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2024.06.06
合計特殊出生率1.20
(3)
テーマ:
ニュース
カテゴリ:
政治
出生率、過去最低1.20 8年連続低下、東京は初の1割れ 人口減少幅は最大・厚労省
厚労省の担当者は「経済的な不安定さ、仕事と子育ての両立の難しさなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っている」と背景を分析。コロナ禍の影響も少なからずあったとして、「少子化の進行は危機的な状況にある」との認識を示した。
都道府県別の出生率は沖縄の1.60が最も高く、宮崎と長崎が1.49で続いた。最低は東京で、次いで北海道1.06、宮城1.07だった。~
晩婚・晩産化の傾向は変わらず、平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性が29.7歳でいずれも前年と同じだった。第1子出生時の母親の平均年齢は31.0歳と2年ぶりに上昇した。
婚姻数は47万4717組で、前年比3万213組減少。一方、離婚数は18万3808組で、同4709組増加した。~
---
合計特殊出生率は2005年に1.26を記録して以降は上昇に転じ、2015年には1.45まで回復した、かのように見えました。しかし、実際のところは、これは少なからず見せかけの部分がありました。出生数自体は最低を記録した翌年の2006年に微増した以外は、その後も一貫して減り続けていたからです。合計特殊出生率は、全人口あるいは全女性に対する出生率ではなく、15~45歳の女性(おおむね出産可能な人)に対する出生率を現すものなので、高齢化が進んで45歳を超える人が増えれば、分母が減ることによって、出生数が減っても合計特殊出生率は上昇するわけです。
実態はそういうことであったわけですが、2015年以降はそのマジックもなくなり、つまり分母が下げ止まり、あるいは分母の減少以上に出生数が減っていることで、合計特殊出生率の減少もまた急激に進んでいます。
まことに残念ながら、この傾向が今後すぐに変わるかというと、そうは考えられません。引用記事には「コロナ禍の影響も少なからずあった」とありますが、そりゃ影響ゼロではないでしょうけど、出生数の減、合計特殊出生率の低下はコロナ禍以前からの傾向なので、その影響は限定的ではないでしょうか。
以前から書いているように、出生率の低下は世界的な傾向であり、日本だけ、どころか先進国だけの問題ですらありません。タイの1.33をはじめとして、中進国とされる国々でも急激に低下してきています。「まだ」出生率が高い国々(たとえばアフリカ諸国)を含めても、この間に合計特殊出生率が上昇した、という国はほとんどなく、ほとんどの国が低下の一途をたどっています。
先進国の中では唯一例外的に出生率が高いとされてきた米国も、2007年の2.12から2021年1.67へと急激に低下してきていますが、
その理由は明白
です。人種・民族別の出生率を見比べれば分かるように、米国の合計特殊出生率が高かったのは、主に流入してくるヒスパニック系の出生率が高かったからですが、それがまさに2015年以降右肩下がりで急低下しているためです。もちろん、この間他の人種・民族でも出生率は一貫して低下していますが、ヒスパニック系がもっとも出生率の高いだけに、その動向の影響は大きいのです。
このことは、別の言い方をすれば、「まだ」出生率の高い外国人移民を導入しても、2世以降の出生率は急低下することを示しています。日本でも、経験則的に言って、子だくさんのフィリピン人、ブラジル人はいても、その2世で子だくさん、という例は聞いたことがありません。
そんな中で、先進国の中では比較的(あくまでも比較的でしかありませんが)合計特殊出生率が高いのが、フィンランドを除く北欧諸国やフランスなどです。直近の数年間では出生率の低下が見られるものの、数十年単位の長いスパンで見れば、上がったり下がったりを繰り返しつつもつも、低下一直線、という状態にはなっていません。
一部の人達は、北欧の出生率が高いのは移民が多いからだ、と言います。確かに統計を見ると移民と非移民の出生率では移民の方が高いのですが、非移民の出生率も、少なくとも日本よりはかなり高いのです。
フランスの非移民と移民の出生率
移民の方が大幅に出生率は高いものの、非移民の合計特殊出生率だって2017年に1.77なので、日本よりはずっと高い
ヨーロッパ各国の自国民と移民・外国籍の出生率
統計が古いものの、日本で合計特殊出生率1.26となった2005年にスウェーデンの自国民の合計特殊出生率は1.72
日本の場合は、婚外子はいますが、出生率全体の動向を左右するほどではなく、婚姻数の減少は即出生数の減少に直結します。ということは、婚姻数を増やす(せめて減らさない)ために選択的夫婦別姓制を導入する、婚外子への差別をなくし、結婚はしたくないが子どもはほしい、という人の出産を増やす、といったことも考えられます。
もちろん、それは劇的な効果なんかありません。小さな効果しかない。でも、どんな策だって、この問題を一発で解決できる魔法のような手段などない以上は、そういった小さな手段を積み重ねていくしかないのが現実です。それに、さほどお金じゃかからない策でもあります。効果は小さくともコストも小さいので、費用対効果はさほど悪いものではなさそうです。しかし、それが実現しそうな気配はありません。
もちろん、それ以上に抜本的な対策も出てきそうにありません。このまま、根本的な解決策を見いだせないまま、衰退の道を歩んでいくのかな、という気がします。ただし、必ずしも日本だけに限った話ではなく、大半の国がおなじ道を歩むことになりそうですが。
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最終更新日 2024.06.07 07:05:18
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