ヘナヘナライター 生態日記

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加藤美保

加藤美保

2006.09.01
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敦煌の物価は日本並みに高い。
たとえば、敦煌の有名な観光地「鳴沙山」では、まず入場料の100元(1,500円程度)を払う。「鳴沙山」は、敦煌市街から南へ5KMのところにある広大な砂の峰だ。入り口から砂の峰、それから月牙泉まで結構距離があるので、観光客はトロリーバスかラクダ、あるいは馬に乗って目的地まで行く人がほとんどである。ところが、ラクダ代金はひとり80元(1200円)も取られる。麓に到着すると、峰まで昇るために足袋を履かなければならない。この足袋のレンタル料金まで取られるのだ。ジュースは一本10元(150円)もする。ジュースの市価は2元から3元である。これらを合計すると、「鳴沙山」を観るために日本円で6000円以上のお金を使ったことになる。あり得ない!
大げさな話でもなんでもなく、敦煌では遺跡・名所の中だけ物価が10倍程度に跳ね上がるのだ。

悲しいことだが遺跡・名所の中では料金の交渉ができない。全てにおいて市価の10倍程度払わせられる状況に、かなりイライラした。「アホな日本人からせびるだけせびってやれ」という根性が丸分かりだったからである。
そんな私のイライラ、怒りの矛先が、タクシーの運転手に向いていったのもいたし方ないというべきだろう(笑)

敦煌のタクシーは交渉で価格が決まる。ほとんどのタクシーにはメーターがあるがあまり活用されているようには思えない。
敦煌空港から敦厚の中心地までハイウェイ料金を入れて片道20元から25元くらいが相場らしい。敦煌中心地からあの有名な「莫高窟」まで片道で25元から30元程度。しかし、彼らは平気で50元とか60元とかふっかけてくるのである。

「鳴沙山」から利用したタクシーの運転手は、いきなりメーターを倒さなかった。その場で文句を言って倒させる。さらに、ホテルについて10元を払ったら、「おつりがない」とか「10元受け取っていない」とかなんだかワケのわからないイチャモンをつけてきたので、「鳴沙山」で散財した憤りも手伝って、日本語で思いっきり怒鳴りつけてやった。運転手は、ものすごく不機嫌になりながらきちんと3元のお釣りをくれた。わずか45円程度でくだらないと思うかもしれないが、1元で妥協する人は100元でも妥協してしまうことになる。これが敦煌という街の怖さだ。

莫高窟にタクシーで行ったときも、相場は25元から30元程度だろうに、60元とか50元とか大口を叩いたので、またまた日本語で怒鳴りつけて30元でなんとか決着をつける。いや、怒鳴りつけただけでなく、お説教まで始めてしまった。「称如行正当商売」(!!)とメモ帳に書いてその運転手にたきつけてやったのだ。「通じているワケないだろう」と夫は言うが、そんなのどっちでもいいのである。私の気が済めば(笑)。


しかし、私が相場まで料金を下げると、とてつもなく失礼な日本人という態度を取られたものだ。というか、「日本人のくせに値引きなんかしやがって」という感じかもしれない(笑)
失礼千万なのはアンタたちの方である。
私は気の弱い大人しい性質の人間だが、ヘンに正義感の強いところがあり、さらにいざとなるとそれはそれは怖い人に変貌してしまうらしい。敦煌では狼男のように何回も変身しなければならなかった(笑)
上背もあり、強面な私が本気で怒ると、中国人たちも結構ビビっていた。これまでそうやって優しい日本人からたんまりお金をだましとっていたのだろう。いい気味である。

交通費ではシビアな態度を取ったが、夜市では値引き交渉を楽しんだ。主要交通手段がタクシーしかない敦煌では、タクシーとの値段交渉は死活問題だが、商品は別に買わなくてもいいわけでこちとらも余裕があるのだ。
もともと値引き交渉なんて得意な方ではないのだが、やればやったで結構面白い。

値引きのコツを伝授すると、まず、「落としどころ」(下げたい価格)の目星をつけて、それより安い価格から、最終的にその価格まで交渉をつめるということになる。言葉でいうと簡単だが、この「落としどころ」をどこに設定するかが難しいのだ。滞在して2日目ぐらいで、敦煌では提示価格の1/4程度が適正価格だという風に感じられた。しかし、なかなか最初はうまくいかなかった。交渉力が身についたのは、敦煌に入って4日目ぐらいである。

たとえば、夫がお土産にペーパーウエイトを購入した。ひとつ20元というのがお店の人の提示した額である。正直、日本の100円ショップで売っていそうな代物であった。となると、ここが物価の高い観光地ということを差し引いて考えても7元より安く手に入れなければ話になんないということになる。それで、ひとつ5元で交渉してみた。5元といえば75円程度。それでも高い。たぶん2元程度が妥当という気もするが(笑)、まあこのくらいが落としどころという感じである。実際、この価格で落とすことができた。これは日本人にしてはかなり安く購入できた方らしい。話にならないくらいの低価格で押し切ろうとすると相手が怒って交渉決裂してしまうので(やりすぎたことも何度かあった)、落としどころをどこに持っていくかが鍵になる。そう、値引き交渉は、知恵比べ、根気比べ、駆け引き能力が問われる難しい作業なのである。いちばんいいのは、適正価格よ理若干安い価格で相手をおだてながら納得させることだろう。しかし、これはもう神の領域(笑)。値引きの才能がなければ難しい。私にはそこまてできなかった。

日本のように暗黙の了解社会の中で暮らしていると、何かを購入するたび、サービスを利用するたびに交渉することがかなり煩わしい。しかし、交渉せずに言い値で受け入れていると、まるでハゲ鷹が屍に群がるかのごとくよってたかって身包みはがしにかかるので、外国人にとって敦煌は怖い街である。そういえばアラブ諸国も交渉社会だと聞く。いや、欧米諸国だって基本的には交渉社会だろう。暗黙の了解で、多くの人がルールに従って行動するというのはある意味少数派なのかもしれない。

どちらにしても、このように嫌な思いをしたくない、交渉なんて面倒くさいという人は、ツアーで旅行がお勧めできる。フリー旅行はそれなりに大変だから。実際、私も敦煌では闘ってばかりで結構疲れた(笑)


写真は悪名高き「鳴沙山」のラクダ(笑)。

『アラビアのロレンス』で感動したあの光景が広がっている。
ピーター・オトウールは優雅にラクダを乗りこなしていたが、実際には、よく揺れるしお尻は痛いし、気も荒いので急に暴れ出したりと、ラクダは結構怖い「乗り物」なのだ。





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Last updated  2006.09.02 02:32:31
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