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住居学科卒研発表会終了今年の卒研106作品の一部をご紹介します。なお建築を考える時に敷地条件の考察は不可分なので、各敷地の周辺地図リンクを貼っています。『心象』前田果緒さん 人間の基本的な感情に光が影響することに着目し、自然光の建築内部へ4つの導入手法(頂側光・頂光・側光・底光)から16の導入パタンを編み出し、設計に織り込んで人間の感情を建築の中に表現した作品である。光は重要な建築の要素であるにも関わらず、多くは人工光にそのテーマが向かいやすい昨今ではあるが、この作品は自然光利用のバリエーションを感じさせ、実施設計でも参考にしたくなるレベルの提案があった。■敷地地図『小さな森の集合住宅』菊地早苗さん 中野駅近くの木造住宅密集地帯に置かれた集合住宅の提案である。一見キューブの連続した造形に見られるが、同じパタンの繰り返しではなく、隅々まで違うものが連続している思考量、作業量には驚かされた。またパブリックとプライベートが交錯する中でもその関係は開口部の取り方で調停され、程よい関係が生まれている。全体の高さや密度も周辺地と連続するように考えられており、周辺との調和が重視されていて好感が持てる。■敷地地図『an image』残間智子さん 長崎の沖合いに残された産業遺産である炭鉱の島「軍艦島」に建てる島の記憶を残すための美術館の計画である。島のシルエットを崩さない為に廃墟となった建物の間に美術館が挿入されていて、内外反転が起きているのが面白い。将来廃墟の方が崩れ落ち、最後に廃墟の輪郭の記憶を持った美術館が現れていくというシュールなプロセスも「展示の一部」と言い切っているところがすばらしい。■敷地地図『SU』櫻井実希子さん 相対的に不動産価値の低い北側斜面を利用した戸建住宅群の計画である。北側に展開する既存住宅地と見合う事を避ける為にテラスが大きく伸ばされ、そこで陽光も得ようとする工夫がなされている。今回時間切れで間に合ってない感が強かった作品が多く見られた中で、とりわけプレゼンテーションの完成度が高く、作品製作のプロセスでの段取りの良さが評価できる。■敷地地図『最期のいえ』松田味緒さん 余命を宣告され、家族と最後の時間をすごす為の空間の提案。いわゆるターミナルケア「ホスピス」であるが、病院機能だけでなく家族もそこで共に生活する住居機能を併わせているのがミソである。1階に病院機能と家族の生活機能、開かれた2階に患者の為の個室群があり、自然や地球の動きを感じられるよう工夫されている。建築の思考に「人間」を投影する試みに感動した。■敷地地図『STEP UP』福村奈津子さん 郷里の街の問題を高齢化とシンボルの欠如と捉え、その解決を試みた作品である。階段状のスカイラインは屋上が緑化され各階に憩いの場を提供し、各階へのアプローチになっている。街のシンボルとして名古屋のオアシス21の空中水盤をそのまま持ってきてしまうなど、その組み立て方はストレート過ぎた感があるが、3年次にインテリア選択のみの作者にしては大き過ぎるテーマ設定であり、その意気込みに感心させられた。■敷地地図『Fan☆Fun』深谷友子さん 出身高校の建替え計画である。放射状の計画は敷地によく馴染んでおり、平面計画もテーマを持ってよく練られている。模型も力作であった。ただせっかくの中庭がブリッジの多さで台無しになっていたり、立面の検討が今ひとつなのが残念なところ。現在の校舎からの建替え手順までシミュレーションされていれば更に良かった。■敷地地図『ESCAPE -逃げ出す場所から逃げ込める場所へ-』飯田麻里恵さん 都内屈指の木造住宅密集地帯である京島地区のひとつの街区を再開発し、防災公園を内蔵させる提案である。現在ある公園を街区の中央に移動し、周りに防炎壁となるRC住宅を再配置する計画で、震災時に地域住民を収容し、地域の火災から防御する機能を持っている。地下には食料備蓄庫や貯水タンク、普段も使用できる浴場などがあり、現状での避難施設の問題点をよく研究して計画している。住宅部分などプレゼンが間に合ってないところが残念だった。■敷地地図『passage』外岡ゆいさん 移転する高校敷地を利用した施設計画である。目立つ事を避け、ストイックに敷地及び周辺の状況を読み、抜け道(通過動線)を残して土地が隆起したような造形を行い、建築を消す事に努力している。真面目な態度で建築を考えており好感が持てた。しかし抜け道や内部空間等ではもっと表現の余地がある筈である。■敷地地図『不自然な谷』矢崎加奈さん 地下化される東横線渋谷駅跡地に計画された商業施設である。ガウディーやフンデルトヴァッサーを思わせる有機的な造形感覚が目を惹く。谷状の地形にY字の川をもつ渋谷という土地の記憶をデフォルメして再現している。大胆なデザインではあるが現在の敷地地権者の容積分は建築内に担保するなど、緻密な計算もされている。実際に出来たら東京の新名所として話題を呼ぶに違いなく、商業施設として成功するであろう。■敷地地図『Display』松永琴美さん 建築をディスプレーに見立て、横浜駅西口の河川上に挿入している。コンセプトの上で日用品から都市的レベルまでの落差を大胆に連続させており、プレゼンテーションも緻密で秀逸であった。ただしディテールまで考えられた内部に対して河川上に建ててしまう非現実感との乖離や、敷地周辺のスケールとの不一致に疑問が残った。建築は周囲と関係を持って成立しており、何処にでも置ける「置物」ではないからだ。■敷地地図『神奈川県の酒造業関連建築に関する調査・研究-蔵元15場および久保田家本家を中心に-』山本千晶さん 研究論文の作品であるが、津久井の古い酒蔵を調査し、木造軸組模型に再現されている。小屋組など同じパタンの連続ではなく、所々違った組み方がされているが、全て忠実に再現されており、その労力に驚かされた。模型そのものが貴重な資料として保存すべきレベルに達しており、秀逸である。■敷地地図(大宮司)
2008.01.21
卒業研究学生大賞結果発表今年の発表会も無事終了しました。教員による評価の他に、学生による投票(部門毎に一人3票)がありますが、以下の結果になりました(20票以上)。[設計制作部門]計68作品★金賞・51票 前田果緒さん(椛田研) 心象★銀賞・50票 松永琴美さん(原口研) Display★銅賞・47票 矢崎加奈さん(原口研) 不自然な谷★4位・38票 櫻井実希子さん(渡辺研)SU★5位・36票 朝倉尚子さん(杉本研) 森再生・遊び再生★6位・27票 残間智子さん(原口研) an image★7位・26票 菊地早苗さん(原口研) 小さな森の集合住宅★8位・20票 深谷友子さん(原口研) Fan☆Fun[研究論文部門]計38作品★金賞・75票 山本千晶さん(大橋研) 神奈川県の酒造業関連建築に関する調査研究★銀賞・33票 中澤沙織さん(大橋研) 二本松城下の歴史的変遷と今後の活用計画★銅賞・28票 原奈都子さん(白井研) 耐震粘着マットによる家具転倒防止効果について※有効投票数各143×3票
2008.01.18
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