ち出したことに関連し「こんな中国に行くつもりはない。向こうから頼まれても行かない」と述べ、検討していた訪中を中止する考えを明らかにした。また「やくざがやっていることと同じ」と述べ、事件に関する中国側の対応を批判した。都庁内で記者団の質問に答えた。石原知事は、10月12、13の両日、世界45都市の首長が参加して都市の持続的発展について話し合う北京市での国際会議に参加する予定だった。----------------------知事の職責は、基本的に海外出張が必須なものではないし、ましてこの人の海外出張は大名旅行で莫大な予算を使っているので、訪中をやめるというならぜひやめてほしいですね。でも、それはそれとして、「やくざがやっていることと同じ」とはねえ。私に言わせれば、今回の件で中国がやっていることは、石原慎太郎がやっていることと同じ、としか思えないのですが。
2010.09.23
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このところ、民主党政権には愛想を尽かすことばかり続いていましたが、これは前向きに評価したいです。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100810-00000005-maip-pol日韓併合100年 「心からおわび」首相談話を閣議決定(中略)首相談話の全文本年は、日韓関係にとって大きな節目の年です。ちょうど100年前の8月、日韓併合条約が締結され、以後36年に及ぶ植民地支配が始まりました。3・1独立運動などの激しい抵抗にも示されたとおり、政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました。私は、歴史に対して誠実に向き合いたいと思います。歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたいと思います。痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることはできないものです。この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明いたします。このような認識の下、これからの100年を見据え、未来志向の日韓関係を構築していきます。また、これまで行ってきたいわゆる在サハリン韓国人支援、朝鮮半島出身者の遺骨返還支援といった人道的な協力を今後とも誠実に実施していきます。さらに、日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮王朝儀軌(ぎき)等の朝鮮半島由来の貴重な図書について、韓国の人々の期待に応えて近くこれらをお渡ししたいと思います。日本と韓国は、二千年来の活発な文化の交流や人の往来を通じ、世界に誇る素晴らしい文化と伝統を深く共有しています。さらに、今日の両国の交流は極めて重層的かつ広範多岐にわたり、両国の国民が互いに抱く親近感と友情はかつてないほど強くなっております。また、両国の経済関係や人的交流の規模は国交正常化以来飛躍的に拡大し、互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながら、その結び付きは極めて強固なものとなっています。日韓両国は、今この21世紀において、民主主義や自由、市場経済といった価値を共有する最も重要で緊密な隣国同士となっています。それは、2国間関係にとどまらず、将来の東アジア共同体の構築をも念頭に置いたこの地域の平和と安定、世界経済の成長と発展、そして、核軍縮や気候変動、貧困や平和構築といった地球規模の課題まで、幅広く地域と世界の平和と繁栄のために協力してリーダーシップを発揮するパートナーの関係です。私は、この大きな歴史の節目に、日韓両国のきずながより深く、より固いものとなることを強く希求するとともに、両国間の未来をひらくために不断の努力を惜しまない決意を表明いたします。----------------内容的には従前の村山談話から更に踏み込むようなものではなく、ごくごく当たり前のことを言っているに過ぎません。それでも、私はあえて、この談話を発表した菅首相(奔走したのは仙谷官房長官のようですが)を支持したいと思います。当たり前の内容ではあっても、その当たり前の内容すら認めようとしない連中がゴロゴロいるなかで、それを言うことは充分評価に値すると思うからです。もちろん、だからといって民主党そして菅直人の、その他の様々な期待はずれの政策や言動を評価する気はさらさらありませんが。この程度の内容の談話に発狂したように怒り狂っているネットウヨクの連中に対しては、私は言うべき言葉などありません。政界のネットウヨク安倍晋三も発狂しているようです。http://www.47news.jp/news/2010/08/post_20100810141805.html安倍氏、首相談話を批判 日韓併合100年で自民党の安倍晋三元首相は10日、日韓併合100年に際しての首相談話発表に関し「歴史の評価は歴史家に任せるべきで、政府が声明を出すことには慎重であるべきだ」と批判した。山口県下関市で記者団に語った。安倍氏は、談話発表の背景として「仙谷由人官房長官が自分の思いを満たすために出した」との認識を強調。今後の文化財引き渡しにも「さまざまな個別補償に飛び火するのは間違いない。禍根を残す」と指摘した。----------------先に指摘したように、今回の首相談話は、1995年の村山談話から踏み出した内容ではありません。対象が「アジア各国」から韓国のみに絞られているだけです。ネット上で発狂しているような連中は、「村山談話粉砕、今回の首相談話も粉砕」だから、善し悪しはともかくとして首尾は一貫しています。