釈迦 | メタボの気まぐれ

大映京都撮影所が制作し仏教の開祖・釈迦の生涯を
当時の大映のスターを集めた1961年公開の「釈迦」は
日本初の70ミリスーパーテクニラマによる
超大作映画であり、総製作費は5億円である。

紀元前5世紀のインド。
インド北方の国にあるカピラ城にて
スッドーダナ王（千田是也）の妃マーヤー（細川ちか子）が
シッダ太子を生み落したのだ。

それから20年後

（チェリト・ソリス）の婿となるべき男の
武芸大会が開かれた。

各国王子の中で最後まで残ったのは
シッダ太子（本郷功次郎）と
その従兄のダイバ・ダッタ（勝新太郎）の二人で
競うこと半日、シッダ太子が勝利を収めた。

カピラ城内で太子夫妻の幸福な結婚生活が送られ
次第にシッダ太子の心深くに
人生への懐疑が生れた。

自らの境遇と奴隷や賤民の身の上との余りの違いに
人生の苦悩を持ったのだ。

最愛の妻と城を後に禅定の地を求めて出城、
太子の諸国の放浪が続いた。

ある時は岩石ガイガイたる荒野を・・・
ある時はヒマラヤ山麓の原始林を・・・

経てある川の畔の大きな菩提樹の蔭に

一方、ヤショダラー妃への恋情を捨て切れないダイバは
ある夜、策略を弄して妃に乱暴を働き
ヤショダラー妃は自殺してしまった。

この悲報にも太子は城に帰ろうとしなく
こうした菩提樹のもとにあらゆる誘惑を退けながら
六年の間、苦行を続けたシッダ太子は
一切の怒りと憎しみを忘れ村の女・サヤ
（京マチ子）の介添により遂に悟りを開いた。

太子は仏陀として生れ変わり
鹿野苑の仏陀の元には
尊き法の教を乞う人達が全国より集って来た。

仏陀の高い噂を聞いたダッタはシュラダ行者
（東野英治郎）のもとで神道力を授かるや
敢然として仏陀への挑戦を開始、
バラモンの布教に勤めだした。

マダカ国のアジャセ王子（川口浩）が
その出生の秘密に苦悩し
父王と不和であることを知ったダイバは
うまく王子に取り入って王子の権力を悪用し
バラモンの大神殿を建造させると共に
仏教徒に対する迫害と処刑を図った。

このダイバの余りな非人道的な仕打に
次第に疑問を抱き始めた
アジャセ王子は鹿野苑に仏陀を訪れた。

この映画は当時、ハリウッド映画「ベン・ハー」
「スパルタカス」と70mmフィルムによる
超大作史劇映画が製作され話題をさらっていた。

大映は総天然色化を松竹映画に
シネスコ化を東映に先取られていて
他者に先駆ける70mm映画の制作は悲願であった。

本作が公開されるや、11月からのロードショー公開で
日本の興行記録を塗り替える大ヒット。
さらに翌年にまたがるロードショーと一般公開によって
最終的に7億円を超える興行配収を得る超特大ヒットとなり
当該年度の各映画部門の賞を総なめにしている。