2004年04月27日
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欧米型コーポレートガバナンスと日本型コーポレートガバナンスを比較して、欧米型へのシフトを唱える「コポガバ」論者は、株主重視の経営が実現しないため日本の企業は利益を上げられず、日本が不況に陥っているのだと考える。

彼らは日本の不況の原因の一端を株主の利益と経営者の利益が直結していないからであると考えているのだ。

株主利益と経営者利益の乖離についてコポガバ論者は次の二つをあげる。

一つめは、グループ企業内での株式持ち合い型がいけないというもの。ここで、たまにコポガバ論者は次の議論を展開する。
通常メインバンクが多くの株を所有することになるが、メインバンクが企業内の不効率な事業にしっかりダメだしをできなかった。メインバンクの機能不全が見られるというもの。

二つ目には、経営側のディスクロージャーが足りないというもの。ディスクロージャーが足りないので機関投資家は有効に会社を利益を得るよう誘導できない、規律づけできないというものである。

実際のところコーポレートガバナンス論は日本でもかなり議論されてきた。しかし、私は日本におけるコーポレートガバナンス論は米国会社法で発展したコーポレートガバナンスと少し議論がずれているような気がする。

米国会社法のコーポレートガバナンス論は、こうである。


株主は投資を行う。株主には企業が高いリスクをとって高いリターンを返してくれることを願っている。
すなわち、株主は、取締役にリスクアバース(リスク嫌い)であってほしくない。また、しっかり働いてほしいと思っている。

取締役は、株主から選ばれて経営を執行する。株主自身が経営を行うことはしない。取締役はマネジメントの専門家であり報酬を受けて株主に雇われる。取締役自身は報酬がもらえれば良い。会社の経営がどうなろうが関係ない。

株主と取締役はこのような関係にある。
肝心なのは取締役が会社の利益のために働きたいと思うように方向付けることだ。

このために、
1)株主は投票権を与えられ、取締役を選任する
というルールが与えられる。

また、取締役が会社の利益を得る機会を勝手に横領してほしくない。そのために
2)取締役は会社に忠実義務があり、会社の利益機会を横領してはならない。自己取引はだめだ。
というルールが生まれる。


株主の声が強すぎて取締役が株主の声に答えようとした結果、実際利益があがらなかったが、会計を適当にごまかして利益を与えたようにみせかけた。
という問題だからだ。

コーポレートガバナンスというものは、ようするに、取締役と株主の関係を定めたものだ。

日本が株式持ち合い型で急成長していると80年代に日本研究者はアメリカで報告した。日本ではかなり当たり前だった系列の関係などをわざわざ統計的に分析してアメリカで報告し、未だにアメリカにおける日本における会社研究の最初は系列、財閥から始まる。そのばかばかしさといったらない。

そのときはこういう議論だった。



日本を見よ。株主は持ち合いで安定している。株主の利益追求に取締役が本業を煩わされることなく仕事できている。

当時、ソニーの盛田昭夫はこういった。「私はアメリカの産業界が、良い製品を製造して売るという本来の姿を忘れ、マネーゲームにうき身をやつしている傾向を憂慮する。。」(MADE IN JAPAN 朝日文庫p476)

米国は日本型の追求を検討し、ビジネススクールではGOALのような議論が進められたが、ロースクールでは、むしろ州政府がマネーゲームによって取締役の職が奪われたりすることを問題視し、別の視点からコーポレートガバナンス論を発展させた。その結果敵対的買収に対してポイズンピルと呼ばれる対抗措置がほとんどの企業で取られるようになり、州法もこれらを合法とし、さらに州法で多くの州で敵対的買収に厳しい法律を採用した。
結果敵対的買収は沈静化し、今は別の動きが生まれている。

米国は日本型コーポレートガバナンスを追随する結果となったが、コーポレートガバナンス論というのは、本来取締役と株主の法的関係の話であるということ、株主の利益を重視する余り、会社の経営が厳しくなったという文脈で米国では語られてきたということが重要だと思う。

日本の不況を企業の不振に求めコーポレートガバナンスに問題があるという議論は米国のこの議論を忘れて、米国の学者が唱えているに違いない議論を逆輸入しているだけである。

まず、日本でもコポガバの最大の重要な点である、株主が取締役を選ぶというルールはきちんと取り入れられている。ただ株主が行使しないと言うだけだ。その結果取締役が会社利益を追求しないと言うことはない。
取締役は出世というにんじんをぶら下げられ、企業の利益拡大を進めている。
メインバンクの機能不全が企業不振の問題なのではない。

コポガバ論の結論は
1)社外取締役の増加
これは取締役が株主の利益に反して自己取引をしたときに後で訴訟になるからという要請に基づくもの。会社の効率性増大とは直接関係しない。

2)監査役機能増加
取締役が忠実義務に反しないようにするためのもの。会社の効率性には直接関係しない。

3)情報開示の徹底
格付けは企業のやる気を引き出すが、そもそもディスクロージャーは少数株主の保護のためにある。会社の効率性を論じるには遠い。

結局我が国企業の不振は飽和した日本語経済圏に原因がある。
もともと休眠しているような山一証券のような会社をやる気だたせるというのにはコポガバ論も一役買うだろう。しかし
今の日本企業の不振が企業取締役のやる気なさに原因しない限り、コポガバ論を日本で議論する意味は少ない。

山一証券や東京テクスタイルのようなやる気ない企業のやる気を出させるというのであれば、コポガバ論の結論は簡単である。株主が、やる気ない取締役を更迭し、新たな取締役を入れると基本的な権限を行使しなさい。ということにすぎない。

(※)ポイズンピルとは例えば、敵対的買収をかけてきた企業、今株式市場で株式を買いあさり、支配権をにぎるため5%から15%まで買いあさったとする。一定のシェアを超えた段階で、会社は既存の株主に安価で新株を発行するという規定を設けておく。新株を発行すると全体の株が増えるので、シェアは下がる。すなわち今100の株式があって敵が15の株を買ったとし、ピルが発動されたとする。その結果、株が二倍に増えたとする。すると200の株式が出回ることになり、15の株式を買ってた敵は15%でなく、7.5%にシェアが落ちる。これがポイズンピルである。なお敵(トリガリングパーソン)に対しては新株を発行しないということを事前に決めておく。これはフリップイン型ポイズンピルと言われる。







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最終更新日  2004年04月27日 07時32分38秒


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