しかし安倍は違う。安倍は首相のときは村山談話を踏襲すると言明しています。もちろん、本心は違ったことは明らかですが、それにしても自分が首相のときには村山談話を踏襲すると明言した、その同じ口で「歴史の評価は歴史家に任せるべきで、政府が声明を出すことには慎重であるべきだ」と言う。民主党も立場が変わるということがコロコロ変わるけれど、あんたもまったく同じだと言いたい。なお、村山談話にも「現在取り組んでいる戦後処理問題についても、わが国とこれらの国々との信頼関係を一層強化するため、私は、ひき続き誠実に対応してまいります。」という表現がありましたが、それによって「さまざまな個別補償に飛び火」したんでしょうか?私は、戦争被害への個人補償に誠実に対応すべきだと考えていますが、しかし現実には村山談話があっても個人補償はまったく進展しませんでした。今回の首相談話にしても、その点では期待していません。個人補償が進展することは、多分ないだろうと思っています。今日はもう一つ注目すべきニュースがありました。http://www.asahi.com/national/update/0810/OSK201008100099.html在特会幹部ら4人を逮捕 朝鮮学校の授業妨害容疑京都朝鮮第一初級学校(京都市南区)の前で「日本から出て行け」と拡声機で叫んで授業を妨害するなどしたとして、京都府警は10日、威力業務妨害容疑などで「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の幹部ら4人を逮捕した。本部を置く東京の会長宅なども家宅捜索した。府警によると、逮捕されたのは在特会副会長で電気工事業の川東大了(かわひがし・だいりょう)容疑者=大阪府枚方市=、在特会京都支部運営担当でマンション管理人の西村斉(ひとし)容疑者=京都市右京区=ら30~40代の男性4人。4人は他の在特会メンバーらとともに昨年12月4日昼、同校周辺で1時間近くにわたり、拡声機で「北朝鮮のスパイ養成所」「日本から出て行け。スパイの子ども」などと怒鳴って授業を妨害し、同校の名誉を傷つけた疑いがある。隣接する児童公園で、同校が管理するスピーカーのコードを切断したとする器物損壊容疑も持たれている。学校側が昨年12月に告訴した。在特会は、市が管理する児童公園を学校が運動場代わりにし、スピーカーやサッカーゴールを無断で設置していた点をただそうとしたと主張。川東容疑者は逮捕前、朝日新聞の取材に「違法な設置物を撤去したうえで話し合おうとしたが、学校側に拒否されたので抗議しただけだ」と説明していた。府警は、大勢のメンバーが押しかけて、ののしりの言葉を大音量で繰り返し、子どもたちを不安に陥れた点を重視。授業ができなくなる事態に追い込んだ結果は見過ごせないと判断した。(以下略)----------------これもまた、当たり前の逮捕。彼ら自身が堂々と公開しているYouTubeの動画を見ると、彼らの「街宣」の異常性がよく分かります。今までこんな連中のやりたい放題が野放しになっていたこと自体がおかしい。やっと日本の警察がまともに機能した、と思います。ちなみに、上記記事に「在特会会長の自宅に家宅捜索に訪れた京都府警の捜査員ら=10日午前7時20分ごろ、東京都江戸川区」という写真が掲載されています。在特会の会長と言えば、「嫌韓流」解説本(※)の著者桜井誠(本名かどうか不明)ですね。※桜井誠について、当初誤って「嫌韓流」の著者と書いていました。正しくは、その解説本である「嫌韓流実践ハンドブック 反日妄言撃退マニュアル」や「嫌韓流実戦ハンドブック2 反日妄言半島炎上編」の著者です。お詫びして訂正します。
2010.08.10
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100302-00000095-scn-cnキム・ヨナ批判が発端の「日韓サイバー戦争」、中国でも大きく報道1日、日本の巨大掲示板「2ちゃんねる」のサーバが韓国からのサイバー攻撃を受け、サーバダウンした。一方、日本からは韓国大統領府のウェブサイトなどにサイバー攻撃があるなど、日韓ネットユーザーによる「サイバー戦争」は中国でも大きく取り上げられ、報じられた。サイバー戦争の発端についてだが、韓国では「日本ネットユーザーが招いた事態である」と主張。先日、ロシアで韓国人留学生が集団で暴行され、死亡する事件が発生したが、これについて日本のネット上に書き込まれた「ロシア万歳(ばんざい)」というコメントや、冬季五輪フィギュアスケート金メダリストである金妍兒(キム・ヨナ)選手に対して「審判を買収した」と誹謗・中傷のコメントが引き金になったとの主張だ。日本のネット上に寄せられたコメントに怒った韓国ネットユーザーが、韓国の大手ポータルサイト上で「復讐」を呼びかけると3日ほどで8000人以上が集まった。続けて、1日13時午後1時ころから『2ちゃんねる』に対して「F5リロード(F5キーを連続的に押す方法)」攻撃で同サイトのサーバをダウンさせたが、これには約5万人もの韓国ネットユーザーが参加したとされる。『2ちゃんねる』は3月2日夜もアクセスしづらい状況が続いている。今回の韓国からの大規模なサイバー攻撃に対し、サーバが置かれている米国のデータセンターは米連邦捜査局(FBI)などの公的機関に対して「サイバーテロ」として調査を依頼するとした。-----------------当ブログでもオリンピックのフィギュアスケートについて書きましたけど、一連の騒動がこんな事態に至るとは、韓国側の参加者も日本側の参加者も、頭を冷やせとしか言いようがありません。嫌韓流のバカ右翼は大っ嫌いですし、ヤフーニュースのコメント欄や2ちゃんねるに書かれている内容に、目を疑うような酷いものが多いのは事実ですが、だからといってサイバー攻撃をかけてよい理由にはなりません。