島流れ者 - 悪意なき本音

島流れ者 - 悪意なき本音

2004.01.14
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カテゴリ: 外側から見た母国
最近二つの映画を見た。それは、‘Last Samurai’と、‘Lost In Translation’。この二つの映画はどちらも日本文化を取り上げたものだが、それぞれ全く正反対の日本を描写していてとても興味深いと思った。

まず‘Last..’のほうは、忘れられていた古きよき日本の風習を武士道を通して見ることが出来る。トム・クルーズが主役であるために多分まだ上映されていないところでも映画情報ですでにどんな内容かご存知の向きも多いだろうが、これはアメリカ市民戦争で活躍した彼が、銃を使った戦闘訓練のトレイナーとして日本の新政府に雇われる。

この映画は実はニュージーランドで撮影されたようで、日本人なら多分それが分かる場面が映画の初めのほうに出てくる。それが何であるかは見てのお楽しみとして、それ以外結構上手く幕末~明治初期の田舎の雰囲気を出している。

この映画の見所は、武士道を通じて忠誠、威厳、鍛錬、などの日本文化の基礎となるものを、別の角度、アメリカ人捕虜のトム・クルーズの目から見て見事に美しく描き出している点だろう。

一方‘Lost In Translation’は、‘Last..’とは全く正反対の、現代日本をやや誇張して面白おかしく描写している。この映画はすでに多くの方が見ているだろうから詳しい説明を省くが、主役であるビル・マーレイと、スカーレット・ジョーハンソンは近代化され、ごみごみしてやかましく、品のない大都会東京で孤独なひと時を送っている寂しい外国人。

この映画では、二つの日本文化をくっきりと対照的に現す部分があって、これもまた興味深い。小旅行に行ったスカーレットは東京とは全く異なった、古い伝統的な京都で静寂、奥深い文化を体験する。その場面をのぞいては、西洋化に日本独特のアレンジをくわえた現代日本文化に焦点を絞り、外国から見た日本がにくいほどに上手く描写されている。

‘Last Samurai’が上映されてすぐに見に行ったのは12月の初旬だったが、そのときは日本の美しい文化を思い出し、日本人であることの誇りを再確認しただけだったが、‘Lost In Translation’を見た後は、日本文化の美しさはどこに行ってしまったんだろう?と自分自身に疑問を投げ続けていた。

去年の三月下旬に日本に約六年ぶりに帰国したんだが、この時は日本へ始めていくジャックを連れて行った。彼から見た私の故郷である愛知県の郊外は、お世辞にも素敵とはいえない、つまらない町に映ったようだった。私が帰国する前に散々、‘田舎、田舎’と言っていたのでこのカリフォルニアの内陸の田舎のような、あまり家がなくて、開発されていない自然の豊かなものを想像していたらしい。が、実際には、中途半端に開発、しかもセンスのない開発がされた、どこに行っても看板、ネオンサインのぎらぎらした品のなく、けったいな、どこにでもある郊外の町であった。それを見た彼は、“ぜんぜん田舎じゃないよ、これ。本当の‘田舎’を見たかったらずーっと山奥に行かないとないんだね。”

これは日本に行く前から十分予測していた自然を愛する彼の反応であったため、あらかじめ私のホームタウンでは帰国直後と出発前の2日間ずつのみで、ほかは京都に5日、山中湖に3日、そのほかに私の友達の住む町に1日ずつと彼を飽きさせないようにスケジュールを組んでいた。それでも彼は、


日本に住んでいたときは自分の住んでいる環境が品なく開拓されているなんて全く思ったこともなかったが、ここカリフォルニアに住むようになってからそれが良く分かるようになった。まず大きく違うのは、このカリフォルニアでは、ロスアンジェルスのような都会は別として、一般的に、商業用の看板やポスターなどを規制している郡、市が多い。そのため、日本で見る品のないぎらぎらしたネオンなどを見ることはあまりない。次に、騒音に対する規制があるために、町に行ってもがんがんあちこちから流れてくる騒音はよほどフェスティバルをしているときでない限り耳にすることはない。それとまた、どこに行ってもそんなにごみごみしていない。(これはアメリカ全人口の半分が、カリフォルニアと同じサイズの日本に住んでいるというほど人口密度であるから仕方がないが)また、何が一番違うかって、都市開発する上で、日本のように町全体を全部コンクリートで固めて、容赦なく自然を破壊してしまうということはない。

ここでは、開拓された街でも、(大都会は除き)必ず自然を残しながら、人間が住むのに便利で、しかも心地のよい環境を視点においた都市計画がされたところが多い。例えば以前に住んでいた隣街サンタバーバラでは、街の中心街は、歩行者に優しく、道が狭く設計され、自転車専用のレーンがある一方通行が殆ど。そのため車はゆっくり走り、人が安心して散歩したり、通勤で歩いたりすることが出来る。こういったことは一見なんでもないようなことだが、実は住みやすい環境にはなくてはならないことだ。

それと、どこのカリフォルニアの海岸沿いの町は、自然を全部破壊してしまわずに開発されているために、街をちょっと離れると、いろんな自然動物を見ることが出来る。例えばリスは良く見る小動物のひとつだし、郊外にあるうちの庭にすら、ハミングバードや、ブルージェイなどの野鳥が沢山集まってきて、時には煩くて眠れないほどだ。日本でこうした自然動物を見ることが出来るのは、かなり田舎に行かないと見ることが出来ないんじゃないだろうか?

ちょっと話がまとまらないが、とにかく、日本の素晴らしい自然と文化をこの二つの映画を通してしみじみと思い出すと共に、私たちの若い世代が、これらの失われた日本文化保存の大切さに早く気づいて復活させることが必至であるとつくづく考えさせられた。





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最終更新日  2004.10.13 04:00:51
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