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朝日新聞の書評を読み、強烈な印象を持ったことがきっかけで手にしました。
(その書評を載せておきます)
人を殺すとはどういうことか-長期LB級刑務所・殺人犯の告白 [著]美達大和
[評者]香山リカ(精神科医、立教大学現代心理学部教授)■獄中でつづった特異な半生記・観察記
本書は、2件の殺人を犯し、無期懲役刑に服する著者が獄中でつづった手記である。前半が自分の半生記、後半が刑務所で見た他の受刑囚たちの観察記なのだが、懺悔(ざんげ)の書ではない。
著者は、持って生まれた高い知能と冷徹さを生かして社会的な成功を収めた後、自らの歪(ゆが)んだ価値観に従ってふたりの人間の命を奪う。逮捕後や公判中も罪の意識はまったく感じなかった著者だが、検察の論告を聞いているときに突然、情動のスイッチが入り、後悔や反省の念がわき起こる、という体験をする。
その後、長期刑務所に移った著者は、償いの日々を送りながら冷静に他の受刑囚を観察し、犯罪の動機や今の感情についてインタビューを試みる。そこから浮かび上がるのは、フィクションでは描ききれないほど不可解で矛盾に満ちた人間の生々しい姿だ。強盗殺人を犯したある男は、被害者に「全くざまあみろだ」と言い放つほど冷酷な人間だが、テレビのご対面番組には涙を流す。ヤクザ同士の抗争で殺害した被害者の強さを畏敬(いけい)し、「ヤクザとしての自分の生き方がしっかり決まった」と出所していった男もいる。
著者があげる受刑者に共通する「異常な執着心」「利己心の強烈さ」など18点もの負の特徴や、長期刑務所は"反省や更生とは、ほとんど無縁の""悪党ランド"といった表現に、人間に対する希望を失いそうになる。ただ、検察の論告に氷のような心を動かされた著者のようなケースもあるではないか。著者自身も、「日常の何気ないところや誰かの懸命な生き方に触れた時に化学反応」が起こり、獣のような殺人犯が人間性を取り戻すことがありうる、と述べている。
本書は、世に出たことの是非や書かれた意義を安易に論じるべき類(たぐい)の本ではない。ただ、「殺人犯は理解不能のモンスター」と私たちの意識や社会から排除する前に、「こういう人たちがいる」という厳然たる事実を知っておく必要があるとしたら、やはりこれは特異だが貴重な記録といえるのではないだろうか。
本書"はじめに"には「殺人を犯した者がこの様な本を出版することに異論反対する方は、本編を読まずにここで本書を置いてくれ」とあるにもかかわらず、ネットの書評には、しっかり読んだ上に批判的な感想を書く人が結構居るみたいです。
本書は無期刑の受刑者(著者)が獄中で書いた受刑者の観察記録。
書かれている文章や引用文の引き出しの多さから、著者の思考力・知識の高さが伺えます。
また自分の考える「男らしさ」を貫くことに執着している人物だということも著者は自己分析しています。
長期刑の受刑者にみられる性質とは、外見には普通の人と代わりの無い人たちです。
ただし内面は社会的通念の通用しない人々が多く、例えば刑を軽くするために裁判で反省したフリをした者、刑期を短くするための心証を良くするため心にも無い謝罪の手紙を被害者家族に送る手続きをする者、あるいは逮捕されたこと自体に反感を持っている者などです。
この様な人々を、文中の言葉を引用して例えてみると、「1+1=2がどうしても理解できない人たち。」とありますが、そんな受刑者達が刑期だけは猫を被って勤め上げ、社会復帰をしてくる恐ろしさを感じてしまいます。
そんな軽蔑すべき受刑者の集団の中にも、著者が尊敬をするような受刑者に出会うこともあるようです。
それが決まってヤクザというのも可笑しな話ですが、男らしさを生きる意味として最も重視している著者が彼らを一目億存在として認めるのも分かる気がします。
現在の刑法では、同じ殺人という罪を犯しても、その刑には懲役5年から無期までという激しい差があるそうです。
心から反省をしなくても裁判での心証と、嘘でも反省を表す態度で刑が軽くなったり、逆に本当のことだけしか言わずに刑が求刑と変わらなかったりと、裁判や刑量や弁護について素人ながらにも考えさせられる著書ではないかと思います。
「裁判員制度」という制度に一般人が参加をしていく中で、適刑をしっかり与えていくことが重要だと思います。
著者については、当然殺人は絶対に許される行為ではありません。
しかしこれだけの本を書き、思考力・知識も人並み以上のものを持っている著者には己の犯した罪と真摯に向き合い、深く反省し、社会復帰・社会貢献できる日がいつか訪れることを望みます。
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