日々のあぶく?

日々のあぶく?

July 21, 2012
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装丁が凝ってるなー!!!というのが第一印象。

使いやすいかどうかは別にして、細くて長い三本の栞が物語の何かを暗示しているのか・・・?
など考えるだけで楽しい。

細身で、年齢不詳、女のように長い髪、道中記「道中旅鏡」を書くために各地を旅をするが、
迷い癖のある男・和泉?庵と
お人好しなところもあるが、博打好きでしょっちゅう借金をこさえたり、
スリに有り金を盗まれたりして一文無しになり、
?庵の荷物持ちとして多くの旅に同行する耳彦が

二度と行けない温泉、村の数々、切なさ、恐怖、生死の狭間、などが織り込まれている。


・エムブリヲ奇譚
 旅先で小指くらいの大きさのエムブリヲ(人間の胎児)を拾った耳彦は、
 それを育ててみることに。
 だが、博打に手を出し、借金をこさえた彼は、
 エムブリヲを見せものにして稼ぐようになってしまう。
 借金の形にエムブリヲを奪われそうになるが、間一髪?庵に助けを求め、
 子供のいない夫婦に引き取ってもらうことに
 (耳彦の借金も肩代わりしてもらうことに)なる。
 のちにその妻の体内に入れられ生まれなおし(?)成長した少女と再会する。

・ラピスラズリ幻想

 親方の命で?庵と耳彦の旅に同行することに。
 旅先で老婆の孫を助けた礼として、老婆から青色(ラピスラズリ)の石をもらう。
 老婆の言いつけどおり肌身離さず身に着けていると、
 何度も生まれ直すように。
 過去の経験を思い出し、ある時は村人の命を救い、ある時は父の命を救う。

 生まれなおしても見聞きしたことは残るため、各人生で勉強を積み重ねるように。
 かつての老婆からは自殺したら地獄に落ちるからと、自殺は止められていた。
 だが、何度生まれなおしても、輪が生まれることで母が死んでしまう。
 ついに母の胎内で輪は自殺する。

 最後の段は輪のいない世界で、?庵が死産となった胎児の首に
 三重に臍の緒が巻き付いていた上に、青い石が一緒に出てきた話をする。
 切ない。

・湯煙事変
 夜に行ってはいけないという温泉を調べてこいと?庵に言われた耳彦。
 その温泉による入ると、死んだ縁者があらわれた。
 子供のころにいっしょに遊び、行方不明になっていた女の子・ゆのかによって耳彦は助かる。

 旅ののちに彼女が死んだと思われる故郷の地で彼女の死骸を探し出す耳彦の姿が。

・〆
 旅についてくる鶏を小豆と名付けた耳彦。
 だが、身を寄せた村で出てくる食事はすべて(米も魚も何もかも)人の顔に似ていた。
 口にすることができずに衰弱する耳彦は、唯一食べられると小豆を〆てしまう。

 回復し、自分のしたことに恐怖する耳彦。
 何が残酷か考えさせられる。

・あるはずのない橋
 とうに落ちたという刎橋。
 そこに人影を見た耳彦は、そこに連れて行ってほしいという老婆とともに橋へ。
 橋の上で老婆の死んだ息子と思われる少年に出会い、老婆のもとへ。
 老婆は息子の成仏を願うが、息子ら死んだ者の霊は老婆と耳彦を道連れにしようとする。
 耳彦は老婆を蹴落とし、助けられる。

 複雑な気持ちになる。
 また、湯煙事変のゆのかのような存在ばかりではないとつきつけられる、
 対照が際立つ一編。

・顔無し峠
 迷いこんだ村で耳彦は、彼が亡き喪吉にそっくりだというやゑに喪吉として対応される。
 喪吉ではないと拒否し続ける耳彦だったが、
 だんだんやゑとその息子・鼻太郎を受け入れる気持ちに。
 実はやゑは分かっていて夫の死を受け入れられなかっただけだった。
 いつか借金を返済したらまたこの村に挨拶に来ると約束する耳彦。

 約束が実現されると良い。

・地獄
 山賊に襲われ、?庵とはぐれ、見知らぬ夫婦と一緒に穴に落とされた耳彦。
 干し肉を与えられていたが、のちに一人だけ穴から出され、
 その日から新鮮な肉を与えられるようになり・・・

 ただの話でも想像がつくが、乙一と思えばもう!の展開。
 妻の敵を討つと次に出された男が奮闘する間に穴からはい出ることができた耳彦は、
 山賊一家の娘を人質にとり、一家を穴に入れることに成功し、逃亡成功。
 のちの穴の中は惨劇に・・・。
 本当にこの一編は乙一だー、と思う。

・櫛を拾ってはならぬ
 前回の体験で家に引きこもっている耳彦の代わりに、?庵の旅に同行した男が死んだという。
 旅中、自分の母の教えてくれた怖い話と、
 ?庵の話を組み合わせて百話の怪談をしようと提案した男。
 男は旅の途中から?庵の長い髪の抜け毛が我慢ならないと別室で休むように。
 だが・・・。

 櫛は「苦死」につながるから、拾ってはならない。拾うなら一度踏んでから。
 拾ったという櫛を燃やした男は髪にまみれて死んだ。
 だが、その髪は彼の死んだ母のもので、彼の死は自殺だったのではないかという推測を
 ?庵は耳彦に話す。

・「さあ、行こう」と少年が言った
 嫁ぎ先で苛め抜かれた私の前に、迷い癖のある少年が現れる。
 少年の母は神隠しにあったことがあり、その間に妊娠、出産直後死んだという。
 父も知らぬ少年は祖父母に育てられたが、赤ん坊のころから迷子になる癖があったという。
 鍵がかかった土蔵の中にふらりと現れる少年に文字を習う私。
 だが、嫁ぎ先の家族に見つかり、少年ともども折檻を受ける。
 再び現れた少年は「さあ、行こう」と私を外に連れ出してくれた。
 連れ出したのちも少年は迷い続け、見知らぬ地で少年とははぐれてしまったが、
 その地で新たに、幸せな家庭を気付けた私。
 のちに貸本屋で「道中旅鏡」を手に取った私に、
 それを書いた作者は迷い癖があると聞く。(居合わせたのは耳彦だろう)
 かつての友人かもしれぬ彼に会いたいという私の前に、
 ?庵は姿を見せるが、直前でふらりと姿を消して(迷いに出て)しまう。

 迷子から戻り、私と?庵が再開するのが楽しみだという、希望で終わる一編。
 主に被害にあうのは耳彦で、いつもひょうひょうとしている?庵の過去が垣間見れて良かった。


地獄が一番乙一テイストだけれど、
山白朝子名義は乙一よりもグロくない。
文体なども書き分けている、と思う。
次に乙一がどこに行くのかも気になるけれど、
このテイストの山白朝子も続けて読んでいきたい。





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Last updated  July 21, 2012 03:28:11 PM


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