そんなことをすれば、日本の嫌韓流のバカ右翼と同レベルになってしまいます。というか、結果的に韓国の「愛国者」と日本の「愛国者」がともに同じことをやっているあたりが、かなり笑えます。いや、笑い事じゃなくて、かなり深刻な事態なんですけれど。いうまでもなく、こういう馬鹿なことをする連中は、日韓ともにごく一部です(韓国側で参加したのは約1万人という報道があります。日本側はどのくらい参加したのでしょうか)。だけど、戦争というのは、えてして最初はごく一部の跳ね返り同士の反目から始まるものなのかもしれません。そういう意味では恐ろしい話です。それはそれとして、キムヨナの金メダルに対する日本側一部ネットユーザーの批判に、目に余るものがあるのは事実です。この件については前の日記に書いたので繰り返しませんが、わたしは素人ですが、その素人の目から見て、基本的にはフィギュアスケートに客観的な採点が可能なのかというあたりは非常に懐疑的だし、別に順位なんか付けなくたっていいじゃんと思うのですが、それでも順位を付けるなら、キムヨナが1位、浅田真央が2位は歴然としていると思うのです。もちろん、これは一人のド素人である私の、まったくの主観です。ただ、その主観と、実際の順位に乖離がなかったので、私は非常に納得しています。もちろん、キムヨナもすばらしかったし、浅田真央もすばらしかったと思いますけれど。点数の付け方の妥当性は、私は素人なのでよく分かりませんけれど、いろいろと批判があることは承知しています。しかし、私の調べた限り、点数の問題は、決してキムヨナだけの問題ではないようです。たとえば、銀メダルのプルシェンコが「4回転飛べないものが金メダルはおかしい」という趣旨の発言を行っていますが、これは男子の金メダルに関しての発言です。更に、男子では4回転ジャンプに失敗して転倒してしまった高橋大輔が銀メダルで、4回転ジャンプに成功した(1回失敗、1回成功)ステファン・ランビエールが僅差の4位。つまり、仮にキムヨナが不鮮明な得点によって金メダルを獲得したという言い分が事実なら、高橋大輔も不鮮明な得点によって銅メダルを獲得した、ということになります。金メダルのエバン・ライサチェク(米国)もそうです。韓国だけでなく、日本も、「不鮮明な得点」によってメダルを得たということになるわけです。いや、まじめな話、ネット右翼系ではないフィギュアスケート愛好者の間では、キムヨナの得点と並んで高橋の得点についても問題視されているようです。そのことから考えても、「韓国がジャッジを買収して」みたいな話はあり得ないと思われます。韓国人のジャッジがいるから、みたいな話も同様。フィギュアスケートの採点は、最低点と最高点を除いた残りのジャッジの平均点で競われるから、万が一韓国人のジャッジが自国選手に無理な高得点を付けたとしても、それは採点から弾かれてしまう仕組みになっています。それにしても、オリンピックの対する採点の不満が韓国という国全体に対する非難攻撃に直結してしまう精神構造というのは、私の想像を超えます。最近私は、被害妄想の人と接する機会かあるのですが、そういう人は、妄想を抱いた対象が何を言ってもすべて悪い方にとらえる。キムヨナを非難攻撃する人たちにも、同じにおいが感じられます。根拠も理論的整合性もなく「ジャッジを買収している」とか、笑い方が不敵だとか、以前に紹介した「浅田真央はもう一人の自分」という発言に対しても訳の分からない批判があるようです。発言の一つ一つに至るまで、すべて悪くとらえる。もうこうなると、完全に凝り固まっている感じで、手の施しようがありません。もちろん、そんな連中の全部が全部日韓サイバー攻撃合戦に参加した訳じゃないでしょうが・・・・・・。
2010.03.02
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日中歴史共同研究についてこのブログで何回か取り上げたことがあります。南京大虐殺については、犠牲者数に関しては日中間の溝は埋まらなかったものの、虐殺が存在したことそれ自体については日中の学者間に意見の相違はありませんでした。当然のことだと思います。ところが、当然のことながらそのこと(日本側が南京大虐殺の存在を認めたこと)について、それを認められない勢力というものが存在するわけです。少し前の話になりますが、そういう時代錯誤的メディアの一つ産経新聞が、さっそく共同研究での合意にかみついています。http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100201/plc1002010321006-n1.htm【主張】日中歴史共同研究 「南京虐殺」一致は問題だ日中の有識者による歴史共同研究の報告書が発表された。両国の歴史に対する考え方の違いが一段と明確になった。この共同研究は、平成18年10月の安倍晋三首相(当時)と胡錦濤国家主席の合意に基づき、3年がかりで行われた。両国の認識の隔たりが大きく、両論併記の形がとられたのは当然である。近現代史の部分を読むと、日本側の記述はおおむね客観的な資料に沿って書かれている。これに対し、中国側の記述は中国共産党史観の域をほとんど出ていない。ただ、南京事件(昭和12~13年)のくだりで、中国側の主張に引きずられているのは問題だ。日本側の記述は「日本軍による捕虜、敗残兵、便衣兵、及び一部の市民に対して集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強 姦(ごうかん)、略奪や放火も頻発した」と「虐殺」を認めている。その数は、東京裁判で認定された「20万人以上」、中国が主張する「30万人以上」などの数字を挙げ、「日本側の研究では20万人を上限として、4万人、2万人などさまざまな推計がなされている」としている。