2007年11月22日
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カテゴリ: ローン
 今は利上げを見送っている日銀だが、今の超低金利がいつまでも続くとは思えない。いずれ、金利は上昇するだろう。

 預貯金で余裕資金を運用している人には朗報の金利上昇だが、お金を借りている人にとってはあまりうれしい話ではない。特に住宅ローンのように、大きな借入をしている人にとっては、なおのことだ。

 ところで、いよいよ公定歩合をはじめとする政策金利の引き上げが近いということになると、にわかに色めき立つのがマンション販売業者の連中。こんなセールストークで近づいてくる。

 「金利が上がる前に、今の低いローンで持ち家を手に入れませんか?」。
金利引き上げ前の駆け込み需要を狙って、マンション業者は何とか家を買わせようと必死になる。一方、買う側も「金利が上がる前の今なら、何とか家賃並みの支払いで夢の持ち家が買える」などと考える。確かにセールスしやすい。

 でも、買う側は十分に注意した方が良い。本当に今、駆け込みでマンションを買うのが得策なのかどうか。特に、業界用語でいう「青田売り」物件に手を出す場合は、慎重に状況を見極める必要がある。

 青田売り物件とは、マンションが完成する前に購入の契約を結ぶ方法のこと。ところが、大規模マンション開発物件ともなると、完成までに1年半とか2年という期間がかかる。青田売りで購入契約を結んだ時に、当然、将来の住宅ローン返済計画について、マンション販売業者の担当者と打ち合わせをするが、実際に融資が実行されるのは、マンションの引き渡しが終わってからだ。つまり、1年半から2年のタイムラグがあるということだ。

 このタイムラグが、ローン負担を大きく変える恐れがある。たとえば2005年7月時点のフラット35に適用されている平均金利は2.630%。これが、2年後の2007年9月時点では、3.125%まで上昇した。契約を結んだ時点の住宅ローン金利は2.630%だったのに、物件の引き渡しが終わり、いよいよ住宅ローンを返済していかなければという時になって、0.5%も金利水準が上昇していたら、当然、返済計画は大幅な修正を余儀なくされてしまう。

 そればかりではない。恐らく、青田売りのマンションを購入する場合、多くの人は契約を締結した時点で、物件価格の10%程度の内金を入れるはずだ。仮に4000万円の物件であれば400万円。決して少ない額ではない。



 前者であれば、間違いなく月々の返済負担は重くなる。また後者であれば、マンションの売買契約をキャンセルすることになるが、その際は、最初に払い込んだ内金が返済されなくなる場合もある。そうなったら、さんざ大騒ぎして家を買う決心をしたにも関わらず、結局は内金だけをマンション業者に持っていかれてしまうだけという、悲惨な結果が待っている。

 少なくとも、昨今のように金利上昇圧力が強まりそうな段階では、大きな額のローンは組まない方が無難だろう。

(金融ジャーナリスト:鈴木雅光)





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最終更新日  2007年11月22日 09時07分33秒
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