りじょん

2004.12.17
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銀魂編4





 「総悟…あとで切腹だ」

 物騒なことを、冗談でもない風に呟く。

 「えーと…迎えにいきますか」

 ぼけっとしている山崎をぎらりと睨み、

 「仕方ねェ。天下の真撰組が、茶屋で無銭飲食なんて冗談じゃねェからなァ…?」

 空気が震えそうな怒りの声。

 (茶屋で無銭飲食…今の電話…これはつまり…?)

 ぴこぴこぴこーん(翠さんの頭に電球がともる)

 (イコール、私の出番!?)

 「はいはいはーい!」

 室を出て行こうとする二人に、翠さんは思い切り手をあげて声を掛けた。

 「先生! じゃなくて副長! 判ったであります!」

 戦前の学生か。
 副長は眉をゆがめる。
 明らかに嫌がっている。

 「何だ…山崎、」
 「どっちのですか?」

 今度は山崎が茶々をいれた。
 ごつっという鈍い音。

 「…女の方だよ。何だコラ」

 顔を抑える山崎に視線を寄せながら、翠さんは元気よく言った。

 「会計方の出番ですよね★」

 副長はまた眉をゆがめる。

 「こんなことで公費を使いやしねぇよ、テメェは留守番してろ――」

 「いいんですか?」

 「あ?」

 企みの笑顔を浮かべる。

 「沖田さんたちの思惑に嵌って、ポケットマネー出しちゃっても悔しくないんですか?」

 副長は、いっそう眉をゆがめた。

 「何が言いてぇ」

 山崎がハラハラと、二人を見比べる。
 翠さんはにやりと笑った。

 「手っ取り早く、食った本人らに払わせりゃいいんですよ」

 副長はがしがしと頭をかく。

 「そうしてぇのは当然だが、沖田ってのはそう甘い奴じゃな――」

 「だから私の出番なんです」

 は?
 きょと、とする副長の前に、翠さんは歩み寄った。

 「会計方ってのは、隊士の給与も握ってますよね?」

 「あァ……」

 副長は頷き、そしてふっ、と笑った。

 「いいだろう。ついてこい」

 「ラジャ!」

 山崎は、そんな二人をほーッと見ていた。



 ★★★


 「待て待て待てッ!」

 局長の必死の制止も聞かず、総悟と井上さんは悠々と茶屋を出た。
 人質を立てておけば、怪しまれることもなく出られる。

「あの人につけといてくだせぇ」

 そう言って局長を指しておけば。

「さすが沖田さん♪ずるがしこいわー!」 
「いやいや、提案したのは貴女じゃねぇですかい」

 悪代官の如き笑みを浮かべる。

 「じゃあこれからどうしますー? 本当に愛の逃避行行っちゃう?」

 井上さんの本気の提案に、沖田は止まる。

 「もしかしたら本当に逃避行が必要かも知れやせんねェ」
 「は?」

 (そ、それって!!)
 井上さん勘違い。

 そこに、車の走る轟音が近づいてきた。

 ききーっ!! どん!

 「来ちまった」
 「え?」

 急停止したのは、パトカー。
 中に乗っていた人物が降りてくる。
 それは――

 「そ・う・ごォォォ…」

 血管の浮いた副長。
 そして――

 「ちはーっす」

 軽いノリの、着物の――

 「み、翠さぁぁん!?」

 感動の再会である。

「やっだぁ! ちゃっかり土方さんと一緒にいるなんてぇ!!」
「そっちこそ、沖田さんと何してんのさ」

 互いに背中をばしばし叩きながら笑いあう井上さん、翠さん。
 そのころ、土方は爆発していた。

「てめぇ! 局長置いて逃走たぁ、いい度胸してるじゃねぇか!!」
「男は度胸、女は器量でさぁ」
「うまいこと言ってんじゃねぇぇ……!!」

 茶屋の前は大騒ぎである。
 笑い合う女たち。
 どなり合う……一方的に……男ども。

 そこに新たな火だねが跳んできた。
 文字通り跳んで……。

「トシ―――――――――!! ヘルプ!!」

 それは両手、両足縄で結ばれた局長であった。
 兎跳びで茶屋から跳びでてきた。
 それをすごい形相で追うのは茶屋の娘さん。
 かわいい顔が台無しである。

「てめぇ! 金払ってから兎跳びでもカエル飛びでもしくされやぁ……っ!!」
「俺だって好きでしてるわけじゃねぇ……!! お嬢さん! 落ち着けぇぇ……!!」

 土方は深々とため息をついた。

「おい、山崎女」
「へいっ!!」

 しゅぴっと土方に寄り添う翠さん。
 忠犬その2だ。

「沖田の給与から払ってやってくれ」
「へいっ」

 べしいっ……!!

 翠さんの後頭部に井上さんの平手が飛んだ。
 思いもしない衝撃に倒れ込む。
 が、ばっと振り返り、睨み付けること鬼のごとし。

「何しくさんのよぉっ!!」
「ぼけ属性なのに、無理してつっこみよおっ!!」

 ……つっこみ……だったのか。

「沖田さんの金は私のもの! 将来、私を養うための金よ!!」

 おいおいおい。
 何を勝手なことを堂々と言い放ってやがる。

「ねっ、沖田さん」
 小首をかしげ、微笑みかける。
 沖田さんは間を置かず、頷いた。
「そうでさぁ。同じ隊長格同士なら生活にも余裕がでるってもんでさぁ」








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Last updated  2020.01.18 18:24:25


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