「私を食べて。」というブタを食べられる?
いきなりの問いですが。『100の思考実験』に書かれている一節です。
この本は筆者の哲学的「問い」を100こ紹介しています。
正直読んでいてわからないものも少なくないのですが、中には「う~ん」と考えさせられるものもありました。
先に紹介した一節は、「わたしを食べて」というブタと「感情をもたない」ニワトリを題材に食の倫理について問うものです。
他に、「政府の仕事をコンピュータにさせることはできないか」(自動政府)と、政治についての問いもあります。国民の幸福度を最大化させるための税率や再分配率をコンピューターが行えるなら政治家による「政府」はいらないのではないかという意味です。
これら以外にも税、社会保障、芸術など他分野について哲学的問いが繰り広げられていきます。
訳者の向井和美氏は次のように述べています。
「前に進むことだけをよしとする社会にあって、なるべく前に進まないこと、足踏みすること、立ち止まることは、それだけでもじゅうぶんに困難だろう。しかし、ときには足を止めて深く考えたい、と思っている人は大いに違いない。 (略) 読者が思考実験を楽しみつつ、哲学的問題に触れ、根底から揺さぶられる経験を味わってくだされば、訳者としてこれほど嬉しいことはない。」