Junk Factory ~コトノハ紡ぎの工場~

Junk Factory ~コトノハ紡ぎの工場~

2008.11.26
XML

 ども。
 久しぶりに、自分の小説を更新したんで、うpしまーす。

 結構間が開いたんで、最初から読みたい方は コチラ から

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

「1年E組3番、井藤俊司くん居る!?」

 俺の目の前で、そう叫んだのは、昨日のあのショーカットの美少女だった。

「えっ...あ...その...?」

 突然の訪問に俺が身を硬直させていると、延人が俺と彼女の間に割り込んできた。

「はいはいはーい!俊司はコイツっす!イケメン度中の中よりちょい上・遅刻ギリギリ大魔王の帰宅部推奨委員。そんなコイツになんか用ですか?ついでに、貴女のクラス・番号・名前・ご趣味諸々も教えて頂けるとありがたいので...」

「あなたが俊司くんねッ!えーっと。君の力がどうしても必要なの!だから、来て!!」

 そう言うと、その小柄な少女は、俺の右手を掴むと、全力で走り出した。

「えーっと?俺は!?」

「ゴメンね!用は、俊司くんだけ!私の名前は時渡ミカ!クラスは2年C組34番!それじゃーねッ!!」

 俺は、自分の意思に関係なく、レッカーされた廃棄車のように引きずられ、延人からドンドン離れていった。

 てか、この小柄美少女は先輩だったのか。なら、尚の事逆らえないじゃないか。

 1年E組のある第2棟3階を駆け下り、第1棟の2階まで今度は駆け上がる。

 なんなんだ!?この人の小学生的な無尽蔵な体力と勢いは!?

 普通教室がメインの第2棟とは違い、第1棟は特別教室がずらりと並ぶ。

 家庭科室・理科室・自習室・図書室...2階といえば、目ぼしい所は、雨が降ったとき校庭で体育をしていた輩が体育の授業と称して遊ぶ為にあるようなだだっ広い多目的室があるくらいなものだが...。

 案の定、時渡と名乗る可愛い先輩は多目的室にズカズカと突入した...が、その勢いは止まらず、未だに走り続ける。

 いや、多目的室に入ったじゃん。ここが最終目的地ではないの?

 そうこう考えていると、時渡先輩はおもむろに多目的室の倉庫を開いて、中に侵入した。

 え?えええ!?いや、こんなとこまで来るのは、異常を通り越してやばいんじゃないのか?愛の告白をするにしたって、呼び出し方と場所を選べよ。いや、まぁ、そっち系のイベントならむしろ良いシチュレーションかもしれないが!?

 居てもたってもいられず、足に思い切り力を加えて、急ブレーキ!己の身を静止させた。

 ...と同時に、時渡先輩も急停止。『JPIK宮ヶ浜高校支部』と書かれた札が貼られているドアに手を掛けていた。

 どうやら、ここが目的地らしい。

 時渡先輩が手を掛けているドアは、普通の教室のドアとして採用されているスライド式の物だった。

当然の様に、うちの学校が教室のドアが、多目的室の倉庫の奥の奥に設置されていた。

この学校にいれば、この目の前のドアと同じ物を一日中目にするわけだが、入学以来、こんなに不自然なドアを見たのは初めてだった。

 なんで、倉庫の奥なんかに...スライドドアが?...というより、JPIKってなんだ?

