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2013年03月24日
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カテゴリ: 史記
 一芸があれば身を立てる事ができるのが今の世の中と言えるでしょうか?

早稲田大学では一芸で入学もかなうということを聞いたことがあります。

馬鹿とハサミは使いようということわざがあります。

このお話では、取るに足りない卑しくてくだらない人間と呼ばれた人たち(こそどろや声色や)が一芸を持って主君の危難を救ったのです。




 今は昔、秦・楚・斉・燕・韓・魏・趙と列強がひしめき合い抗争を繰り返していた頃のお話です。

斉の王族にるいする一族に靖郭君(せいかくくん)田嬰(でんえい)というものがあり薛(せつ)の地に封ぜられていました。

孟嘗君(もうしょうくん)田 文(でんぶん)は田嬰の子として生まれたものの子供は40人もいて、当時忌み嫌われていた五月五日生まれだった。

五月五日生まれは父母に仇するという言い伝えと身分お低い妾の子だったこともあいまって田嬰ははじめはあまりいい顔をしなかった。

しかしながら田 文(でんぶん)には優れた才能があり、やがて父の跡を継いで薛(せつ)の当主になると瞬く間に善政をしいて国を豊かにしていった。




食客たちは言わずと知れた天下の傑物ぞろいであったが、なかにはあとで活躍することになる狗盗(くとう=こそどろ)名人や声色名人も混じっていたのである。




 孟嘗君の人望が上がり名声が高まると、秦の昭襄(しょうじょう)王が自国の宰相になってくれと言ってきた。

孟嘗君は周囲の反対もあり行き渋ったが斉のためになると思い秦に行くことにしたのであった。

よりすぐった食客たちとともに秦に訪れ、高価な狐白裘(こはくきゅう=狐の白い脇毛の毛皮)を王に献上してお目通りした。

昭襄王は約束通りに宰相に任じようとしたが、「斉の王族の血族を宰相にするの秦の不為」という家臣の反対にあい約束は一時保留となった。

とは言うもののこのまま孟嘗君を国に返せば、秦に仇なすとして暗殺計画が持ち上がっていた。


不穏な状況を感じた孟嘗君は一計を案じ昭襄王の寵愛する姫君にとりいって逃がしてもらうようお願いした。

「とりなしてもいいけどお礼は王に献上した狐白裘(こはくきゅう)でなきゃいや」という無理難題であった。



「わたくしにおまかせください」といって秦王の王宮に忍び込んでまんまと献上した狐白裘を見事に盗み出してきたのである。

お姫様はというと、そうとはつゆしらず大喜びで秦王を口説き落として孟嘗君の帰国を承諾させたのであった。


 孟嘗君の一行は取るものとりあえず大急ぎで秦の都咸陽(かんよう)を抜け出し国境の函谷関(かんこくかん)へ向かったのである。

昭襄王は帰国を許したものの後悔の念でいたたまれなくなり、時をおかず追手の兵をさし向けたのであった。


 孟嘗君の一行が函谷関に着いたのは夜明け前だった。




開くのを待ってグズグズしていれば追手に追いつかれたしまう。

一行の顔色が悪くなったところで食客の一人の声色名人がのこのことしゃしゃり出てきていった。


「あっしにまかせてください」といって暗闇に消えていった。


ほどなくしてまだ夜明けまではかなりの時間があるというのに見事な1番鶏の鳴き声。

それに誘われて他の鶏たちも一斉に鳴きはじめたのであった。

寝ぼけまなこの門番たちも訝しげに思いながらも門を開けると、一行はここぞとばかりに門を抜け出し馬に一鞭当てると一目散にインディ・ジョーンズばりの疾さで逃げたしたのであった。

昭襄王の追手が函谷関に到着したのはほんの少し後だったということです。メデタシメデタシ。









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最終更新日  2013年03月24日 22時44分22秒
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