しかし、「南京虐殺」や「南京大虐殺」は当時の中国国民党が宣伝したものであることが最近の実証的な研究で分かってきた。日本軍による集団的な虐殺の有無も、はっきりしていない。こうした日本側の研究状況を過不足なく正確に記述すべきだった。「南京虐殺」で認識が一致したといっても、共同研究に参加した学者間でのことだ。それがあたかも歴史の真実であるかのように、日本の教科書などで独り歩きするようなことは避けたい。今回、中国側が戦後史の部分の発表を拒否し、それに日本側が同調したことも問題である。このため、日本側の研究論文まで非公開にされてしまった。中国当局は天安門事件(1989年)に関する厳しい言論統制を行っており、日本側の論文が公表されることで当局への批判が誘発されることを恐れたためとみられる。日中両国の共同研究の成果は、等しく両国民に公開されるのが筋だ。日本政府は改めて中国側に公表を求めるべきである。共同研究は今後も続けられる。そもそも、独裁国家の中国と学問の自由がある日本との間で、大きな成果は期待できない。日本側の学者はこのことをよくわきまえて共同研究に臨む必要がある。-------------------いやあ、噴飯もの、というかほとんど笑える内容です。産経新聞的には、「南京虐殺」や「南京大虐殺」は当時の中国国民党が宣伝したものであることが最近の実証的な研究で分かってきた。日本軍による集団的な虐殺の有無も、はっきりしていない。のだそうですが、実証的研究とは、「学問研究の成果というに値しないと言って過言ではない」と東京地裁に断定された東中野修道の愚論のことでしょうか?私の知る限り、日中歴史共同研究の日本側メンバーは、あの安倍晋三肝いりで始まった事業だけに、およそ左翼的でも何でもないメンバーが中心です。そのメンバーから「南京大虐殺はあった(ただ人数は・・・・・)」という結論が出ているということは、「南京大虐殺なんてなかった」などという言説は、日本の学界でも受け入れられるものではないということが明白になったということです。あれだけ大量の証拠があって、それでもなお、虐殺の有無がはっきりしないというのは、見たくないから見ない、というのと同様でしかありません。「独裁国家の中国と学問の自由がある日本との間で、大きな成果は期待できない。」というのも、すごい言い分です。まあ、現実問題としてどの程度の成果が期待できるかは未知数だと私も思いますが、「独裁国家」だと学者の発言まですべて政府が完全にコントロールしているとでも思っているんでしょうか。ところで、産経新聞は、外国人参政権の問題について、大学入試センター試験の設問にイチャモンを付けています。http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100117/plc1001172302015-n1.htm永住外国人に地方参政権を付与することは憲法上禁止されていないと最高裁は判断した、という選択肢を正答とする試験問題に産経はご立腹のようですが、事実として最高裁は判決でそれを合憲だとしているんだから、仕方ないでしょう。当然の設問であり当然の回答です。それをけしからぬと叫んでいる産経新聞は、まさに学問の自由を否定しようとしているとしか思えません。その一方で「独裁国家の中国と学問の自由がある日本」とか、よく言うよなあと思います。
2010.02.12
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100131-00000040-jij-pol南京虐殺、犠牲者数で隔たり=戦後史は除外-日中歴史研究報告書日中両国の有識者による歴史共同研究の成果をまとめた報告書が31日、公表された。双方は、日中戦争の原因が基本的に日本側にあり、中国国民に深刻な被害を与えたとの見解では一致。しかし、南京虐殺事件の犠牲者数を中国側が30万人と主張したのに対し、日本側は2万~20万人とするなど、認識の隔たりも浮き彫りとなった。日中の有識者は共同研究を継続していく方針を確認しているが、政治体制の違いもあり、歴史認識の共有に向けたハードルは高いのが実情だ。歴史共同研究は両国の相互理解を深めることを目的に、2006年10月の日中首脳会談で合意され、同年12月にスタート。日本側は北岡伸一東大教授、中国側は歩平・社会科学院近代史研究所長が座長を務めた。-----------------以前にもこの件について日記で取り上げたことがありますがそのときの記事では、日本側の主張は「数万から20万」とのことだったのですが、今回の記事では「2万から20万」になったようです。その時も書きましたが、私自身は南京大虐殺の犠牲者は10万±5万人と思っています。中国側の公式見解である30万人というのは、事実とは信じがたい。日本側の主張する2万から20万というのは幅のありすぎる数字で、下限の2万というのは過小にすぎる見積もりではありますが、それでも30万人よりは2~20万という数字の方が真相に近いだろうと私は思っています。別に私に限った話ではなく、日本で「大虐殺派」とされる研究者(笠原十九司、藤原彰、洞富雄、吉田裕、本多勝一など)でも、南京周辺で不法殺害された犠牲者が30万人と考えている人はいません。ただし、南京で少なくとも2万人以上が犠牲となる虐殺があった、ということは日中の研究者とも一致している、ということは言えます。2万人でも、阪神淡路大震災の3倍以上というとてつもない数です。私は、南京大虐殺はあった、ということで日中の研究者が一致できたことの意義は大きいと思います。犠牲者数に関して、諸説あって日中間で意見がまとまらないのは、これは仕方がない。日本国内でだって意見はまとまらないですから。両論併記というのは、むしろ自然なことだと私は思います。