そして今日も日は過ぎる

2009/04/04
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 辻村深月デビュー作。
 文庫版上下巻で、合計で大体1200頁位ある作品です。
 物語に騙される楽しさというのはあるもので、この作品にもそんな魅力があります。上巻は電車での移動中に少しずつ読んでいたのですが、上巻最後の方になると、どうしても先が気になってしまい、帰宅してから一気に下巻最後まで読み切ってしまったのでした。
 ジャンルとしてはホラー? ファンタジー? ミステリー? まあジャンル分けするのはあまり適当ではないかもしれませんが、この三つの要素が入った群像劇です。

 センター試験を間近に控えたある雪の日、仲の良い8人の生徒が学校に行くのですが、どうしたわけか、学校には誰もいないだけではなく、一度入ってからはもう中から出られなくなってしまいます。
 頭をつきつけて、現在の状況を推理していく8人。1人が、「人間消失現象」を引き合いに出し、この中の誰かが、自分の中に皆を閉じこめたのではないかと、言い出します。
 では、誰が?
 物語冒頭で示されていますが、彼らのクラスでは、文化祭当日に飛び降り自殺をした人物がいます。もしかすると、この8人の中の1人が自殺をし、寂しく思ったのか、あるいは恨みに思ったのか、いずれにしても皆を呼び寄せたのではないか・・・?
 しかしそれならば、彼らと仲の良いクラス担任の教師がいないのはおかしいのではないか?


 この状況を作り出した人物(ホスト)は誰か? なぜこのような状況を作り出したのか? 飛び降り自殺をしたのは誰か? どうして自殺したのか? ホストが自殺者なのか? 担任教師がこの場にいないのはなぜか?
 そして群像劇ですので、8人各人の過去がこの謎解きと併せて語られていきます。
 この過程が場面のつなぎがなめらかで、またテンポ良く読めていくのがとても良い感じ。すっかりはまりこんで、一気に読み込んでしまいました^^
 私は自殺者については下巻で推測がつきましたが、ホストの正体は下巻で推測を変えたところ大外し、理由についてはいくつかの推測の一つがかすっただけというていたらく。その他の謎については、完全にしてやられました^^;
 とにかく積み重ねていった過程が、終盤で大きく跳ね上がる「物語に騙される感覚」から来るカタルシスがとても大きい作品でした。
 オススメです^^





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Last updated  2009/04/04 09:02:28 PM
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剣竜 @ パク・チャヌク監督作品 ocobaさんへ その2つの映画,評価高いよ…
ocoba@ Re:殺人の追憶(03/04) 韓国映画では、パク・チャヌク監督の「オ…
剣竜 @ Re[3]:投票義務制の問題点(11/10) サムスさんへ いえいえあまりお役に立てず…
サムス@ Re[2]:投票義務制の問題点(11/10) 剣竜さんへ ありがとうございます!
剣竜 @ Re:投票義務制の問題点(11/10) ありがとうございます。 随分昔に書いたの…

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