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2009年11月7日
新型インフルエンザの流行でワクチンが注目されている影響で、季節性インフルエンザのワクチン接種についても、予約を求める人が急増している。と ころが今年は、新型に回すために季節性ワクチンの生産量が抑えられて不足しており、予約人数を減らす医療機関が続出。希望者らが予約を断られ、接種できる 医療機関を探し回る事態となっている。
「家の周りの医療機関はすべて予約を締め切っていて、『100人待ち』と言われた病院もあった」
長女(8つ)に軽いぜんそくがあり、季節性ワクチンを接種するため病院を探し回った名古屋市守山区の主婦(38)は振り返る。10月初め、母親仲間と手分けして医療機関7~8カ所を当たったが、「かかりつけの人だけ」などと接種を断られた。
10月下旬にやっと、実家のある愛知県春日井市の診療所で2回の接種ができた。今後、順次始まる新型ワクチンの接種もしたいが、「予約に苦労するのでは」と心配する。
国は今年、新型ワクチンの生産量を優先確保するため、季節性ワクチンの生産量を昨年の約2700万人分(2回接種)の8割に減らした。ワクチン接 種が本格化するのは例年11月中旬ごろだが、今年は新型が流行したため、予約の出足が早かった。新型接種の見通しが立たない中、「とりあえず季節性を打っ ておこう」という人も多いとみられる。
名古屋市中区の内科診療所では、卸業者から「例年の7割5分しか卸せない」と言われ、毎年接種に来る人以外の予約は断ることにした。経営する医師(50)は「心苦しいが、初めて来る方より、いつも利用している人を優先したい」と明かす。
国内で今季、インフルエンザの患者の98%以上は新型に感染している。季節性ワクチンは、新型に対しては効果がないという説が一般的だが、ワクチ ンに詳しい国立病院機構三重病院の庵原俊昭院長によると、最近「季節性ワクチンを打った人の一部は新型についても抗体価が上がり、効果があるかもしれな い」という論文が海外で発表されたという。
例年のように1~2月に季節性が流行する可能性もある。庵原院長は「ワクチンだけが予防策ではないし、効果には限界もある。感染後に早く薬を飲ん だり、日ごろから栄養や睡眠を取っておけば、症状を軽く済ませることもできる。接種できないからといって、深刻に考え過ぎないで」と話している。