つい先頃、このブログにも「南京大虐殺についても、未だに『あった』と考えられる方のお考えというものが、よく理解出来ません。」なんてコメントを寄せた自称「愛国者」の方がおられましたが、私に言わせれば、未だに南京大虐殺が「なかった」と考えられている方のお考えというものがよく理解できません、というのが正直なところです。まあ、心理としては理解できなくはないです。誰しも、自分の祖国が戦争犯罪を犯した、なんてできることなら認めたくないものですから。だけど、認めたくないから認めないというのは、理論ではない、だだっ子の理屈でしかありません。そして、そのような態度が、しばしば国を誤る原因となってきたのです。米国と戦争を行っても勝ち目なんかない、という動かし難い現実を、軍人たちが認めようとしなかったその結末が、太平洋戦争の破滅的敗北でした。南京で何が起こったのかついては、私のサイトにまとめてありますのでご覧ください。長いですが・・・・・・・http://andesfolklore.hp.infoseek.co.jp/intisol/nankin.htmここで紹介している、虐殺の証言や手記は大半が日本軍の将兵によるものであることを付言しておきます。
2010.01.31
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http://www.asahi.com/business/update/0121/TKY201001210187.html09年中国名目GDP33.5兆元 日中逆転は10年か中国国家統計局は21日、2009年の国内総生産(GDP)成長率が物価変動の影響を除いた実質で8.7%だったと発表した。名目GDP総額は33兆5353億元。09年の平均為替レートで換算すると約460兆円、約4兆9千億ドルとなる。中国の名目総額は、早ければ09年にも日本を抜いて米国に次ぐ世界2位に浮上するとの見方もあったが、日本がわずかに上回る見通し。10年の日中逆転はほぼ確実な情勢だ。中国の09年10~12月の実質成長率は前年同期比10.7%と、金融危機が深刻化する前の伸びを回復した。中国は01年の世界貿易機関加盟で成長が加速。名目GDP総額は07年にドイツを抜いて米国、日本に次ぐ3位になった。日本は1968年に経済規模で西ドイツ(当時)を抜いて以来2位が続いている。だが、経済の成熟化に加え、バブル崩壊や「失われた10年」と呼ばれた長期不況に見舞われたことで名目総額は頭打ちになっている。日本の09年の名目総額は2月中旬に発表される予定。先月下旬に閣議了解された政府経済見通しでは、09年度の名目総額を約473兆円、10年度を約475兆円と見込んだ。09、10年暦年でも475兆円(09年平均為替レート換算で約5兆700億ドル)程度との見方が多い。日中の差は09年に2千億ドル程度まで縮小したとみられる。(以下略)---------------------わたしは、2009年中に日中のGDP逆転かと思っていたのですが、今年に持ち越しだったようです。もっとも、中国の人民元の交換レートは低すぎる、という意見もあり、もしそうだとすると、「正当な交換レート」ならとっくに逆転、ということかも知れません。ただし、中国は日本の10倍の人口ですから、人口1人あたりで言えば、まだ日本が中国の約10倍、ということになります。いずれにしても、日中のGDP規模の逆転は、もはや避けられないところでしょう。日本が、今年、急に景気が回復、というのはなかなか想像しがたいものがありますから。そして、もはや中国の存在なしに日本経済は成り立たないことも事実です。ネットウヨクの連中の中には、中国製品不買運動とかを主張している人がいますが、そんなことはできません。いや、外食をいっさいせずに、金に糸目を付けずに高級食材を使えば、(食に関しては)できるかも知れないけれど、金がなければそんなことはできませんし、食以外について言えば、例えばパソコンをもっている時点で、中国製の部品を使っていないパソコンなんてありません。中国には様々な問題があります。でも、日本にとって重要な隣国です。そして、どう頑張ったところで、お互いに「隣国」という関係を離れることはできないのです。隣国と敵対的関係でエネルギーを消耗するより、友好関係を維持する方が、よほど建設的だとわたしは思うのです。
2010.01.21
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http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091222-OYT1T00026.htm日中歴史共同研究、「南京事件」は両論併記へ日中両国の有識者による「日中歴史共同研究委員会」(日本側座長=北岡伸一・東大教授)が24日にも最終報告をまとめ、このうち「総論」を発表することが明らかになった。時代ごとに担当委員が執筆した論文を盛り込んだ「各論」も近く公表される見通しだ。ただ、南京事件の犠牲者数など両国の争点となっている論点を巡っては溝が埋まらず、両論併記になる見通しだ。1945年以降の現代史については公表を見送る方向となった。中国側が現在の中国政府への批判につながることを懸念したためとみられる。日本軍が37年に中国・南京を占領した際に起きた南京事件に関しては、中国側は政府の公式見解「犠牲者30万人」を譲らず、日本側も「数万人から20万人まで」など様々な説があると主張したため、両論併記とすることとした。日中戦争についても、日本側は「軍部の一部勢力に引きずられて戦線が拡大した」との見解を示したが、中国側は「計画的な中国への侵略」と結論づけ、かみ合わなかった。現代史に関する公表が見送られるのは、米英など連合国がいわゆる「A級戦犯」を裁いた東京裁判(46~48年)や、天皇陛下の中国訪問(92年)などの評価で意見が対立したためだ。