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色艶が良くなったリオ
つまみ食いするリオ
私が「巣上げ」なる言葉を知ったのは、おそらく十数年前のネット上のはずで(サイト開設の初期に作った文鳥用語集にはないし、サイト内での文章で使用していない)、そういった言い回しがあるのかと感心した記憶が、かすかに残っている。
精査したわけではないが、古い飼育書にこの言葉は無いと思う。一方で、頻繁に使われる飼育用語に「巣引き」があり、辞書にも載っている。念のため、抜き出しておくと「飼い鳥が巣をつくり、ひなを育てて繁殖すること」(『大辞泉』)、「飼い鳥が繁殖すること。また,繁殖させること」(『大辞林』)だ。この言葉がいつごろから使用されているのかわからないが、親鳥たちが抱卵育雛のために、巣に引き付けられた状態になるので、「巣引き」と表現したものと思われる。
繁殖のプロのことを、昔は「巣引き屋」と呼んでおり(高橋達志郎著『小鳥のお医者』など)、以前批判した鷲尾氏の飼育本『たのしいブンチョウの飼い方ふやしかた』にも、「巣引き」という言葉が繰り返し登場しており、1980年代くらいまでの繁殖家の間では、ごくありふれた専門用語だったことがわかる。では、日常的に「巣引き」を使用する人が、その「巣引き」行為の中の一事象を抜き出して、「巣上げ」と呼ぶだろうか?
むしろ、「巣引き」という専門用語が使用されなくなってから、「巣引き」という専門用語を意識しない(知らない)人が、ヒナを引き継ぐ行為に特別な価値を感じて、造語した可能性が高いような気がする。そもそも、 「巣引き」をしていたような昔のプロな人たち(=「鳥キチ」?)
の感覚では、手乗りにすること自体が邪道で、それが始まったのは、生産性の向上のため、親鳥からヒナを取り上げたかったからに過ぎない(親には速やかに次の産卵を始めさせたい)。従って、元来は、巣はそのままか多少掃除するくらいで(孵化10日程度なら、普通、巣内はさほど汚れない)、鶏の卵を回収するのと同じ感覚で、ヒナを取っていっただけのはずなので、それは特筆すべき行為とは認識されないように思える。
以上、「巣上げ」は、本来の飼育専門用語ではない、と私は結論する。だからどうしたと言われたら、特に意味はないのだが、まあ、そういうことである。
さて、リオ。
色艶が良くなり、脚の皮膚もなめらかになってきたようだ。今日も2度ほど目的地まで飛べずに床に不時着したが、羽ばたきが力強くなってきている。上の写真は、不時着したのを拾い上げてテーブルのエサ場に置いた時のものだが、悪びれずにキビなどを少々つまんだ後、愛するサクのいる上方のたまり場に、飛び上がっていった。 案外、数週間で飛翔が得意な文鳥になってくれそうだ。わからないものである。