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2006年07月09日
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テーマ: 欠陥建築(1)
カテゴリ: その他
 昨今、住宅やビルの欠陥が話題に登ることが多くなっています。最近、欠陥建築が増えている理由があります。一つは、あまりにも過酷なコストダウンの影響です。
 住宅で言えば、昔は家は大工さんが建てるもので、職人のこだわりが込められていましたから手抜きとは無縁の世界でした。あの家はあの大工が建てたという事実はずっと残りますから、大工さんにとっては一軒一軒が真剣勝負でした。法律でこう決められているからとかよりは、本当にそこに建てる家に必要であれば、過剰と思えるほどに頑丈に作ったりなど、技術的な見極めができるプロの仕事でした。それでいて、余計な宣伝費用などをかけない分リーズナブルな価格でサービスを提供することができました。地域の人の繋がりの中で建築という仕事を受け持つ職人として、安定した地位を得ていればこそのことです。
 バブル崩壊後からでしょうか、建築のコストが無茶な削減を求められるようになります。住宅建築も中小建設会社の参入で昔からの大工さんは駆逐もしくは懐柔され、丁寧な仕事が美徳ではなくなりました。ビル建設でも大手建設会社のピンはね丸投げ行為が横行し、質は限りなく下がり続けることになります。一度下がった質は元に戻すのはとても大変です。
 最低限の品質は法律で定められているはずと思う人は多いでしょう。でも実際には、建物の耐震性などの重要な部分は現場での検査は難しく、事実上書類さえ整っていれば野放しなのです。例えば鉄筋の量はコンクリートを打設する前に行政が検査をすることはありません。柱の1本か2本を正規の量の鉄筋を入れて写真をとり、残りの柱の鉄筋を減らしても誰もわからないのが現状です。コンクリートの質も大きな問題です。普通、コンクリートは打設前に水分とセメントとの比率を試験して最良な状態を選んで調合してから打設するのですが、多くの建設現場では調合が終わってから水を大量にコンクリートに加えシャバシャバにしてから打設するという行為が常識となっています。このほうが型枠の隅々までコンクリートが回るからなのですが、当然、強度は遥かに落ちてしまいます。条件によりますが構造物として成り立たないくらい薄められている場合も多いようです。
 最大の問題は、こういった手抜き建築の問題は建築に携わる人間であれば絶対に知らないはずは無く、そのくらい常識くらいに思い続けて流してきてしまった事です。最近の世の中の全ての建物は、まずまともな建物などないといっても良いでしょう。そう、欠陥でない建物を探す方が難しいのです。あなたの住んでいる家、あなたの働いているビル、多かれ少なかれ欠陥を秘めています。工場で品質管理されて作られる工場製品と違い、現場での一品制作である建築物はけっきょく完璧を求めるのは無理なのです。
 現場を知らない設計者の絵空事を無理やり実現するために、見た目だけの使い物にならない建物がつくられてしまう事も多々あります。建築家の中でも特に「意匠」と称される人たちの中には、物理的法則すらまともに理解できない人も時々いて、建物全体をダメにしてしまうケースすらあります。どこからも清掃できない窓ガラス、取替えできない高天井の照明ランプなど、まったく小学生なみのお間抜けな事態が実際に頻発しているのです。建築士の試験制度は考え直される必要があるでしょう。合格した人にはたとえ1ヶ月でもいいですから現場での実際の工事を体験することは必要だと思っています。図面上に絵空事を書くのではなく、自分だったらこういう手順で施工するとイメージできるぐらいのスキルは最低限必要だと思います。
 昔、馬鹿な設計者が川の中の橋の橋脚をコンクリートで補強する工事の設計をしました。普通に考えれば、川の流れをバイパスで逃がし、水が引いてからコンクリートを打設するのが当たり前です。ところがその設計者は、橋脚の周りにビニールシートを巡らせて水をくみ出し、コンクリートを打設するというとんでもない設計をしました。ビニールシートで完全な水密は得られませんし、水圧というものがあるので構造強度の無いビニールシートでは支えきれるはずもありません。あまりにも知識が無さ過ぎます。ですが、こんな人でも多くの人々が命を預ける建物を設計してよいことになっているのです。
 今後、建設というものを私たち多くの庶民にとってより良いものにしていくかはとても難しい課題です。どうしても業界や行政の都合のいいようにしかならない場合も多いと思います。とりあえずの最良の方法は、われわれ庶民が賢くなること、これにつきるようです。





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最終更新日  2006年07月09日 17時34分33秒
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