ノンフィクション小説である。
小学校教師の川上(仮名)は担任する児童の保護者、いわゆるモンスターペアレントによって事実とは異なる「体罰・いじめ教師」の烙印を押されてしまう。このことは、学校内では収まらず、最終的には週刊誌で実名報道までされてしまった。また、教育委員会からも停職6か月の処分を与えられる(後の裁判を経て処分は取り消される)。
この小説に登場する保護者も当然実在する人物である。嘘偽りを平然と重ねていくところから、人格障害の様相を呈している。されていない教師からの体罰や失言を次々と苦情という形で校長・教育委員会・マスコミに訴えていく姿勢は、常軌を逸している。これらは裁判を通して「信憑性がない」と断罪されていくが、残念ながら当初の結果としてこれらの嘘が川上を追い込み、担任交代、停職処分、研修、家族の避難に繋がってしまう。そこに至ってしまった理由としては、本来中立的な立場で事実確認をしなければならない校長が保護者の苦情を鵜呑みにしてしまったこと、丸く収めるために川上自身が非を認めてしまったこと、マスコミも先入観をもって客観的な取材に基づかなったことがあげられる。
現在の学校が保護者に及び腰になってしまっていることは事実であると思う。川上が「丸く収めるために謝罪してしまう」ことも、手法の一つとして有り得る話である。しかし、ここがターニングポイントだった。やはり、事実とちがうものは違うと伝えていく姿勢は持つべきだ。その相手が保護者であっても、校長であっても、教育委員会であってもだ。
15年前程から始まった学校選択制や学校評価が保護者の権利意識を高め学校を「サービス業」と勘違いさせてしまった。そして、それを是正する術も意識もないまま現在まで来てしまっている。「モンスターペアレント」という用語が市民権を経て数年が経っただろうか。そのことにより、ある程度の抑制は効いているように思うが、小説のような保護者は実際にいるのだ。クレーマーと化した保護者、道徳性の欠片もない児童、保身しか考えない管理職から「自分の身をどう守るか」、大いに考えさせられた。
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