 俺が疑問に対して思考をめぐらせるよりも先に、時渡先輩は勢い良くドアを開けた。

「紹介するわね!ここが、我々の活動拠点、JPIK宮ヶ浜高校支部よ!」

 ドアを開けた先には、教室半分くらいの小さな部屋があり、そこに男女5人ほどの集団が部屋の中央に寄せてある机に向き合って座っていた。

 その中の一人がこちらを睨む。留輝だ。

 その睨む先は、俺の右手...。

 時渡先輩の手が、いまだにしっかりと握られていた。

 留輝の視線に恥ずかしくなり、強引に手を振りほどいた。

「な、なんなんですか?ここは?」

「ここ?ここは、JPIK宮ヶ浜支部!表に書いてあったじゃない。略して、ジャピックで良いよッ。」

「ジャピ...ク?部活ですか?なんか、引き抜かれたみたいっすけど、俺は中学の時からバリバリの帰宅部なんで、誰かと人違いしてるんじゃないですか?」

「なるほどな。はぁ~。ミカ、また何も説明せずに連れてきたのか。お前ってやつは...。」

「何よ、真!何か文句でもあるの?」

 一番奥の椅子に座っていた背丈が大きめで、ガッチリとした体格の男子が、立ち上がって歩をこちらに進めながら、喋り始めた。

「いや、俺は文句ないさ。文句があるのは彼の方だろ。説明もなしに。」

「今から説明するとこだもんッ!良い?井藤くん。ここジャピックは、あなたみたいに超能力を持った人間が集まって、事件や事故を解決する人助けの為の集団なの。」

「JPIKってのは、Japan Psychic Investigator Kyokai...つまり、日本超能力捜査官協会の略ってわけだ。」

「ジャパンサイキックインバスチゲーター協会??」

「ここが、その日本協会の宮ヶ浜高校支部の本拠地よ!すごいでしょッ☆」

 超能力捜査官...あぁ、テレビとかで時々やってるFBIの特殊機関で、どんな難事件も予言やらなんやらで解決しちまうっていう電波人間の事か。

 まさか、普通を絵に描いたような俺にそんな電波集団からの誘いが来るとは思わなかったぜ。

 てか、留輝、お前ってそーいう趣味があったのか。クールな感じで、どことなく常人とは違うやつだとは思っていたが、こっち系の一面を持ち合わせてるとは、これっぽっちも思わなかったぞ。

「えーっと。気悪くしないで下さいね?俺は、こっち系のネタにはそんなに興味ないんで、入部ってのは丁重にお断りしたいのですが...。まぁ、見学くらいなら今日くらいなら...あぁ、延人のやつ連れてきても良いですか?俺一人じゃ、空気に耐え切れなさそうなんで...。」

「ん?話が噛み合わないな。絢子~、こいつで間違いないんだろ?」

 奥の方で、髪を三つ編みにした地味目の女子が、ボソっと無愛想に口を開いた。

「...間違いない。」

 続いて、部屋の隅の方で、一人別の机でパソコンをカチャカチャやっていた眼鏡の男子が口を挟む。

「んっはっは。自覚症状がないタイプみたいだねぇ。まだ開花前なんじゃねーの?」

「いや雄太、それはないだろ。絢子が見間違えるわけは...。」

「...間違いではない。能力の開花はもう既に終えている。それどころか、力を幾度となく酷使してかなり性能が高くなっているはず。自覚レベルはとうに過ぎている。」

 俺には理解に苦しむ会話が目の前で繰り広げられると、留輝がヤル気なさげに言った。

「自分の力にも気付かないような天然はいらねぇっすよ。」

「そう言ってくれるな。どんなもんかはわからないが、性能が高まっているなら戦力に成り得る。」

「トメキ、そんなソッケナイ言い方ダーメダーメです!持つべきものは仲間デースよ?」

 片言の日本語...中国人だろうか?アジア美人というか...スタイルがなかなかの女子が留輝に割ってはいる。

「でも、チェン先輩。どっちにしろ、自覚すらしてないんだ。戦力になんかなりゃしない。まだ泳がしといて良いんじゃないっすか?」

「んっはっは。まぁ、留ちゃんの言うことも一理ありじゃな。もうちょいっと彼について調べてから誘えば良かったんじゃね?」

 なんだか、勝手に期待されて、勝手に期待はずれな扱いを受けてるな。

 こんな電波集団に絡まれるくらいなら、いっその事何も考えずに陸上部へ駆け込んでしまおうか?

「えーっと...。なんだかよくわからないから、帰りますね。それじゃ。」

 俺は、逃げるようにして多目的室を後にした。

 時渡先輩が「なんで仲間に入れないんだ。」と騒いでいるのが聞こえたが、聞かないことにした。

 時渡先輩も可愛かったけど...やっぱ、小井野の方が可愛いもんな。

 きっと、延人が不満をグチグチ言いながら、チンタラと通学路を歩いているハズだ。

 早歩きで追っかけても、きっと追いつくさ。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.11.26 23:48:05
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: