日々のあぶく?

日々のあぶく?

November 7, 2006
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「邪なことをすると―死ぬよ」

東京―大磯・平塚、警察上層部だけが知るらしい毒薬の特性から連続とみなされた殺人事件。
手がかりが不明瞭の中迷い込んだ先に待っているものとは―
一方、益田は榎木津の従兄・今出川からの依頼で榎木津の縁談が次々に断られた裏に隠される理由を探っていた。
点と点をつなげているのは邪な想いか?「雫」とは?

今回は主要メンバーの"らしくない"一面が次々に披露される。
そのせいか、はたまた妖怪談義がほとんどなく、あると言えば「昔話・民話(民俗学)・伝説」の違いや
「桃太郎―吉備津彦命」あたりの話(悪くはないのだけれど、どちらかというとQEDっぽかった)だからか、魅力ありながらも京極堂シリーズとしては停滞気味だった気がする。
邪魅が魑魅の類というところを拡大解釈して、世間と社会、世間と個人、社会と個人など大きなカテゴリーとその一部という構成がなされている。

次回は有名な「鵺(ぬえ~予告では空に鳥の漢字が用いられている)」が来るので期待したい。

発売時におまけで人物相関図などがついたのは過去の事件に関わった人物(主に警察官)が多数登場したことにも理由がありそうだけれど、
それならば読者が皆見れるように巻末に付けてくれれば尚親切だったのにと思ってしまったのは、図書館で借りた本についてなかった(立ち読みの時に見てるので概要は知っているけれど)からだろうか。
いやいや、あくまで「ご好意」でついた企画なのに、そこまで求めるのは我儘だろうか?

でも、ただでさえ登場人物が多いのに、東京で殺された澤井健一の名前が17章の途中(単行本で465頁あたり)でいきなり"澤田"になったのには驚いた。
次に出てくるあたりでは"澤井"に直っていたけれど、名前の誤字は辛い。
別人か?と一瞬惑わされた。
そういえば、新聞や本に誤字脱字はないものだと子供の頃は信じて疑ってなかったなぁ…。


~ネタバレがあったりなかったり~


関口と同じ属性を持ちつつも消化(発散)・表現の方向が違う事が判明する益田。
体調が良いせいかいつになく(彼にしては)明瞭でしっかりしているように見える関口。

いつもの如く幕引時には出てくるが、出番が少ない京極堂(存在感だけは大きい)。
いつもの調子を出せず、テンション落とし気味の(理由はあるが)榎木津。

"先輩不良刑事"木場の薫陶を受け、着実に成長している青木が活躍、かな。
榎木津に秘密のまま調査する"探偵見習"益田は調子が出せないなりにどんどん真相に近づいていく。

表と裏のようにお互いの存在、関係を補完しあっている憑き物落し(京極堂)と探偵(榎木津)のやりとりはいつもいい。

榎木津の周囲に対する心配り(?)もチラリと。真面目になると本名をしっかり覚えているところを出すのは心憎い。

事件のつながりや展開はよめないが、黒幕が誰かだけはすぐ分かる。

箱根事件(鉄鼠の檻)を担当した益田のかつての上司でもある山下刑事が憑き物を落とされたような人となって再登場。
石井刑事もちらりと出てくる。
青木のかつての同僚(本庁勤務)の木下もチラリ、陰摩羅鬼の瑕の大鷹刑事も登場。
そのほかにもどこかで見かけた刑事がちらほら。
京極堂・榎木津に出会った刑事(だけではないが)の多くが人生、自分の価値観の崩壊にも繋がる衝撃を受けている。頑張れ!警察(官)!

毒薬と帝銀事件。
関係ないけれど、早瀬乱「 三年坂 火の夢 」の大火の話をそのうち京極さんが(巷説あたりで)書かないかなと思った。

十二研、京極堂とも顔見知りの公安刑事・郷嶋など今後も出てきそうなキャラも登場する。
あるはずのない毒の存在を知っていたという解剖医って、よく出てくるあの人(名前忘れた、里村??)だったのでは?

登場人物などのメモ→ メモ1
民話・昔話などについてのメモ→ メモ2





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Last updated  November 9, 2006 10:38:09 PM


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