太陽の牙ダグラム | メタボの気まぐれ

リアルロボットアニメ全盛期に生まれたサンライズの名作『太陽の牙ダグラム』は、1981年に放送開始された。

『機動戦士ガンダム』や『伝説巨神イデオン』の系譜にありながら、さらに踏み込んだ政治性と徹底したリアリズムを掲げた作品として語り継がれている。

本作が目指したのは、子どもだけでなく“その父親層”まで視聴者に取り込むこと。

単純な勧善懲悪を排し、実際の国際情勢にも通じる“独立戦争”を主題に据え、その発端から終結までを重厚に描いていく。

物語の舞台となるのは、地球連邦政府の支配下に置かれた植民惑星「デロイア」。

主人公クリン・カシムは、本来なら支配する側である政治家の息子。

しかし彼は反政府組織「デロイア7（サンダー7）」と出会い、政府の体制に疑問を抱き、ついにはレジスタンス側に身を投じる。

“主人公が分離主義側につく”という点は、『ガンダム』とは明確に異なるポイント。

登場人物たちは各々が政治的使命や信念を持ち、時に信頼し合い、時に対立しながら自らの立場を貫こうとする。

その一方で、当時のアニメ雑誌からは批判も多かった。

「展開が難しくて理解しづらい」「主人公たちの行動が大局にほとんど影響していない」「ロボットアニメではなく政治アニメでは？」

さらには「極論すれば、ダグラムが物語から消えても成立してしまうのでは」など、リアリズム追求ゆえの評価分裂も本作の特徴と言える。