89年の天安門事件なども、「中国側には触れられたくないテーマ」(関係者)だという事情があった。----------------日本側座長が北岡伸一では、いったいどんなトンデモを持ち出すか、大いに不安なところですが、南京事件の犠牲者数が、記事にあるように「数万人から20万人まで」と主張したのが事実であるなら、概ね妥当な主張と思います。私のホームページにも書きましたが、南京市街地で不法殺害が30万というのはほぼあり得ない数字と思われますので。日中戦争については、「軍部の一部勢力に引きずられて戦線が拡大した」というのは間違いとまでは言えませんが、正確とも言い難い。その「一部勢力」(日中戦争の拡大派)というのは、結局のところ陸軍の大勢を占めていたわけですから。しかし、その一方で、あまり計画性がなく、高級軍人それぞれの野心から行き当たりばっさたりに好き勝手なことをやっていたことは確かなので、「計画的」とは言い難い。まあ、本当に記事どおりの記述なのかどうかという問題もありますけれど。
2009.12.22
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たまたま、航空自衛隊の戦闘機選定問題についてのコメント応酬の中で、東シナ海のガス田問題がちょっと出てきたのですが(最初にふったのは私ですが)、どうも「国士様」連中の間には、東シナ海のガス田問題に関して中国側は全面的に悪い、日本側の主張は一片の非もなく正しい、という考え方が定着しているようです。果たしてそうなのでしょうか。国連海洋法条約は、原則的に各国の沿岸から200海里(約370km)を排他的経済水域と定めていますが、これだと日中両国の排他的経済水域が重複してしまうのです。そのため両国の境界線をどこに置くかが問題となるわけです。日本側は、「日中中間線」つまり日本と中国の中間までが日本の経済水域だと主張し、中国は沖縄トラフまでが中国の経済水域だと主張しています。(厳密に言うと、日本側の主張は、「日中中間線が境界線だ」というのではなく、「日中中間線を基に両者の境界線を定めるべき」つまり中間線はとりあえずの暫定ラインであるということのようです)↑wikipediaから引用しました。黒線が日本の主張、赤線は中国の主張です。問題がややこしいのは、この海域にガス田があることです。日中ともに少しでも資源のある海域を自国の経済水域にしたいわけです。他の条件をまったく知らずに、上記の図面だけを見ると、日本側は「公平に」日中の中間線を境界にしようとしているのに、中国はずっと日本側に食い込んだ境界線を主張している、なんて図々しい、と思えてしまいそうです。しかし、実際にはそうではありません。国連海洋法条約は、以下のように定めています。-------------------------第77条 大陸棚に対する沿岸国の権利1 沿岸国は、大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するため、大陸棚に対して主権的権利を行使する。2 1の権利は、治岸国が大陸棚を探査せず又はその天然資源を開発しない場合においても、当該沿岸国の明示の同意なしにそのような活動を行うことができないという意味において、排他的である。3 大陸棚に対する治岸国の権利は、実効的な若しくは名目上の先占又は明示の宣言に依存するものではない。4 この部に規定する天然資源は、海底及びその下の鉱物その他の非生物資源並びに定着性の種族に属する生物、すなわち、採捕に適した段階において海底若しくはその下で静止しており又は絶えず海底若しくはその下に接触していなければ動くことのできない生物から成る。-------------------------この文面に従えば、中国側の主張の方に理がある、ということになります。ただし、全面的に中国側の主張が正しいかというと、そうとも言えません。大陸棚の切れ目がどこかが問題となります。つまり、中国沿岸から続く大陸棚が、沖縄トラフで終わっているか、沖縄まで続いているかということです。沖縄まで大陸棚が続いていると考えれば、日本もまた、大陸棚に対する権利を持っているということになるのです。「大陸棚」は、国連海洋法条約の中での定義は、水深2500m以下の海域となっています。そして、沖縄トラフの水深は、最深部では2500mより深い。その限りでは沖縄トラフは大陸棚ではない。ただし、沖縄トラフで2500mより深い部分は限られています。だから日本側は、沖縄トラフは海溝ではなく「くぼみ」である(だから、大陸棚は沖縄まで続いている)、と主張しています。それに対して中国側はもちろん、沖縄トラフは海溝である(だから、そこで大陸棚は切れている)と主張しているわけです。果たしてどちらの言い分が正しいのかは、なんとも言えません。付け加えると、上記の規定にも関わらず、最近では2国間の経済水域の紛争において、国際司法裁判所が大陸棚に対する権利を全面的に認めることはないようです。一方、日本側の主張である「中間線」という規定は、実は国連海洋法条約のどこにも書いてありません。その限りでは、むしろ日本側の主張の方が理にかなっていない、とも言えるのです。ただし、ではまったく無根拠というと、そうでもありません。同じく国連海洋法条約はこう定めています。-------------------------第83条 向かい合っているか又は隣接している海岸を有する国の間における大陸棚の境界画定1 向かい合つているか又は隣接している海岸を有する国の間における大陸棚の境界画定は、衡平な解決を達成するために、国際司法裁判所規程第38条に規定する国際法に基づいて合意により行う。2 関係国は、合理的な期間内に合意に達することができない場合には、第15部に定める手続に付する。