PR
Keyword Search
Calendar
Comments
「社会改革はおまえが
偉くなってからしろ!!!」
私は高校を一年間だけ出て仕事に就いた。経済復興の最中、軍事優先の政治が行われていた時代である。まだ、アメリカ執政権下で「アカ狩り」のあった時代であった。そんなとき、いろいろな私企業に先駆けて労組を結成し書記長となった。
その頃、社会改革の士を気取っていた私は、そういった方面の本を読み、話を聞いた。会社の経営者が、父の幼馴染みであったことから、交渉時の私の興奮ぶりや一角の論士気取りの私の様子が父に逐一知らされていた。
前置きが長くなったが
、話は労働運動の事ではない。私のあまりの過激ぶりに業を煮やした父が、ある日私に、「そんなに、社会改革がしたければ、国の政治を左右できるほど偉くなって、世の民を救いなさい。」とたった一言。父は私が偉くなる事をひたすら願いつつ94歳でこの世を去った。私が、平凡なサラリーマンを定年で退職した2年後の事であった。
ところで、父のこの言葉には、近頃偉く(?)なれば、どこかの首相のように世相を混乱させて去る準備をしている輩もいるし、どこかの総裁のように、しこたま儲けてしゃーしゃーしている輩もいる。悪いこともいいことも、偉く(?)なれば自由に出来るんだと、父の遺言の正当さを噛みしめている。