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今回はもっとさかのぼってみました。
僕がまだ侍だった頃の話・・・
時代はそう・・・分からないがとにかく刀を振り回して生きていた・・・
「主人、飯はまだか?」
〔へい、今お持ちします〕
俺が世話になっている宿だ。
〔おまちどうさまです涼さま、今日はいつになく早くにお目覚めですね、お仕事ですか?〕
「いや、仕事ではない・・・ただ今日は心が騒ぎ落ち着かん・・・」
〔そうですか、お侍さまですもの、そんな日もありましょう〕
「俺は侍と言えるのか・・・」
〔はい、刀をさしていらっしゃる。でも、涼さまほどの腕の持ったお方がどうして腰をすえず、こんなぼろ屋にいらっしゃるのか不思議です〕
人切り、始末屋、用心棒・・・金で雇われる汚れた侍だった。
「理由などない・・・だが、しいて言えば‘自由’だからだ」
〔じゆう?何ですそれは?南蛮の言葉ですか?〕
「いや、心の赴くまま好き勝手に生きるということだ」
〔・・・私にはとても・・・料理を作るだけしか・・・どうぞお熱いうちに召し上がってください〕
時々に思う・・・こうして町の者を見ていると自分は何のために存在しているのかと・・・思えば‘生きる’意味をさがしていたのかもしれない。
そして、奴が現れた。
〈やれやれ疲れたわい〉
おもむろに目の前に座る見慣れない老婆・・・
「他に席は空いておろう、すまぬが独りですましたい」
〈・・・良い仕事の話じゃ〉
「仕事?俺の仕事を知っているのか?」
〈名前は涼、金で人を殺める者じゃろ?〉
「・・・白昼堂々とやっているわけではない、どこで聞いた?」
〈お前さんに殺められた者に〉
「・・・婆さん、ふざけているのか?それとも恨みか?その歳まで生きたんだ、ここで死ぬのは嫌だろう?さっさと消えな」
〈・・・切ってほしい者がおる〉
「敵討ちか?今日は気が向かぬ、他をあたってくれ」
〈これでもかい?〉
そう言うと同時に目の前に小判の束を三つ置いた。
「・・・」
〈一生、何もせず暮らせるだけはあるじゃろ?〉
「あんた何者だ?」
〈お前さんの仕事には関係なかろう〉
「・・・これでいったい何人切らせるつもりだ」
〈一人分じゃよ〉
「話を聞こう」
単純な話だった。ただ、言われた場所に行き、そいつを切るだけの事。
「そいつは強いのか」
〈相手がどんな者であろうと自信はあるじゃろ?引き受けてくださるか?〉
「よかろう」
〈じゃあ半分は前金で、すぐに行っておくれ〉
「承知した」
かつてこんな簡単に依頼を受けたことはなかった・・・男、丘の上、両手首両足首に黒い数珠・・・
「何だこれは・・・」
丘は戦の後らしく、無数に鎧姿の者たちの亡骸で覆われていた。
「この血の臭い・・・さほど時が経っていないな・・・」
この時代、そう珍しい光景では無かったが、決して良い物ではない・・・俺は辺りを見渡し男を捜した。
「手首、手足に黒い数珠・・・」
男は背を向け、亡骸たちの中程に居た。亡骸の中を歩き少しずつ近付く・・・
はっきりと姿が確認できるほど近付くと・・・男はやせ細った体で、青く血管が浮き出ているほど肌が白く、不気味で・・・亡骸に向かって何かをしていた。
「物はぎか・・・」
さらに近付くため足を進め下を見ると、亡骸たちの異変に気が付いた。
「どういうことだ・・・」
男の周りの亡骸たちは皆、右目をえぐり取られていた・・・
「おい、男!何をしている!」
〈・・・〉
男は振り向くことなく亡骸に手をあげる・・・俺は再度、声をかけた。
「きさま!仏に何をしてるんだ!」
男は振り向くことはなかったが、ようよく答えた。
〈何って旦那、見てのとおり目玉を食っておるんで〉
「仏に何てことを・・・きさま、もののけの類か?」
〈言われるとおり人ではありませぬが、ただ死人の目玉を食っているだけではござらんか、死人を作るあなたほど罪なことをしているとは思いませぬ・・・〉
「だまれ!どのみちきさまはここで俺が切る!」
〈この私を切る?・・・おやめなされ、呪いをかけますぞ〉
「きさまのような奴の脅しや命乞いを聞き入れると思うか」
俺は刀を抜いた。
〈必ずや後悔しますぞ・・・〉
俺はかまわずに刀を男の首に押し当てた。
「切る前に一つ聞くが、なぜ目なのだ?」
〈・・・人が死ぬ時、最後に死ぬのは目玉・・・死んでも目玉は生きて見ておるのです、今ある光景ではなく悔いを残した光景を見ている・・・くくく、だから目玉は格別旨い〉
「その話が誠だとしても許せぬ、きさまに行く場所は無いかも知れぬが御免!」
俺は男の首をはねた。
「!・・・目が開かぬ・・・」
目に突然、激痛が走った。
〈ほら、忠告したのに〉
「・・・首をはねたはず・・・俺の目をどうした!」
俺は痛みを堪え目を開けた。
「何だ、どうしたんだ俺の目は・・・」
目の前にした光景が立っていられないほど捻れゆがんでいた。俺はたまらずまた目を閉じた。
〈くくく、死ぬ前に教えてさしあげよう、右目を閉じたままゆっくり左目を開けてみなされ〉
俺は言われたとおりにした。すると、ぼやけた感じはあるが、ちゃんと見えた。やはり男の首は転がり、土に顔を埋めていた。男はそのままの状態で話す・・・
〈私を殺した呪いだ、あなたの右目はもうあなたのものではない〉
「きさまが食ったのか?いや、目はまだちゃんとある・・・」
〈その右目は私がここで食った目玉、さて何が見える?両目を開けると眩むだけなので同じようにして右目だけで見てみなさい・・・〉
また言われたとおりにする。
「どこだここは?目の前にいる女と子供が・・・」
訳が分からなく、俺は目を閉じた。そして、また左目だけを開けた。
「おい、どういうことだ!」
〈・・・わ、私は死ぬよ、あなたに殺され死ぬよ・・・死にたくない・・・〉
「おい!俺はどうなるんだ!」
〈婆・・・〉
男は息を引き取った・・・
「あの婆さん!・・・」
俺は右目を閉じたまま大急ぎで宿に向かった。
涼は自分の目を取り戻すことができるのか!その呪いを解く方法とは!
つづく・・・つもりはなし・・・
いや~お休みが終わっちゃう(T_T)
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