3 関係国は、1の合意に達するまでの間、理解及び協力の精神により、実際的な性質を有する暫定的な取極を締結するため及びそのような過渡的期間において最終的な合意への到達を危うくし又は妨げないためにあらゆる努力を払う。暫定的な取極は、最的な境界画定に影響を及ぼすものではない。4 関係国間において効力を有する合意がある場合には、大陸棚の境界画定に関する問題は、当該合意に従って解決する。-------------------------この規定に基づけば、日中間の境界線は、「衡平な解決」を計らなければなりません。平衡=中間線と考えれば、日中中間線という考え方もまた正しい。ただし、国際法上、必ずしも平衡=中間線ではないようです。つまり、小さな島と大陸の間で「中間線」じゃ不公平だろうということです。このような場合、海岸線の長さに比例して境界線を定めたりするようです。もっとも、沖縄には島がたくさんあるから、海岸線の長さの比較をしたら、中国の東シナ海沿岸と、案外いい勝負になるかも知れません。それでも、まあ半々ということはないでしょう。おそらくは、やっぱり沖縄の海岸線の方が短いだろうと思います。というわけで、結局のところ中国側の主張する「沖縄トラフ」、日本側の主張する「日中中間線」いずれも正しいとも言えるし、いずれも間違っているとも言えます。どちらか一方が全面的に正しい、ということはあり得ません。私も日本人なので、できることなら日中中間線で解決してくれたらいいなとは思いますが、現実にはそれはなかなか難しい。結局のところ、もし両者の境界線を確定させるとしたら、双方の主張の中間のどこかで、双方痛み分けの形で決着するしかありません。ところで、中国側はすでに東シナ海のガス田に櫓を組んでガスの採掘を始めています。そのことを指して「盗掘だ」と言う国士様がいるようですが、中国側は日本側の主張する境界線(日中中間線)より中国側でしか開発はおこなっていません。日中中間線の向こう側が中国の経済水域であることは何ら異論のない事実なのですから、そこでガスの採掘をおこなうことは盗掘でも何でもありません。沖縄トラフまでは自国の経済水域と主張はしつつも、日本の主張に対して配慮はしているのです。もちろん、そのガス田が日中中間線をまたがって日本側(日本の主張によれば)まで広がっている可能性はあります。しかし、実のところそんな例は世界的に見ていくらでもあるのです。そのような場合、両国間で話し合いがまとまればよし、まとまらなければ結局は「早い者勝ち」です。有名な例として、湾岸戦争の際、イラクがクウェートを侵略した理由として、両国間にまたがっている油田でクウェートがイラクの石油を「盗掘」したことをイラクは挙げていました。しかし、そのようなイラクの言い分に理解を示す国はなかったことは周知のとおりです。現実的な解決策としては、とりあえず境界線は棚上げにして、係争中の海域での資源開発は共同開発にするしかありません。そして、実際にそうなりました。去年、福田内閣のときに日中間で東シナ海ガス田の共同開発に合意したのです。この合意は、日中間で係争中の海域(中間線のこちら側)だけでなく、日本側も認める中国の経済水域のガス田でも共同開発をおこなうという、中国側がかなり譲歩した内容でした。ただし、中国側経済水域で共同開発が合意したのは1ヶ所だけですが。この合意は非常に喜ばしいことです。私は自民党は嫌いだけど、共同開発を合意した福田政権の業績は(他の政策はともかく、このことについては)大いに評価したい。ところが、日本でも中国でも、この合意は「国士様」連中に不評だったようです。きっと、彼らは中国と(中国の国士様は日本と)対立し続ける方がよくて、関係改善なんかしたくないのでしょう。で、国士様御用達の産経新聞が、「合意を破って中国側がガス田を採掘」なんて報じているようです。(Wikipediaの記事による)でも、よく読むと、それは日中中間線より中国側の海域で、かつ共同開発に合意していないガス田でのことです。そこで採掘をおこなうことを合意違反とは言えないように思うのですが・・・・・・・・。もう一つ、より根本的な話で、実はこの海域のガス田の埋蔵量はそれほどのものではないようです。採掘しても、とても採算がとれるものではないらしい。とすれば、あまり目くじらを立てても始まらないように思います。もちろん、この海域にはガス田だけではなく油田もあります。だけど、油田の方も、通説では埋蔵量1000億バーレル以上でイラクに匹敵する量などと言われ、私もついつい信じてしまいましたが、この記事を書くに当たって調べてみたら、どうもこの通説には明確な根拠がないようです。日本政府の公式見解では、推定埋蔵量は44億バーレル程度ということです。上記の数字は↓参照http://d.hatena.ne.jp/hagakurekakugo/20080507/p1追記補足 元石油資源開発取締役の猪間明俊氏によると-------------------------日本の国内法では鉱区境界から百メートル以上離さなければ井戸を掘ってはならないという法律がある。逆に言えば百メートル以上離せば、井戸を掘っても良いことになっている。ガス田や油田では地層の中で、ガスや石油の移動を防ぐことが出来ないから、チューチュー吸われても文句が言えない。国際的な共通ルールはないが、多くの国で同様の国内法が制定されている。 まして中間線から五キロも離れた、日本政府も中国側水域と認めてきた海域での開発を止めろと云うのは、国際的常識からして通用しない。経産省では今頃になって民間会社に試掘権を与えようと云っているが、試掘権は有効期限がたったの二年、延長が二回認められているが、トータル六年で失効する。試掘権が認められると六十日以内に作業する義務があり、同時に鉱区税納入の義務が生じる。中国との合意が出来ぬと井戸も掘れない状況で、鉱区税だけ払う馬鹿はいない。おまけに一つの経済性のある油ガス田を掘り当てる確率は、過去の統計から見て何十件に一件しかない。日本はデータを見せろと主張しているが、石油・ガスの探査には、膨大な資金を要し、しかも掘ってみなければ存否が分からないという大きなリスクを背負っている。そのようなリスクを背負って得た地下データは、企業にとって最高の企業機密であり、見返りもなく見せろと云うのは非常識も甚だしい。-------------------------とのことです。http://www5b.biglobe.ne.jp/~korea-su/korea-su/jkorea/sonota/0507.html
