人生は10段変速の自転車みたいなもの

人生は10段変速の自転車みたいなもの

2016/01/03
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カテゴリ: 読書

現在と2年前の話が交互に出てくる構成。だんだんに2つの話がつながって最後の結末を迎える。読みやすく分かりやすい展開なのに、最後にきて唖然としながら、全ての疑問が解消するという緻密なストーリー。楽しめました。

アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー
著者:伊坂幸太郎
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《あらすじ---ネタバレ》
現在の話の主人公は、大学へ入学してアパートへ引っ越してきた椎名という学生。引っ越して最初に会ったのは隣に住む河崎。突然「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けられる。隣の隣に外国人が住んでいて恋人を失って以来、引きこもっているらしい。彼に広辞苑をプレゼントするためだという。椎名は躊躇するものの一緒に本屋を襲うことになる。襲撃は成功したが河崎は「広辞苑」と間違えて「広辞林」を盗んできた。
広辞苑一冊を盗むために本屋を襲うことは、誰が考えてもあり得ない話ですが、やはりそこには特別な目的が。。。しかし、裏口の見張役であった椎名も読者も、中で起こった出来事を知るのはずっと後になる。

2年前の話の主人公は、琴美というペットショップの店員。ドルジというブータン人の恋人と同棲している。2年前、その辺りでは犬猫を残酷は方法で殺すペット殺しが横行していた。二人はペットショップから居なくなった柴犬を探していた時に、偶然男女三人のペット殺しに遭遇。その後、琴美はペット殺しに付け狙われて襲われるが、ドルジの機転で河崎に助けられる。気の強い琴美は、犯人たちが深夜のファミレスにいるのを突き止め、警察に通報する。しかし、琴美は裏口から逃げ出した犯人の車に轢かれて死んでしまう。犯人たちの二人は琴美をはねた後にトラックにぶつかり死亡。犯人の一人が生き残る。

実は河崎はドルジの日本語の教師であり、琴美の元彼であった。したがって、現在と2年前の接点は河崎であり、引きこもりの外国人はドルジであるように思われるのだが。。。

タイトルの「アヒルと鴨のコインロッカー」の意味するものは以下の通り。
ドルジが椎名に「俺に言わせれば、椎名だってブータン人に見える。俺がアヒルなら、椎名は鴨。それくらいしか違いはない」と言う。椎名は「アヒルと鴨はかなり違うと思う」と答える。アヒルと鴨をほとんど同じと考えるか、違うと考えるか。。。日本人は違うと考えるのでしょう。ダイバーシティーの問題も含んでいるのかもしれませんね。
話の中で、ボブ・ディランの歌がある役割を果たします。そして、ディランは神様の象徴。最後の方でドルジは、椎名に「神様を閉じ込めに行かないか?」と言って、ボブ・ディランをかけたままのCDプレーヤーを駅のコインロッカーに入れて鍵を閉める。以前、琴美が「神様を閉じ込めておけば、悪いことをしてもばれない」と冗談半分に言っていた。ここで題名の意味が分かるのです。

《感想》
結末を明かすのは止めておきます。でも最後にきて「エッ~!」と叫ぶのは、僕だけではないと思います。最後の数十頁でいきなり話がひっくり返されたような気がしますが、それまでのストーリーの中に、しっかり幾つかの伏線があります。何故「広辞苑」と「広辞林」を間違えたか。何故、椎名の買ったばかりの教科書がなくなったか。隣の隣はどこか。などなど。

いつもの事ながら話の中で、何人かが死にます。残念ながら良い人も。そんな話の中でも前向きな言葉がありました。ドルジの言う「死んでも、生まれ変わるだけ」。これは意外と前向きな言葉に思えます。それから、麗子というペットショップ店長の言った「助けられるものは助けたい」という言葉、そして実践。他人のことにあまり関心を持たない美人が言うからインパクトがあるのかも。。。人はいちいち全ての人の力にはなれないものの、善意を感じる前向きな言葉だと思いました。


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Last updated  2016/06/28 07:46:18 PM
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