July's July

July's July

2015.10.04
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 16日、本当は午前中で終わり帰る準備をしたいと思っていたのだが、そう思う人がほかにも何人かいて班長さんは最後ぐらいちゃんと終わりまでまっとうすればいいのにと憤慨していた。それで僕も休むに休まれなくなってしまった。ミス工場の姿はその日朝から見えなかった。今日まで仕事だと言っていたのに変だなと思っていたら、昼食を終えて寮の部屋に戻る途中、ばったり彼女とあってしまった。彼女は彼氏とおそろいの服で帰るところだった。

 それにしてもなぜ彼女にこんなところでばったり出会うんだろう。できれば僕が知らないうちに帰ってくれたらよかったのに、まるで僕が昼食を終えて寮に戻る時間を見計らったようにジャストタイムで出会ってしまった。ひょっとして僕に彼氏を見せつけたいんだろうか。 まさか話しかけるわけにもいかず、そのまますれ違ってさよならとつぶやいた。

 16日はほとんど掃除ばかりで僕のところは早く終わったので午後4時で仕事を終了した。僕は夏服しか持ってきていなかったので明日観光に行くとき着る服とズボンを買いに近くのスーパーストアに出かけた。そして寮に戻ってきたら、お風呂に出かけようとしている彼女の後姿を見かけた。長くて縮れた赤い髪は間違いなく彼女に違いなかった。でも彼氏と帰ったはずなのになぜここにいるのか不思議だった。それに彼女は女子寮に入っていたとは全く知らなかった。朝人材派遣会社のマイクロバスに乗ってどこかの寮からここに通っていると思っていた。それは朝7時40分ごろマイクロバスとともに彼女を見かけたことがあるからだった。ひょっとして髪の赤い別の人だったのかなと思って帰りの準備に取り掛かった。


 17日、朝食を7時ごろ終えて食堂を出たら、またしても彼女に出会った。風呂道具を持って朝風呂にいくところだった。それにしても昨日といい今日といい、なぜ彼女とばったり出会うのか不思議だった。まさか行き会うタイミングを見計らっていたわけでもあるまいし、偶然が重なっただけだろうと思いなおして、それでも話しかけるべきなんだろうかと考えながら結局話しかけずにそのまますれ違った。いずれにしても今日が最終日で僕らは朝8時半にバスで出発の予定だった。電車で帰る人はその前にもう工場を後にしていた。僕の部屋もがらんとして何とも言えない寂しさが漂っていた。8時15分頃にはバスが来たので僕たちはバスに乗り込んで出発時間を待った。一緒に働いた社員の人たちや友達になった人材派遣で働きに来ていたフィリピン系の若い男のダンサーが見送りに来ていた。

 出発の時間を過ぎたがまだ二人足りないということで僕たちは待たされた。僕たちは全員そろっていたので宮古班の誰かが遅れているようだった。一体何してんだろうと思っていたらやっとバスに乗り込んできた二人をみて驚いた。ミス工場と彼氏だった。そして彼女らは僕のひとつ前の席に座った。

 そういうわけで結局最後の最後まで彼女らと観光をつきあいフェリーまで一緒に乗る羽目になった。縁があったのかなかったのかよくわからない。僕はなるべく見ないようにして仲間たちと観光を楽しんでいたけど、時々彼女と目が合ったりした。それにどういうわけか彼氏とも目が合った。なぜか僕を見ているような気がした。

 フェリーは八戸港につくはずだったがチリ沖の地震のせいで青森港に朝5時半ごろついた。車の下船で1時間近くまたされやっと6時半ころ船を下りた。僕たちはターミナルゆきのバスに乗った。宮古ゆきのバスもすでに後ろに止まっていた。僕が乗っているバスを通り過ぎるとき彼女はちらりと僕を見た。






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Last updated  2015.10.04 12:46:50


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