2015.05.30
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カテゴリ: 読書




連日、かき氷だのあずきバーだの食べていて「食養生」そっちのけの生活です。

お恥ずかしい。

何か食べながらの読書、好きなんです。星

 昨日、読んでいて面白かったミステリーです。

D・M・ディヴァインの『三本の緑の小壜』。

これ、発行年はつい最近ですが、黄金時代のミステリーです。

デビュー作はクリスティーが賞賛したといわれている作家です。

時々、現代のサイコスリラーに飽きると、この時代の英国ミステリーを読みたくなります。



成績優秀で活発な美少女たちが海に泳ぎに行きます。

13才という、ちょっと難しい年頃。

自転車で来ていた子たちは帰りもそれに乗って家にたどり着いたのですが、

歩いて帰るといっていた子は戻りません。

次の日、遺体で発見されてしまいます。

乱暴はされていなかったのですが、遺体は全裸。

変質者の犯行と見て、警察はその付近をよく散歩していた独身男性を

最重要容疑者として取り調べます。

が、彼が死亡した後も少女たちを狙った犯罪が続き、、、、。

『三本の、、、』というタイトルから毒が絡むのかと思っていたのですが、

死因は絞殺。タイトルの意味は後半になってやっと明かされます。



 この小説は、構成が凝っていて

それぞれの人物(一部重複あり)の一人称で語られます。

これが功を奏していて、割と単純なミステリーを深いものにしています。

トリックらしきものも出てきませんし、よくある内容なのですが、

この作品を印象深いものとしているのは、登場人物たちの個性です。

びっくり

失礼ですが、私はこの作者はかなり類型的な人物ばかり書くイメージがあったので。

 この年頃の少女、清潔感があり、可憐でかわいらしい反面、

残酷で傲慢、早熟でおしゃべり。噂好きだったり、点取り虫だったり、八方美人だったりと

とにかく鼻持ちならない部分がありますよね。大笑い

それが年とともにわきまえてきて、丸くなるのですが。

そうなる前の、「毒」を持った面がしっかりと描かれています。

 10代前半の少女をリアルに描くのは女性でも難しいのですが、

作者は執筆当時、娘さんがこのお年頃だったらしく

作家ならではの観察眼を駆使して見事に紙の上で再現しています。

 ナボコフの『ロリータ』や

マーガレット・ミラーの『心憑かれて』や『マーメイド』、

クリスチアナ・ブランドの一部作品と同じく、

心に残りますね。

犯人は、さほど意外ではないですが、

(この人かな?と疑う候補に必ず入る人物です。ちゃんと読んでいれば。)

ラストまで興味深く読めました。




 日本でも21世紀に入って、

こんな動機の事件があったなあ、、、、

そういえば、日本の本格推理 大御所の作品にも

似たようなものがありました。

普遍的なテーマなんでしょうね。






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最終更新日  2015.06.08 09:56:27
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