2009.06.20
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さて、昨日の日記に第二次世界大戦の中国の死者を1000万から2000万人と書きました。推計の幅がかなり大きいのですが、いずれにしても膨大な数の犠牲者であることは間違いありません。ところで、中国の発表する第二次大戦の犠牲者数は、時代を経るに従って次第に数が多くなってきているようです。そのことをもって、「犠牲者数を水増しした」とか「信用できない」といった意見があるようです。たとえばhttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q128896407こういう意見です。こういうことを書く人は、きっと戦争が終われば直ちに被害の全貌が確定できるものだとでも思っているのでしょう。実際には、何年にも渡る全面戦争の被害の全貌は、そんなに簡単に把握しきれるものではないのです。これは、戦争に限ったことではなく、大規模な災害でも同様のことが言えるでしょう。地震などでも、最初に報じられる被害はごく小さく、それが次第に膨らんでいくというのはよくあることです。たとえば、太平洋戦争の日本の死者は、現在では310万人というのが一応の定説となっています。しかし、敗戦から1ヶ月後の1945年9月、東久邇内閣が発表した最初の数字では、陸海軍の戦没者数50万7千人、一般国民24万1千人※の合計74万8千人だったのです。そこから見れば、現在の定説は、実に4倍にも膨れ上がっていることになりますが、そのことをもって「日本は戦争の犠牲者を水増しした」とでも言うのでしょうか。※一般国民24万1千人という数字が抜けており、陸海軍の戦没者数50万7千人しか記述していなかったため、訂正しました。ちなみに、日本でも死者310万人というのはもっとも広く認められている定説ではありますが、他にもいくつかの説があり、私の知る限りでは、約200万人というのがもっとも少ない説のようです。また、これも昨日書いたように、各戦場ごとの犠牲者数を見ていくと、現在でも意見が分かれている例が見られます。たとえば沖縄戦の犠牲者数は公式には約18万人ですが、実際にはそれよりずっと多かったのではないかと言われていますし、シベリア抑留の犠牲者に至っては、厚生省(現厚労省)の認めている公式発表数値(約6万人)に対して、実際にはその6倍、30万人以上の死者が出たのではないか、と言われています。戦後63年を経た(シベリア抑留が終わってからは約50年ですが)現在でもなお、それだけ意見が分かれるのです。このように、戦争の犠牲者数を確定するのは非常に困難なことであり、数字が揺れ動く(たいていの場合、数字が大きくなる方向に揺れ動く)のは当たり前のことなのです。それを「水増し」などというのはあまりに馬鹿馬鹿しい意見と言うしかありません。
2008.08.18
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・・・・・・・実は、オリンピックにはそれほど興味のある方ではありません。過去の他のオリンピックでもそうでしたし、北京オリンピックも同様です。部分的には興味のある種目もあります。マラソン(自分がランニングをやっているから)、サッカー、野球あたりでしょうか。今回のオリンピックに関しては、中国を巡る諸問題に絡めて、様々な批判があります。批判の具体的な中身については、同意できる部分もありますが、それをオリンピック批判の材料にするのはどうかなと思います。それは、結局のところスポーツの祭典を政治に利用することに他なりません。かつて1980年モスクワオリンピックを、ソ連のアフガニスタン侵攻にからめて西側諸国の多くがボイコットしました。確かにソ連のアフガニスタン侵攻は非難されるべき行為でした。しかし、オリンピックボイコットという行動は、1984年のモスクワオリンピックを東側諸国のほとんどがボイコットし返すという結果になって跳ね返ってきただけです。ところで、「諸君」という極右系の雑誌があります。その最新号(2008年9月号)は総力特集 北京五輪 虚飾の祭典-北京五輪を観てはならない10の理由だそうです。http://www.bunshun.co.jp/mag/shokun/この雑誌を出版しているのは言わずと知れた文藝春秋ですが、その同じ会社が「Number」というスポーツ雑誌も出しています。その最新号(709・710号)はオリンピック直前特集 ニッポン最強宣言だそうです。オリンピック(より正確には日本代表)のヨイショ記事オンパレードです。「北京五輪テレビスケジュール&見所ガイド」という記事もあるようです。http://www.bunshun.co.jp/mag/number/index.htm同じ出版社が、片方の雑誌では北京オリンピックを「見てはならぬ」と言い、片方の雑誌では「見よう」という。さて、読者はどちらに従えば良いんでしょうか。
2008.08.08
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