ゲイリー・ハメルは、停滞している企業の経営について、「硬直化したヒエラルキーや中央集権化、過剰管理などが、競争力を脅かすことになっている。」と指摘している。
原因の一つは会社トップの決まり方である。ピラミッド型の組織で出世した人物は社内政治に長けているだけで、会社のマネジメント能力とは別のものである。そのような人物たちだけに会社全体の舵取りを任せることになってしまう。「トップ型の組織には、目に見えない多大なコストがかかっている」のだ。
もう一つは、社員のモチベーションの問題である。
管理主義を強めることによって「経済的裁量権を制限すると人々は自由を剥奪され、それによって自分から進んで何かをやろうという気持ちが削がれ、パッションやクリエティビティが縮まってしまうことがわかっている。」
ハメルは、「マネジメント」を「生産的結果を生み出すために、リソースを動員かつ組織化するために用いるツールと方法」と定義し、マネジメントの機能は、個々人では成せないことを、集団で効果的に達成することとしている。
その中で今後の経営に求められるものとして以下の3点を挙げている。
1.迅速に革命的変化ができる・その準備のある組織。
2.自由のイデオロギーを基本とする。
3.たくさんの実験を行う。
「いま、経営は何をすべきか」ゲイリー・ハメル(ロンドン・ビジネス・スクール客員教授)『Harvard Business Review 2013.3
では、以上を踏まえ現代の学校を考えてみます。
まずトップの決まり方。つまり校長の決まり方。これは「雑巾がけ」をどれだけやったかで決まっています。管理職に従順になって「ポイント」を貯める。また、研究授業や研究員を受けて、自分に「ポイント」を付ける。
そのポイントを基に一つずつ肩書きを代えていく。まさに、「校内政治」能力の長けているものが最終的に校長になっているのです。もちろん、その中にも有能なマネジメント能力のある方もいるのでしょうが、そもそも「経営」を考えてこない、学んでいない人たちが今の学校を「経営」しているのです。
次に、社員のモチベーションについて。つまり教員のモチベーションについて。
ハメルの指摘とは真逆に、学校ではここ20年で管理と統制が強められています。さらに、行政からの押し付けで始まる教育施策も多く「教育の画一化」が図られています。一方、社会は複雑になり、子どもを巡る環境は劇的に変化しています。生活そのものが20年前とは別物です。当然、子どもや親の価値観も多様です。このような中で「標準的」にやろうとしても対応しきれないのです。
そこで、ハメルの提案する視点を基に今後の学校を考えてみます。
1.教職員同士による相互評価を基にした昇進試験。
2.校長へのアドバイザー・エリアマネジャーを設置。
3.教科書採択、教科別時数の弾力化