人生は10段変速の自転車みたいなもの

人生は10段変速の自転車みたいなもの

2013/05/23
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カテゴリ: 読書

「壁」は外部から自分を守る存在でもあり、閉じ込める存在でもある。そして、その外部とは何なんであろう?と作品は問いかける。

いつもながら感じたままを独断で書いたネタバレ備忘録です。

3編の短編から構成されており、芥川賞受賞の第一部「S・カルマ氏の犯罪」が主体の作品のようです。他の2編も非常に興味深いので機会をみて紹介したいと思います。

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朝、目を覚ますと主人公の「ぼく」が名前を失っているところから始まる。毒虫に変身しているよりはずっと軽症だと思いきや、これが意外な重大事であることがだんだん分かる。

出社してロッカーの札から自分の名前はS・カルマであることが分かるがピンとこない。そして自分の机には自分の名刺が座っていて仕事をしている。そこで名前を失った自分の居場所が無いことに気がつく。




空虚感にさいなまれた「ぼく」は医者に行くが待合室で写真雑誌の砂漠の写真を吸い込んでしまう。砂漠の光景こそが壁の外側なのだろうか?そして、動物園でラクダを吸い込みそうになり、逮捕されて裁判にかけられる。

同僚のY子の証言でその場は凌げたものの、「世界の果に関する講演と映画」に行き、そこで自分を逮捕した男たちにスクリーンの中へ投げ込まれる。画面はぼくの部屋であったが、暫くすると砂漠にいることに気づく。その後、紆余曲折はあるが最後に主人公は自分自身が沙漠で徐々に壁に変化してしまう。


日常的な自分の実態は壁に囲まれて名前を持ち役割を与えられた一人の人間であるが、本当の実体は壁の外で空虚な砂漠の中を彷徨うものなのかも知れない。きっと主人公はどちらにも行けず壁そのものになってしまったのであろう。

学生の頃、安部公房に取り憑かれて読み漁りましたが、今こうして再読してみると、あの時に何を感じて読んでいたのかが思い出せないが、明らかに今の捉え方とは違ったように思います。

それにしても、この作品は1951年に書かれ60年以上も立つのになんと新鮮に感じられるのでしょう。


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Last updated  2013/05/23 09:51:53 PM
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