
今回は、 【世界の論考 – 異論反論】中国脅威:科学技術における米国優位性の危機 、というテーマで、最近の論考を、論点整理したいと思います。毎回ホットなテーマで、世界の論考を、概略(未定稿ですが)紹介します。皆さんの知的関心の一助になれば幸いです。
中国が技術・製造の超大国へと成長する一方で、米国や欧州は、半導体や航空機といった科学技術の高度な統合を要する産業において、依然として主導権を維持していますが、 しかし、その優位性は危機に瀕しています 。
中国は多くの科学分野で米国に匹敵するレベルに達しており 、こうした産業への進出をさらに深めようとしています。
米国政府は自国の科学者を冷遇するのをやめるべきです。さもなければ、多様な科学分野の複雑な統合を必要とする技術開発という、米国が誇る大きな強みの一つを失うことになる でしょう。
中国はすでに、先端製造業において世界をリードする存在です。
Apple の iPhone だけでなく、 Xiaomi や DJI といった自国ブランドを含め、最先端の家電製品の生産拠点となっています。
中国企業は世界で最も多くの電気自動車( EV )を販売しており、品質と価格の両面で競合他社を凌駕しています。
また、太陽光発電パネルや大型バッテリーといったクリーンテクノロジー製品の主要な生産国でもあり、さらに幅広い産業用部品の分野でも圧倒的なシェアを誇っています。
もはや人件費は安くありませんが、中国の巨大な製造業の労働力(約 7000 万人)は世界で最も高い能力を備えています。ほぼあらゆる製品について、サプライヤーや専門家が都市規模で近接して集積しています。電力、鉄道、港湾といったインフラも整備されており、特に資金調達面をはじめとする政府の強力な支援も受けています。
しかし、 科学技術の高度な統合を要する世界の主要産業のうち、 集積回路( IC )の設計・製造とワイドボディ機(大型旅客機)の生産という二つの分野においては、いまだ主導権を握れていません 。
半導体には、化学、電気工学、コンピュータ科学などの統合が求められます。
ASML ( Advanced Semiconductor Materials Lithography )が製造する極端紫外線( EUV )露光装置の高度さは、にわかには信じがたいほどです。この業界は、製造装置( ASML など)やチップ設計用ソフトウェア、さらにはウェハー、化学薬品、ガスといった基幹材料を手掛ける多種多様な企業で構成されており、その複雑さは圧倒的です。
同様に、安全かつ効率的な民間航空機を製造するには、材料科学、機械工学、空気力学の統合が必要です。航空産業においても、エンジンやアビオニクス(航空電子機器)などを専門とするサプライヤーによる巨大なサブシステムが形成されています。
中国企業は科学技術が成熟した分野では強みを発揮する傾向 があります。例えば、スマートフォンの組み立てには、もはやそれほど高度な科学的知見は必要とされません。しかし、膨大な数の部品を使い、大規模かつ高品質に製品を製造することは、米国には実現できていないことです。別の例を挙げれば、リチウムイオン電池の製造に関する科学的原理は何十年も前に確立されていますが、安全かつ高効率な電池を製造することは困難な課題であり、現在はこの分野を中国企業が席巻しています。中国の製造業の力は、何十年にもわたって急速な発展を遂げてきました。 対照的に、同国の科学エコシステムは、ようやく本格的な勢いづきを見せ始めた段階にあります 。
その状況も変わりつつあります。
つい最近まで、中国の大学が価値の高い科学的成果を生み出しているかどうかについて、欧米の科学者が懐疑的な目を向けるのはもっともなことでした。中国の科学者の多くは欧米の大学で教育を受けていましたし、大学の教授陣も、論文の質よりも量に重きを置いていたからです。
しかし、ここ 10 年で、中国政府は科学エコシステムへの資金投入を絶えず拡大してきました 。 今や中国は、トップクラスの大学にノーベル賞受賞者(必ずしも中国系とは限りません)を招聘できるようになっています 。 化学や多くの工学分野において、中国の教授陣は米国の教授陣に匹敵する数の、被引用数の多い論文を発表しています 。
さらに、 中国の科学界は、量子通信、月探査、核融合といった分野で画期的な成果を上げています 。合肥(ヘーフェイ)で進められている核融合実験装置「 EAST (全超伝導トカマク型核融合実験装置)」や量子科学実験衛星「墨子号( Micius )」といった主要プロジェクトの成功は、 中国の科学エコシステムが着実に整いつつある ことを示しています。
米国は、製造業における主導権を中国に大きく譲り渡してしまいました。
科学技術の分野でも同様の事態を招く必要はありません。 まずは、削減された研究資金を元に戻し、中国を含む世界各地から優秀な科学者を再び米国に呼び込むことから始めてみてはどうでしょうか 。
以上です。
【世界の論考 – 異論反論】中国脅威:科学技術における米国優位性の危機
毎回ホットなテーマで、世界の論考を、概略(未定稿ですが)紹介します。皆さんの知的関心の一助になれば幸いです。
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